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 ポーリーヌ

2004年1月

pauline & paulette

ポーリーヌ

  • 監督・脚本:リーフェン・デブローワー
  •   
  • 出演:ドラ・ファン・デル・フルーン、アン・ペーテルセン

2001年 ベルギー=フランス映画 78分

  • 2001年カンヌ国際映画祭・監督週間キリスト教会賞

私たち人間は、それぞれ、何を目指して毎日を生きているのか、何を気にして生きているのか。主人公のポーリーヌを見ていると、「もっと単純に生きてみたら。好きなことは好きでいいんじゃない?」と感じます。

主人公のポーリーヌと妹のポーレットを演じるのは、長いことベルギーのテレビ、舞台、映画で活躍してきたという2人の女優さんでともに77歳。この年齢にならなくては出せない味を出しています。

物語

朝。66歳で知的障害のポーリーヌ(ドラ・ファン・デル・フルーン)は、ベッドから出るやいなや、ベッドの下に置いてあるジョーロを持って花壇に出ていく。彼女は花が大好き。花に水を蒔いていると、世界はどんどん広がっていく。一面の花畑の中で水を蒔く。ポーリーヌの幸せなひとときだ。

ポーリーヌ

花の水やりが終わると、次は朝食。「今日はジャム? チョコレート?」ポーリーヌの世話をしてくれる姉マルタが尋ねる。大好きなワッフルを手にとり、しばし考え、はにかみながら答える。「チョコレート!」

朝食を終えたポーリーヌは、妹ポーレット(アン・ペーテルセン)の洋装店へと出かける。ポーレットの店にはピンク色のものが集められていて、ポーリーヌが大好きなものばかりが置いてある。

ポーレットは、お客さんが買った品物を包装しはじめた。それを見たポーリーヌの目が釘付けになる。ポーリーヌはバラの花の絵柄のこの包装紙が大好きなのだ。お客の前でも関係ない。好きなだけ破いて持って帰る。部屋に戻ったポーリーヌは特性のアルバムを開き、バラの絵を切ってそこに貼る。きれいなアルバムを見て大満足。しかしポーレットはカンカンに怒りマルタに電話をする。「お店に来させないでって言ったでしょ!」

マルタの大きな愛の中で、好きな物に囲まれて幸せに暮らしていたポーリーヌだったが、ある日、姉マルタが倒れ亡くなってしまう。マルタはポーレットと一番下の妹セシールに、ポーリーヌの世話と遺産について遺言を残していた。

ポーレットはポーリーヌを引き取り一緒に暮らすようになる。ポーリーヌは大好きなポーレットと暮らすことができてうれしくてたまらない。しかし、ポーレットはポーリーヌが邪魔で仕方ない。ポーレットが長い間主役を演じていた大切なオペラ公演のステージも、ポーリーヌの出現によって台無しにされてしまう。

ポーレットは我慢できなくなり、とうとうセシールにポーリーヌを預ける。恋人と暮らしているセシールは最初やさしく接するが、恋人は2人の生活を邪魔されて機嫌が悪い。それを感じたポーリーヌは、ポーレットの家に戻って来る。

余生を海辺の家でゆっくり過ごすことを夢見ていたポーレットは、店をたたみ、オペラ公演も引退して海辺に移り住む。そこへポーリーヌが戻ってきたので、ポーレットはポーリーヌを施設に預けてしまう。しかしポーレットは何か満たされず、落ち着かない日々を過ごしている。オペラでも仕事でも、自分が必要とされていたわけではなかったとわかる。思い出すのは、自分を慕ってくれていたポーリーヌのことだった。

 

ポーレットと自分を重ねて見ていました。私を満たしてくれるのは何なのでしょう。私はだれを大切にしているのでしょう。映画「ポーリーヌ」を見ながら、立ち止まって考える必要を感じました。

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