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 CAMP

2004年6月

キャンプ

キャンプ

  • 監督・脚本:トッド・グラフ
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  • 音楽監修:ティム・ウェル
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  • 作曲:マイケル・ゴア
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  • 振付:ジェリー・ミッチェル、ミシェル・リンチ、ロビン・デ・ジーザス、
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  • 出演:ダニエル・リタール、ジョアナ・チルコート、
         ティファニー・テイラー、アラナ・アレン、アナ・ケンドリック、
         ドン・ディクソン

2003年 アメリカ映画 1時間51分

  • サンダンス・フィルム・フェスティバル2003 正式出品
  • 2004年第19回インディペンデント・スピリット・アワード
                デビュー演技賞候補(アナ・ケンドリック)

歌や踊り、演技を勉強をするために、夏のキャンプに集まった若者たちのお話です。このキャンプは、パフォーマンス・アートに関心を持つ10代の若者たちのためのもので、トッド・グラフ監督が14歳のときに実際に参加した「ステージドア・マナー」というキャンプでの体験から生まれた作品です。

若者たちは、みなそれぞれ理想を抱いて、夏のキャンプにやってきました。演技、踊り、発声、声楽、脚本、監督、舞台美術など、さまざまな分野をめざす若者たちが共に生活していく中で、それぞれが悩みを抱えていることに気づいていきます。普段の学校生活では、なんとなく集団から離れて自分を見つめている存在である彼らが、同じ道をめざし、同じような思いを抱いている者同志、悩みを分かち合い、助け合いながら友情を深め、自分を見つけ、少し大人となって帰っていきます。

映画では、キャンプでの日常のやりとりを追っていく中で、演技の練習や発表会の形で、彼らが歌い踊るステージの場面が入ってきます。彼らが練習の成果を出して熱唱するその歌が、キャンプに集まった一人ひとりの生き方と重なっていきます。それは踊りでも歌でも、どれもが感動するものでした。人間の心の表現である歌と踊りのすばらしさを、あらためて感じました。

若者を演じる役者たちは、まだ演技の経験の少ない人が選ばれています。彼らが役をとおして感じる感動は、そのまま映画の中での、演技を勉強する若者たちの感動につながっていきます。役と演じている人が一つとなった、感動作です。見終わった後、大きな拍手を贈りたくなりました。

キャンプ


物語

今年も、たくさんの若者がキャンプに集まってきた。このキャンプは、演劇やミュージカル、ダンスなど、ステージ・パフォーマンスをめざす若者たちの集中合宿だ。エレン(ジョアナ・チルコート)とマイケル(ロビン・デ・ジーザス)は一年ぶりの再会に喜ぶ。ジル(アラナ・アレン)は相変わらず自分が一番美しいと思っている。そんなジルに、フィリッツィ(アナ・ケンドリック)は召使いのように仕える。ジェンナ(ティファニー・テイラー)は、親に口答えできない臆病な女の子。過食症を避けるために、顎にワイヤーをはめられている。

エレンとの再会を喜んでいるマイケルの部屋へ、今年はじめて参加するヴラッド(ダニエル・リタール)が入ってきた。スケボーを持ってやってきたヴラッドのさわやかな笑顔とやさしい声に、エレンとマイケルの心は傾く。マイケルはゲイなのだ。

オーディションによって、若者たちのグループ分けが行われ、さっそく演目に向けての特訓がはじまった。2週間で一つの演目を完成させて発表するために、朝から晩までの厳しいレッスンが始まる。

僕のピアノコンチェルト

キャンプ3日目に、一人の指導者が遅れて到着した。彼の名はバート・ハンリー(ドン・ディクソン)。10年前に、ブロードウェイで大ヒットを飛ばしたが、今は、落ちぶれアルコールにおぼれている毎日だ。キャンプでの若者たちの指導という仕事もバカにしている。ヴラッドは、バートを尊敬している。

シェークルピアの演目を与えられたマイケルのグループの上演の日が来た。ロミオを演じるマイケルは勇気を出して両親を招待したが、父親はゲイである息子を嫌っており、結局、両親は姿を見せなかった。翌日は、マイケルの誕生日。気落ちしているマイケルを励まそうと、ヴラッドは誕生パーティーを企画した。みなの暖かい踊りに感激するマイケル。ヴラッドのギターで、みんながバートのヒット曲をうたっているところへバートがやってきた。バートは、「夢など捨ててしまえ」とパーティーをぶちこわす。怒ったヴラッドは、バートの部屋へ乗り込んでいき、そこで床に散らばった楽譜を見つける。それはバートが書いた新しい曲だった。

酔いがさめたバートの耳に、若者たちの歌声が聞こえてきた。その音を探していくと、そこには、ギターやチェロを弾くヴラッドたちがいた。「いい曲だよね」互いに言い合う彼らは、幸せそうだった。一度は立ち去ろうとしたバートだが、彼らの歌声の輪の中に入っていく。

バートはじめ、指導者たちにも熱が入り、若者たちも一生懸命学んでいく。いよいよキャンプの仕上げの舞台、慈善公演の日がやってきた。

 

映画の中で歌われる曲は、どれもすばらしい演奏です。特に、急に舞台に出ることができなくなったジルの代役を頼まれた臆病なジェンナが、勇気を出してそれに応えてうたう歌、ゴスペルの「HERE'S WHERE I STAND」がジーンときます。ジェンナは、口にはめられたワイヤーを切って、舞台の中央に立ってうたいます。


   私は自分の足で立つ、
   私は私らしく立つ。

ジェンナは歌詞に自分の思いを重ね、父を見つめながら訴えるようにうたいます。父親の束縛から飛び立ったジェンナの姿に、父のとなりに座っている母も涙を流します。一生懸命いきている姿は、美しいですね。元気と、純粋な心をもらう作品です。

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