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 アイ・アム・サム

2002年6月

I am Sam

アイ・アム・サム

  • 監督:ジェシー・ネルソン
  • 出演:ショーン・ペン、ミシェル・ファイファー、ダコタ・ファニング
  • 音楽:ジョン・パウエル

2001年 アメリカ  2時間13分

幼い娘を抱いてブランコに乗っている父親役のショーン・ペン。うれしそうな二人の顔……。この映画のチラシを見ただけで、「見たい!」と思ってしまいました。チラシのイメージを裏切らない、すばらしい映画でした。この映画は、「愛」について、たくさんメッセージを投げかけてくれました。

ショーン・ペンと言えば、「デッドマン・ウォーキング」での死刑囚役で有名ですが、この「I am Sam」でも、7歳の知能しか持たない父親役をみごとに演じ、2002年度のアカデミー主演男優賞にノミネートされています。

物語

毎朝コーヒーを飲みにくるお客に、明るくあいさつするサム(ショーン・ペン)は、スターバックスで働いてる人気者だ。しかし、知的障害者で7歳までの知能しかない。ホームレスの女性との間に赤ちゃんが産まれたが、彼女は退院したその足で、姿を消してしまった。

サムは、ビートルズが大好きだ。ビートルズの事だったら、何でも知っている。サムは、ビートルズのナンバーから、娘を「ルーシー・ダイモン」と名づけ、一人で育てていく。

育児がわからなくなると、頼りになるアニーに電話する。アニーは外出恐怖症だが、いつもサムを助けてくれる。スターバックスで働いているときも、ルーシーを預かってくれました。障害を持ちながらも明るく暮らしている4人の友達の愛情も受けて、ルーシー(ダコタ・ファニング)は明るい娘に育っていく。毎晩、ベットの中で、ルーシーに絵本を読むのが、サムの楽しみだ。

しかし、ルーシーが小学校に入ると、悲しい出来事がおこった。ルーシーは自分の方が、父親より知能が上になっていることに気づく。絵本の中に、サムが読めない字がある。ルーシーは学校で習っているのだが、父親を思って、自分もわからないと言う。このことでルーシーは小さな胸を痛め、学校でも勉強に身が入らない。他の父親と違うサムを、イヤに思うこともある。

担任教師からの連絡を受けて、ソーシャルワーカーがサムを尋ねてくる。そして、サムは養育能力がないと判断され、ルーシーは施設に連れて行かれてしまう。

悲しみに沈むサム。愛するルーシーを失って、サムは生きていくことができない。サムは、ルーシーを取り戻すために、法廷で闘う決意をする。やり手の弁護士リタ・ハリソン(ミシェル・ファイファー)は、他の弁護士仲間にいいところを見せるために、無料でサムの弁護を引き受けるはめになる。

リタは仕事に忙殺され、豪華な家でひとり淋しく過ごす一人息子には、物を与えるだけで、一緒に過ごす時間もない。

面会の日に、サムとルーシーは逃亡する。裁判中に起こした二人の軽はずみな行為を避難しながらも、二人の深い愛情に接し、リタの心に変化が起きていく。サムのひたすらで純粋な心に触れながら、仕事の成功ばかりを求めて行動していたリタは、人間にとって大切なものが何なのか考え始めるようになる。

サムが証言に立つ日がやって来た。事前にリタと打ち合わせも行い、リタの夫のスーツも借りた。スターバックスでは昇進して、コーヒーを作る係にもなった。サムは、ルーシーを育てられる父親として、認められるのだろうか。

 

法廷に証人として呼び出される人々を描きながら、だれもが、何か暗い部分を持っていることが映し出されていきます。何をして「障害」というのでしょう。人間として生きていくために、子どもを育てるために本当に必要なもの、大切なものは、いったい何なのか、と突きつけてきます。

ルーシーが「文字を知らない」とサムに言うところ、また、友達の前でサムを否定してしまう一瞬の過ちに、心を痛めるところは、本当に切なくなります。子どもでも、こんなに愛情を示すことができるのかと。

サム、ルーシー、アニー、障害者の仲間たち、リタ、ルーシーの里親になるランディ……、どの人もステキです。サムの周囲の人々が、サムの純粋さに触れながら、人間に与えられた素晴らしい面に目覚めていく姿が美しい映画です。

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