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 胡同(フートン)の理髪師

2008年1月

The Old Barber 剃頭匠

胡同の理髪師

  • 監督:哈斯朝魯(ハスチョロー)
  • 作曲:査干(チャ・カン)
  • 出演:靖奎(チン・クイ) 、王洪濤(ワン・ホンタオ)、
       王山(ワン・シャン)、馬景竜(マ・ジンロン)
  • 配給:アニープラネット

2006年 中国映画 1時間45分


 

人生、こう生きたいと思わせる中国のお爺さんの生き様を追った、しみじみと心に迫る作品です。

物語

93歳の理髪師のチンお爺さん(靖奎)は、胡同(フートン)で昔ながらの理髪店を開いている。使いこんだカミソリを念入りに研ぎ、ていねいにひげをそっていく。最後に温かい蒸しタオルで顔を拭いてもらうと、さっぱりとした気分になって満足する。

朝6時、チンお爺さんの起きる時間だ。毎日5分遅れる時計のねじを直し、身だしなみを整えて一日を始める。おなじみさんが倒れたと聞けば、散髪とひげそり道具一式を荷台に積んで三輪自転車ででかける。胡同の狭い道をガタコトと走るチンお爺さんを、行き違う人は声をかけて道をあけてくれる。表通りは、大都会・北京の喧騒でしめられている。しかしチンお爺さんは、時代の変化に驚くことなく嘆くことなく、ゆっくりと自転車を走らせていく。

午後は、近所の仲間と麻雀を楽しみ、夜9時、チンお爺さんは床に入る。

ときどき、一人暮らしを心配した息子(馬景竜)が尋ねてくる。借家に住む彼は失業中。さらに子どもが生まれるという。いろいろとグチをこぼして帰っていく。料金をたくさん払うというお金持ちがいても、チンお爺さんは、規定料金しか受け取らない。

胡同の理髪師

今日のお客は、かつて胡同に住んでいたチャオお爺さん(王洪濤)だ。一人で暮らしていたが足腰が立たなくなり、心配した息子に引き取られていった。すばらしいマンションの広い部屋を与えられていたが、ベッドに寝たきりでひとりぼっちだった。息子や嫁の愛情のない対応への文句を、チンお爺さんはだまって聞いている。かつてと変わりなく温かく接してくれるチンお爺さんに、チャオお爺さんはここから感謝する。

ある日、そろそろ散髪の時期と思い、ミーお爺さん(王山)を尋ねた。声をかけても返事がない。ドアを開けるとそこには動かなくなったミーお爺さんの姿があった。さらに、チンお爺さんが亡くなったという知らせが届く。一度、道端で気分が悪くなったことがあった。チンお爺さんは、自分の死のために準備を始める。

オリンピックを前に、胡同は取り壊しが決まっている。役人が来て、チンお爺さんの家の壁にも、取り壊しの印が書かれた。

 

官と民との関係をユーモラスに描いた志の輔さんの落語は、庶民の喜怒哀楽をみごとに描いています。映画の最後に映し出されるコンサートの場面は圧巻で、本格的な歌声を披露します。多くの人と醸し出すハーモニーのすばらしさ、その音色は、コーラスのために協力してくれる職場の同僚、家族とのハーモニーから出るものでした。みんなを幸せにする歌。歌うことは、彼女たちの生きる力となっているのでした。

ステージには、由紀さおりだけでなく、お姉さんの安田祥子がコーラスのメンバーとして登場します。また、どんなことにも明るく立ち向かっていく五十嵐を魅力的に演じている安田成美の指揮者姿もステキです。人々が一つのことに力を合わせることのすばらしさ、歌うことの楽しさがしみじみと伝わってくる感動の作品です。

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