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 Dearフランキー

2007年11月

Dear Frankie

僕のピアノコンチェルト

  • 監督:ショーナ・オーバック
  • 脚本:アンドレア・ギブ
  • 出演:エミリー・モーティマー、ジェラルド・バトラー、
        ジャック・マケルホーン、メアリー・リガンズ、
        シャロン・スモール
  • 共同配給:ワイズポリシー、シネカノン

2004年 イギリス映画 102分

  • 2004年度カンヌ国際映画祭“ある視点”部門正式出品作品
  • 2004年トロント映画祭コンテンポラリーワールドシネマ部門出品作品
  • シアトル国際映画祭レナ・シャープ女性映画監督賞
  • ロサンゼルス映画祭最優秀観客賞
  • モントリオール国際映画祭ゴールデン・ゼニース賞
  • ハートランド映画祭クリスタル・ハート賞

物語

夫のDV(ドメスティック・バイオレンス)から逃れるために、引っ越しを繰り返すリジー(エミリー・モーティマー)は、夫の暴力が原因で難聴になった9歳の息子フランキー(ジャック・マケルホーン)と、母ネル(メアリー・リガンズ)とともに、海辺の町にやってきた。

「親愛なるパパへ。また引っ越しだよ。ママは、今度こそ最後だと言う。……」フランキーは、ACCRA号で世界中を回っているパパに手紙を書いて、ポストに投函した。フランキーは自分の部屋の壁に世界地図をはり、パパからの手紙が来るたびに、パパの船の位置に旗を立てては眺めていた。パパが送ってくれるきれいな切手を貼った切手帳も、フランキーの宝物だ。

しばらくして、フランキーに手紙が届いた。「親愛なるフランキーへ。新しい切手を送る。……」

パパからの手紙だ。しかしこの手紙は、実はリジーが書いたものだった。リジーはフランキーを失望させたくないために、パパからの手紙を書き続け、郵便局で買ったきれいな切手を送っていたのだった。このことを知っているネルは、フランキーには本当のことを言うべきだと言うが、リジーは迷っていた。なぜならこの文通は、フランキーの心を知る唯一の方法だったからだ。

ある日フランキーは、学校の友達から、ACCRA号がこの町に寄港することを聞く。リジーはフランキーに本当のことを伝えようと決心するが、「船が来ることは知っている。でもパパはぼくに会いたくないんだね」と先にフランキーから言われてしまう。

真実を言えなくなったリジーは、一日だけパパになってくれる人を探そうと、夜、酒場に行く。しかし娼婦と間違えられたことにショックを受けたリジーは、港の公園にあるベンチで泣きながら夜を明かす。「過去も現在も未来もない男」 を求めるリジーに、友達のマリー(シャロン・スモール)は男を探すと約束する。リジーは緊張しながら、マリーが紹介してくれた見知らぬ男(ジェラルド・バトラー)と出会い、一日だけ、フランキーのパパになってくれる契約を結ぶ。フランキーのことを知ってもらおうと、リジーはその男に、フランキーからの手紙を渡す。

ACCRA号が入港し、パパが家にやってきた。ところが、肝心なフランキーの姿が見えない。ネルは、リジーの計画を不安に思い、素性のわからない男に警戒心をつのらせていた。フランキーを探しに出たマリーは、港が見える丘にいるフランキーを見つけ、やさしく声をかける。マリーに連れられて家に戻ったフランキーだが、はじめて会うパパに、どう接していいかわからないでいる。しかし、欲しかった熱帯魚の図鑑をおみやげにもらい、目の前にいる人が手紙をやりとりしていたパパだと実感したフランキーは、パパに駆け寄って抱きしめる。うれしそうなフランキーの姿に、リジーは父親の存在の必要を感じる。パパは、その大きな手でフランキーの肩をぎこちなく抱く。こうして、フランキーとパパとの、大切な一日がはじまった。

フラガール フラガール

しかし、その夜、ネルは、新聞にリジーを探す広告が載っているのを見つける。リジーが恐る恐る連絡先に電話をかけると、リジーの夫の姉が出た。夫は重い病にかかり、フランキーに会いたがっているというのだ。

 

娘と孫を、距離を置きながら見守るネル。夫の暴力から救い出してくれたのは、母のネルでした。執拗に探し続ける夫から逃れるために、リジーは小さくなって暮らしています。フランキーは音のない世界で、文通をとおしてのパパとのつながりを拠り所として生きています。しかし、フランキーのために用意された偽りのパパとの出会いをとおして、フランキーだけでなく、男性を恐れていたリジーもネルも、そして偽りのパパも、その表情がどんどん変わっていきます。人を信じることのすばらしさに、気づくのです。大切なことをそっと伝えてくれる、味わい深い映画です。静かに流れる音楽が、登場人物の心の動きを適切に表現していてステキです。

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