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 木洩れ日の家で

2011年 4月

Pora Umierac

木洩れ日の家で

  • 監督・脚本:ドロタ・ケンジェジャフスカ
  • 音楽:ヴウォデク・パヴリク
  • 出演:ダヌタ・シャフラルスカ、クシシュトフ・グロビシュ
  • 配給:パイオニア映画シネマデスク

2007年 ポーランド映画 1時間44分

  • 文部科学省選定
  • 日本映画ペンクラブ推薦
  • 2007年 グディニヤ・ポーランド映画祭主演女優賞・観客賞(ポーランド)
  • 2008年 サンフランシスコ国際映画祭観客賞(アメリカ)
  • 2008年 トリエステ国際映画祭審査員特別賞・観客賞(イタリア)
  • 2008年 ベルジャーンシク国際映画祭最優秀作品賞・主演女優賞(スウェーデン)
  • 2008年 マルメ国際女性映画祭最優秀作品賞・観客賞(スウェーデン)
  • 2008年 ウィスコンシン国際映画祭観客賞(アメリカ)
  • 2008年 リーズ国際映画祭観客賞(イギリス)
  • 2009年 ジンバブエ国際映画祭最優秀作品賞(ジンバブエ)


物語

 

木洩れ日が美しいポーランドの森の中。「人生、最後の瞬間まで自分を生きる!」そんな思いで、一人暮らしを楽しんでいる91歳のアニュラ。古風な家の窓から入る日差しの中で目覚め、相棒の犬・フィラデルフィアと日々を過ごしています。好奇心が旺盛で、目がキラキラと輝いているアニュラは、遅い朝食が終わると、庭に出て読書をしたり、隣から聞こえてくる子どもたちの合奏に眉をひそめたりしながら、一日一日を自分の体力に合わせてそれなりに元気に過ごしています。

木洩れ日の家で 木洩れ日の家で

愛する夫はすでに亡くなり、息子(クシシュトフ・グロビシュ)も家を出て街中で家庭を構えています。時々孫を連れてきますが、わがままいっぱいに育ち、いつも何かを食べている孫には、アニュラへの優しさはこれっぽっちもありません。

2階のガラス窓から隣の家を見るのが、アニュラの日課の一つです。一軒は、週末だけ主人がやってくる愛人の家で好きではありませんでした。もう一方の隣家は、近所の子どもたちが集まってきては楽器の練習をしている音楽クラブのようです。子どもたちがやってくると騒々しくうるさくなりますが、彼らを温かく迎えるカップルには好感が持てました。

ある日、金持ちの隣人の家から男性がやってきて、アニュラの家を売って欲しいと言いました。とんでもない話です。アニュラはきっぱりと断りますが、しつこく電話がかかってきて、アニュラの心をかき乱します。

音楽クラブの家では、カップルは立ち退きを迫られているらしく不安げでした。

アニュラは体に不安を感じはじめていました。残りの時間が少なくなっていると分かったアニュラは、今後のことを真剣に考えました。愛情のない息子夫婦と孫、やさしさあふれる音楽クラブのカップル、木洩れ日の中の思い出深い我が家……。そしてアニュラは、ある思いを行動に移しました。

 

木洩れ日の家で

アニュラを演じるダヌタ・シャフラルスカは、この映画を撮影していたとき、アニュラと同じ91歳でした。95歳になる今も、現役として舞台で活躍しているそうです。高齢で体はガタガタになっても、子どものように輝くまなざしや、かわいらしい体の動きは、とても魅力的です。こんなおばあちゃんになれたら幸せです。上品で凜としているアニュラから、エネルギーをもらいました。女性の生き方をテーマにした作品を上映してきた、岩波ホールらしいすてきな作品です。


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