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復活の島~五島・久賀島キリスト教墓碑調査報告書~

『復活の島』表紙

  • 編著:大石一久と久賀島近代キリスト教墓碑調査団
  • 定価:本体1,800円+税
  • B5判 並製 172ページ
  • ISBN978-4-88851-102-5   C0016
  • 発行:長崎文献社

九州の五島列島は主に5つの島から形成されているところから、五島列島と言われています。その中の1つの島「久賀島(ひさかじま)」は、遣唐使の寄港地としての歴史のある古い島です。海洋交通の盛んな島としても、名を馳せていましたが、その中でも、キリシタンの島として有名です。

今回、大石一久さんという長崎県文化振興課に勤務なさっている研究者が、久賀島にある「ロレンソ栄八」の1枚の墓石の写真を見たところから、墓碑調査団が結成され、調査に乗り出しました。

調査は2004年8月16日~20日までの5泊6日の期間、8カ所のキリスト教墓地の調査と、聞き取り調査などが行われましたが、本書はその結果をまとめたものです。

キリシタン禁教令が出され、迫害の苦しみに遭った人びとにとって、1873年、キリシタン禁教の高札が撤去され、迫害に終止符が打たれました。

明治政府は、種々の政策を次々に、打ち出しましたが、その中の1つに、太陽暦の採用がありました。これはキリシタンたちが代々守り伝えてきた暦でした。ですから、墓石に堂々と、「天主教」という文字、西暦年月日、霊名などが書けるようになったのです。「ロレンソ栄八」のお墓は、まさにそのようなお墓だったのです。

「ロレンソ栄八」は、「長崎での信徒発見」のきっかけとなった、大浦天主堂にすぐ出かけて行った当時の帳方でした。その後の久賀島での迫害「牢屋の窄(さく)」で最後まで入牢させられていた人物です。
 こうした、218基のお墓などの調査結果をフルカラーの本書で、写真で説明し、「五島キリシタン史」や、パライソ(天国)へ行くことを祝うお葬式など、その意義を説き明かしています。

調査団は、調査後、久賀島は「祈りの島」「信仰の島」、「最後までゆずれないものを守り通した島」と表現しています。


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