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 旭山動物園物語

2009年1月

ペンギンが空をとぶ

旭山動物園物語

  • 監督:マキノ雅彦
  • 原案:小菅正夫著『〈旭山動物園〉革命―夢を実現した復
       活プロジェクト』(角川書店刊)
  • 脚本:輿水泰弘
  • 音楽:横内丙午
  • 出演:西田敏行、中村靖日、長門裕之、岸部一徳、柄本明、
       塩見三省、六平直政、萬田久子
  • 配給:角川映画

2008年 日本映画 1時間52分

 

北海道旭川市にある、日本最北端の動物園・旭山動物園は、入園者数が低迷し、市の財政困難から予算も削られて存亡の危機を何度も迎えていました。そのたびに、園長はじめ、飼育係たちはいろいろと工夫をしてきました。この映画は、現在では、年間300万人の入園者を数えるほどになり、新しい形の動物園運営の先駆けとなった旭山動物園の映画化です。

動物園再生の物語としてだけでなく、弱肉強食の動物の世界の厳しさ、動物たちのかわいらしさ、飼育係の動物への思い、動物園運営の厳しさが描かれています。また、若い飼育係の成長のドラマでもあります。

物語

旭山動物園の滝沢園長(西田敏行)は、朝、事務所に出てくると「園長、えさ代がないから、わかさぎ、釣ってきてや!」と事務職員から頼まれる。入園者が少なく、市からの予算も削られ、厳しい財政状況の中、施設の修繕費どころか動物たちのえさ代も確保できない状態だ。動物愛護団体からも「動物園廃止!」を叫ばれ、いつまで開園できるのか……。

そんな動物園に、ある日、小さいころからいじめられ、昆虫を友として育った吉田(中村靖日)が、新しい飼育係としてやってきた。動物園には、個性的豊かな飼育係たち(長門裕之、岸部一徳、柄本明、塩見三省、六平直政)が、独特の愛情を持って動物たちの世話をしていた。園長からの提案で、彼らは、人々を動物園に迎えるためにいろいろなアイデアを出し合う。

園長は、飼育係が愛を込めて育てている動物たちの姿を、直接人々の前で語るという「ワンポイントガイド」を提案した。口べたな飼育係たちは、最初は反発しながらも、説明のために猛練習をした。また、夜行性の動物たちの生態を観察するために「夜の動物園」をはじめた。動物園といえば、動物を檻の中に入れ、人々は檻の外から眺めるという形だが、自然の中にいる動物たちの生活をそのままにした提案が出て、冬、ペンギンたちが雪の動物園の中を歩いた。入園者たちは、ペンギンを間近に見ることができ話題となった。こうして次第に来園者が増えていった。

旭山動物園物語
(C)2009『旭山動物園物語』製作委員会

そんな中、キタキツネが動物園に入り込んだことが原因でゴリラが感染症になり、このことがマスコミに取り上げられて大問題となる。動物園は再び閉園の危機にさらされた。

なんとかしてその年の廃園を免れたものの、あいかわらず入園者は少なかった。そのころ、新市長・平賀(萬田久子)が就任した。当然、動物園の存続が問題とされた。吉田は動物園存続のため、市長に奇抜なアイデアを提案する。「ペンギンを空に飛ばします!」興味を持った市長によって、動物園改装のために2億円の予算が下りた。これに失敗したら、動物園の未来はない。吉田を中心にして、園長と飼育係たちの新しい動物園作りの戦いが始まった。

旭山動物園物語
(C)2009『旭山動物園物語』製作委員会

 

 

映画のサブタイトルになっている「ペンギンを飛ばします!」とは、どういう意味なのか……と思いました。動物園の新しい展示の仕方「行動展示」です。新しい動物園の形を示すものとなり、他の動物園が視察に来るようになりました。

旭山動物園物語
(C)2009『旭山動物園物語』製作委員会

任期が終わった園長が動物園を去るとき、すべての動物たちが一斉に鳴き出します。動物たちも分かっているんですね。去っていく園長が正門で動物園を振り返る姿に、こちらも涙が出てきました。もうひとつ、西田敏行園長のネクタイも必見です。ぜひ、ご覧ください。

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