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 A.I.

2001年7月

VARTIFICIAL INTELLIGENCE

A.I.

  • 監督・脚本・編集: スティーブン・スピルバーグ
  • 出演:ハーレイ・ジョエル・オスメント、ジュード・ロウ、
       フランシス・オーコナー、ウィリアム・ハート、
       サム・ロバーズ
  • ロボット特殊効果:スタン・ウィンストン

2001年 アメリカ映画 146分


あのスティーブン・スピルバーグの「A.I.」が、いよいよ公開されました。「“前夜祭プレミア・ナイト”48時間連続上映 !!」などもあり、熱気を感じますよね。“愛する”ということをインプットされて生まれてきたA.I. [人工知能] の少年が、数千年先で見たものは……。

2時間26分という長い時間ですが、その長さを感じないくらい、映画のなかに引き込まれてしまいました。しかし、なんと切ない映画でしょう。悲しいです。人間にはいろいろなすばらしい能力や機能が与えられていますが、そのなかでも、人間を人間たらしめる「感情」ということを意識して見ていました。

物語

地球の温暖化で氷が溶けて水位があがり、ニューヨークなど、多くの大都市が水没してしまった近未来が舞台です。人間の手伝いをしてくれるロボットと共存している社会に、ホビー教授(ウィリアム・ハート)は、次世代のロボットを発表します。 一番難しかった「感情」を持った最新の子供ロボットです。子供のいない親のために、子供となってその願いを果たすロボットでした。しかし「愛されたら、その愛に答えることの責任が生じるのでは……」ということが、ロボットを持った人間に課せられた問題でした。

ロボット開発の会社に勤めるスウィントン氏(サム・ロバーズ)は、難病の息子マーティンを亡くしたばかりでした。遺体は冷凍保存され、彼の妻モニカ(フランシス・オーコナー)は、冷凍になった息子と対面しては、悲しい毎日を過ごしていました。それを知ったホビー教授は、開発したばかりの、「愛する」ということをインプットされた子供のロボットを、試験的にこの夫婦に与えることにしました。

子供ロボットの“デイビッド”(ハーレイ・ジョエル・オスメント)を見たモニカは、最初、この現実をどう受けとめていいのかわからず混乱します。しかし、人間と全く変わらない“デイビッド”に接しながら、次第に彼を受け入れて、ついに彼を子供にする決心をします。モニカは、デイビッドの首の後ろにあるスイッチに触れ、決意を固めた者だけがインプットできる7つのキーワードを音声入力していきます。このキーワードは、一度作動させたらリセットできません。永遠に母親を愛し続けるのです。ロボットが不要となった場合は、開発会社に持っていって破壊してもらわなくてはいけません。インプットされたデイビッドは、その日から、モニカだけを母親として愛していきます。モニカはデイビッドに、マーティンの遊び相手だったスーパトイのテディを与えます。

デイビッドによって、モニカの心の悲しみも癒えていったある日、マーティンが最新の医学によって生き返り、家に戻ってきました。

実の息子のマーティンは、同じ息子として存在しているデイビッドを受け入れることができず、今までのロボットと同じように扱います。人間同士の親子を見て、デイビッドは、母モニカをマーティンに取られるのではないかと嫉妬(しっと)するようになります。

ある夜、デイビッドは、ベットのなかで、モニカがマーティンに読んでいる「ピノキオ」の話を聞きます。「本当の人間になりたい」というピノキオの願いは、そのままデイビッドの願いでした。「マーティンのようにモニカに愛されるために、本当の人間になりたい。ピノキオのように、本当の人間の子になりたい。」デイビッドは、ピノキオの願いをかなえた、妖精のブルー・フェアリーに会いたいと思うようになります。

デイビッドの存在を疎ましく思うマーティンは、デイビッドを執ようにいじめ、窮地に立たせます。マーティンによって追いつめられたデイビッドは、モニカの車に乗せられ、ロボット開発工場へと連れていかれます。しかしモニカは、デイビッドを廃棄処分にはできませんでした。「いい子になるから。お願い、僕を捨てないで!」デイビッドの必死の願いもかなわず、モニカは森のなかにデイビッド置き去りにして行ってしまいます。
「マミィー!」デイビッドの悲しい声が響きます。

テディと森をさまようデイビッドは、人間の快楽を満たすために作られたジゴロ・ジョー(ジュード・ロウ)というロボットと友達になります。しかし、彼らは、ロボット反対派の人たちのロボット狩りに捕まってしまうのでした。

 

「2001年宇宙の旅」の、故スタンリー・キューブリック監督が長年温めていた企画を、友人のスティーブン・スピルバーグ監督が引き継いで完成させたSFファンタジーです。

天才子役と言われているオスメント君の表情は、本当にすばらしく、涙を誘います。また「スターリングラード」のジョン・ローが、なかなかカッコイイロボットを演じています。ロボットを表現するスタン・ウィンストンの特殊技術もリアルで、海に沈んだニューヨークの街も印象的でした。

AIBOのようなロボットが進歩していったら、この映画のように、見た目には人間と区別ができないほど精巧なロボットと共存する時代がやってくるのでしょうか? 「人間」という感情を持ったロボットの切ない映画を、ご覧ください。

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