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免償

教皇ヨハネ・パウロ2世が、2000年を大聖年とすることを公布された大勅書『受肉の秘義』の末尾に、「聖年の免償を得るための規定」が付されています。これに気づかれた方も多いのではないかと思います。

免償については、日本の司教様方が中心になって書かれた『カトリック教会の教え』の免償の説明以上の説明は必要ないでしょう。しかし、この本をまだ読んでいらっしゃらない方のために、簡単に説明いたしましょう。

『カトリック教会の教え』によれば、免償とは、「私たちが、『ゆるしの秘跡』を受けて、すでにゆるされた罪に伴う有限の罰の免除」です。ですから、時々、免償を罪のゆるしだと誤解している人がいるのですが、免償は罪のゆるしではなく、ゆるされた罪に伴う有限の罰を軽減するものです。

罪というものは、どんな罪であれ、その人に影響を及ぼさずにはおきません。
 あまりよいたとえではありませんが、ある人が人を傷つけたとします。その怪我のため、傷つけられた人は入院しなければなりません。この場合、「人を傷つけた」という罪はゆるしの秘跡を受けることによってゆるされますが、怪我を負わせた人への償いと同時に、裁判の結果により、刑に服さなければなりません。それが有限の罰といっていいでしょう。

私たちが罪をおかすとき、ゆるしの秘跡によって罪はゆるされたとしても、罪自体が必然的にもたらす悪の結果は残ります。それを罰といっています。ですから、罰は神様が与えるものではないのです。

私たちがゆるしの秘跡を受ける時、司祭から「償いとして~」と言われます。今はほとんど、償いとして祈ることが命じられることが多いようですが、昔、教会では、長期にわたる償いも命じられていました。それを免除したり、期間を短くしたりすることが、免償の始まりだったのです。

全免償と部分免償

皆さんもお聞きになったことがあると思いますが、この免償には、「全免償」と「部分免償」があります。「全免償は、有限の罰のすべてを免除する」もので、「部分免償は、有限の罰の一部を免除する」ものです。

    免償を受けたい人は、次の3つの基本的な条件を満たしていなければなりません。その条件とは、
  1. 免償を受けたいという心をもっていること。
  2. 大罪がゆるされていること。
  3. 免償を受けるために教会が定めているわざの、どれか一つを果たすこと。
    部分免償を得るために教会が定めているわざのいくつかを、ご紹介しましょう。
  1. 十字架のしるしをしながら、「父と子と聖霊のみ名によって。アーメン」と唱える。
  2. 「お告げの祈り」を唱える。(復活節の間は「アレルヤの祈り」)。
  3. 黙想をする。
  4. 説教を聞く。
  5. 個人で「ロザリオの祈り」を唱える。
  6. 聖体訪問をする。

これらの中の一つを果たすことが、部分免償が与えられるための条件です。

    全免償を受けたい人は、上にあげた3つの基本的な条件のほかに、次の条件も満たさなければなりません。
  1. 全免償を受けるために、教会によって定められているわざを果たす前後の数日~数週間のうちに、ゆるしの秘跡を受けること。
  2. 同じ期間のうちに、聖体拝領をすること。
  3. 教皇様の意向のために、「主の祈り」「聖母マリアへの祈り」「信仰宣言」などの祈りをすること。
    全免償を得るために、前記の条件を満たしたうえでなお果たさなければならない教会が定めているわざを、いくつかご紹介しましょう。
  1. 少なくとも30分間、聖体訪問をして黙想する。
  2. 少なくとも、30分間聖書を読む。
  3. 少なくとも、3日間黙想会に参加する。
  4. 「十字架の道行き」を行う。
  5. 共同で「ロザリオの祈り」を唱える。
  6. 指定された大聖堂、教会堂、巡礼地へ巡礼する。

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