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 奇跡のシンフォニー

2008年6月

August Rush

奇跡のシンフォニー

  • 監督:カーステン・シュリダン
  • 脚本:ニック・キャッスル、ジェームズ・V・ハート
  • 音楽:マーク・マンシーナ
  • テーマ音楽:ハンス・ジマー、マーク・マンシーナ
  • 出演:フレディ・ハイモア、ケリー・ラッセル、
       ジョナサン・リース=マイヤーズ、テレンス・ハワード、
       ロビン・ウィリアムズ、レオン・トマス・3世、
       ジャマイア・シモーヌ・ナッシュ
  • 配給:東宝東和

2007年 アメリカ映画 1時間54分

  • 2008年度アカデミー賞主題歌賞ノミネート

今年の3月の放送されたアカデミー賞主題歌賞で、ゴスペル聖歌隊がステージに立ちました。その中でソロを歌った黒人の女の子の歌唱力に圧倒されましたが、そのノミネート曲を主題歌に持っているのが、この映画「奇跡のシンフォニー」です。

音楽について天才的な能力を持ちすてきな笑顔の少年エヴァンを演じるのは、フレディ・ハイモアです。「ネバーランド」、続いて「チャーリーとチョコレート工場」「アーサーとミニモイの不思議な国」と、元気で心やさしい少年を演じました。今、一番活躍している子役の一人です。

この映画では、ロック、クラシックなど、いろいろなジャンルの音楽が流れ、またホールでのライブ、オーケストラのコンサート、野外コンサート、路上パフォーマンスなど、いろいろな形の演奏が出てきます。音楽を志す人々のあこがれの学校、名門ジュリアード音楽院の様子もかいま見ることができます。

  「おとぎ話を信じる人がいるように、
  僕は音楽を信じてる。
  僕の耳に聞こえるものは、
  お父さんとお母さんからやってきた。」

音楽をとおして両親探しに出る少年の冒険物語、離ればなれになっていた父、母、子どもが出会い、自分の人生を自分らしく生きていくことの大切さと幸せを教えてくれる物語でもあります。

物語

ある満月の夜、コンサートのためにニューヨークにやってきた新進チェロ奏者のライラ(ケリー・ラッセル)は、ビルの屋上でロック・ミュージシャンのルイス(ジョナサン・リース=マイヤーズ)と出会い、一目でひかれ、すてきな夜を過ごす。しかし、父親の反対にあい、2人は引き離される。

奇跡のシンフォニー

その後ライラは妊娠に気づくが交通事故にあい、子どもが助からなかったことを知る。それ以来、田舎に引っ込み、演奏活動から離れて隠れた生活を送る。ライラを失ったルイスも兄たちと組んでいたバンドから離れ、金融ビジネスの世界で冷たい心で過ごしていた。

養護施設で生活している11歳のエヴァンは、いろいろな音がメロディに聞こえるという特別な才能を持っているため、仲間からいじめられていた。いつかきっと両親に出会ると信じているエヴァンは、電線に伝わる音にひかれて施設を出て、マンハッタンへとやってきた。街角でギターを弾いている少年アーサー(レオン・トマス・3世)に連れられて、路上演奏をする子どもたちが住んでいる廃墟の劇場へとやってくる。そこで子どもたちをまとめている元締めの男ウィザード(ロビン・ウィリアムズ)のギター演奏を見て、またたく間にギター演奏を身につける。

奇跡のシンフォニー

エヴァンの才能を見いだしたウィザードは、彼に「オーガスト・ラッシュ」という芸名を与え、路上演奏をはじめさせる。街の音を聞きながらギターをたたくように奏でるオーガストは、演奏が楽しくて楽しくてしようがない。子どもたちの中で、一番の稼ぎとなる。

しかし、劇場に児童福祉局の手入れが入り、子どもたちは逃げ出す。オーガストも逃げるが、ゴスペルの歌声にひかれて教会へと入っていく。オーガストはそこで聖歌隊員の少女ホープ(ジャマイア・シモーヌ・ナッシュ)と出会い、彼女から楽譜の読み方を教わる。彼にすごい才能があると気づいた牧師は、オーガストをジュリアード音楽院に推薦し、オーガストは見事入学する。

そのころ、ライラは臨終の父親から、実はあのときの赤ちゃんは生きていると聞かされる。エヴァンという子が我が子と知ったライラは、ニューヨークにとどまりエヴァンを探すことにする。

そのころルイスも、ライラへの思いを託した歌を作り、再び音楽の道に戻ろうと、かつてのバンド仲間とニューヨークにやってくる。

 

愛する2人が離ればなれになったことは、より深い音楽にたどり着くために必要だったのだと思います。エヴァンの両親への思いから、「求めなさい、そうすれば与えられるであろう。たたきなさい、そうすれば開かれるだろう」(マタイ7.7)という聖書のことばが思い出されます。また、エヴァンの才能に気づく同世代のアーサーとホープ、小さいながらも仲間を理解し育てる姿はすごいなと思います。

一つのステージに引きつけられていく3人の姿を描く最後のシーンは、思い出しても胸がジーンとします。エヴァン役のハイモア少年だけでなく、父親役のジョナサン・リース=マイヤーズの渋い歌と涼しい目、母親役のケリー・ラッセルのきりっとした美しさと母としての愛情あふれるやさしいまなざしがすてきです。苦しい別れと人生の挫折を経験した2人の、その後の成長もすばらしいです。見終わった後、とってもうれしくなる作品です。

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