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 純愛

2007年8月

JYN-AI

 

純愛

  • 製作総指揮・原作:小林桂子
  • 監督・脚本:ジャンチンミン
  • 音楽:ウォン・ウィンツァン
  • 出演:小林桂子、YASUTAKA、彭博(ポン・ボー)、
       張少華(チャン・シャオホワ)
  • 配給:(株)プロジェクトデザイン

2007年 日本映画 115分


1945年、小学校教師の俊介(YASUTAKA)と保健婦の愛(小林桂子)は、中国大陸の開拓団の集会場で結婚式を行っていたが、戦争が終わったことから、襲撃を受ける。中国に置き去りにされ開拓団の人々は、日本に帰ることができる列車に乗るため、駅を目指して逃避行を始めるが、食べるものもなく、襲撃を恐れての厳しい道のりだった。

命からがら二人がたどり着いたのは、盲目の年老いた母(張少華)と暮らす、貧しい農民青年の山龍(彭博)の家だった。日本人だと知った山龍は、二人を殺そうとするが、愛の人間としての優しさを感じた母は、二人をかくまうことにする。山龍の父親は日本兵に殺され、母は泣き続けて目が見えなくなっていた。俊介は自分たちを守るために、愛を姉だと言ってしまう。

山龍母子にかくまわれて、愛は心を込めて家事を手伝い、俊介は山龍の畑仕事をして二人は生き延びていく。しかし、村人の目は厳しかった。そんなとき、村で産気づいた女性が出た。逆子で危ない状態だ。保健婦の愛は、手伝いたいと申し出るが、村人はそれを許さなかった。しかし、山龍の母が愛を呼び、愛の助けによって無事出産できたことから、村人たちは二人を受け入れるようになる。

山龍が愛に好意を寄せていることを感じた俊介は、汽車の通る道を見つけ、日本に帰ろうと愛に打ち明ける。列車に飛び乗った俊介が走ってきた愛の手を握ったとき、列車の上から構えられている銃に気づく。と同時に、俊介の手が離れて愛は置き去りにされ、銃声が響いた。

二人を追ってきた山龍に助けられ愛は、再び山龍の家で暮らすようになる。そのとき愛のお腹の中には、俊介の子が宿っていた。

 

「純愛」はいうタイトルから想像すると、男女の愛の物語のように思いますが、この映画は、もっと大きな愛を問いかけています。戦争に翻弄される人生の中で、厳しい決断を迫られる一人の日本女性が、敵味方を越えた人間の温かい愛の中で生き抜いていく「愛」の物語です。

盲目の母役の張少華の気高い雰囲気と、山龍役の山龍の温かい存在が心に残ります。

どんな状況の中でも決して失われなかったヒロイン・愛のひたむきな人を信じ抜く生き方は、彼女と接する人々の心の扉を開き、その人の中にある純粋さを目覚めさせていきます。共に生きる場を与えてくれた中国の人々の中で生涯を終えた“愛”の存在は、今、日中の架け橋となってくれるでしょう。そして、彼女が生きた愛の姿は、イエスの説いた愛を、一つの具体的な形として、わたしたちに見せてくれます。


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