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 わたしのグランパ

2003年4月

わたしのグランパ

  • 監督・脚本:東陽一
  • 原作:筒井康隆『わたしのグランパ』
  • 音楽:Alpha.タブラトゥーラ
  • 出演:菅原文太、石原さとみ、平田満、浅野忠信、
         伊武雅刀、波乃久里子

2003年 日本映画 1時間53分

  • 芸術文化振興基金助成映画

菅原文太さんが、かっこよく、孫にやさしいおじいちゃんとして登場します。「わたしのグランパ」は、孫から見たおじいちゃん、おばあちゃんの姿を描いた作品とも言えると思いました。

孫と祖父母との関係には、両親との関係とはまったく違った独特の関係がありますよね。祖父母が、若いときはどのように過ごしてきたか、どのような人だったのか、孫は知りません。だから、孫にとって祖父母は不思議な存在であり、魅力的でもあります。歳が離れていても、対等に話せる。「わたしのグランパ」に出てくる孫と祖父母の関係って、いいナ~と思いました。

マンガチックで、現実離れしているようにも思うのですが、「橋のない川」「絵の中のぼくの村」の東陽一監督が、子どもの視点を大切にして製作したかわいい映画です。

物語

珠子は中学一年生。両親とおばあちゃんの4人暮らし。学校では、いじめられている友人を助け、珠子自身は、いじめのグループを適当にかわしながら、学校生活を送っています。

珠子は、お気に入りの瓦屋根の上に座って、囹圄(れいぎょ)という言葉を思いめぐらしていました。囹圄とは、罪人を入れて置く場所、つまり牢屋のこと。実は、おじいちゃんのゴダケンこと五代謙三が、刑期を終え、刑務所から戻ってくるというのです。おじいちゃんが帰ってる日を前に、おばあちゃんは名古屋のおじさんの家に行ってしまいました。「ああいう人とは、一緒にくらすことはできない」と言うのです。

着流し姿のゴダケンが、帰ってきました。商店街の人は、帰ってきたゴダケンに声をかけて暖かく迎えます。ムショ帰りを気にしている人は、だれもいません。ゴダケンとは、いったいどういう人なのでしょう。

珠子は、おばあちゃんを「グランマ」と呼んでいるので、ゴダケンを「グランパ」と呼ぶことにしました。

いじめグループの男子生徒たちは、ムショ帰りのおじいちゃんにちょっかいを出します。珠子は、グランパが何かするのではないかと心配でたまりません。グランパが珠子を守って男子生徒に手を出せば、学校で仕返しされるからです。しかし、とうとうグランパはいきがっている男子生徒の腕を押さえつけ、「人に手を出すのなら、覚悟してかかれ」とやっつけてしまいました。グランパは、ブラブラしている男子生徒に、もっと大切なことに目を向けるよう教えたかったのです。

ある夜、グランパは神社に呼び出されました。いじめグループの生徒が取り囲みます。しかし、グランパは強かった。そして、「このようなことをすると、お前らの人生は台無しになるゾ」と伝えます。

翌日、いじめグループのリーダーと腕を押さえつけられた生徒が、グランパのもとへ謝罪にきました。彼らは、その日から、グランパの友人になりました。

珠子は、グランパが正義の人ゆえに、いろいろな問題を起こすのだということを知ります。それがたまらないので、グランマはグランパから離れたのだということもわかってきました。珠子には、グランマの気持が、次第にわかってきました。

「グランパは、なぜ刑務所に入ったの? 何をしたの?」

13年前、グランパの親友のスナックがやくざに放火されました。炎の中にいる彼を助けることができなかったグランパは、仕返しに暴力団になぐり込みをかけ、組員を殺してしまったのです。グランパのムショ帰りを待っていたやくざたちが、珠子の周辺にチラチラしはじめます。

学校から帰ってきた珠子を、グランパは屋根裏へ招きます。屋根裏の奥には、大金が詰まったトランクがありました。それは、グランパがやくざから取り上げたものでした。ゴダケンがその金の在処を知ってるとにらんだやくざは、動き出します。学校からの帰り道、珠子は車でさらわれ、山の中の廃屋に連れこまれてしまいます。

 

やくざなグランパの文太さん。映画俳優の息子さんを亡くした文太さんに、元気を出して……と応援しているように感じました。やさしく、情の深いグランパは、珠子をかわいがり、人としての大切な生き方を、身をもって教えてくれました。

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