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 亡命

2011年 5月

OUTOSIDE THE GREAT WALL

亡命

  • 監督:翰 光
  • 企画・製作:山上徹二郎
  • 編集・製作:ジャン・ユンカーマン
  • 配給:シグロ

2010年 日本映画 118分



経済的にも、国際的にも急速に国勢を増している中国ですが、日本との間でも、尖閣諸島の問題だけでなく、いろいろな面で政府の態度が二転三転して、どうなっているの???と思ってしまいます。経済発展に比例して、国民の生活も自由になってきているのかなと想像すると、北京オリンピックのときの外国メディアへの対応や、政治犯への態度、特に民主活動家、劉暁波がノーベル平和賞を受賞したときの応対、またGoogle問題などを見ていると、政府による情報コントロールがまだまだ行われており、偏りがあるようです。中国はいったいどんな国なのでしょう。今、国民に対し、海外に対し、どういう姿勢を持っている国なのでしょうか?

中国は、まだまだ、自由ではないぞ、民主的ではないぞ……と教えてくれるのが、この「亡命」という作品です。監督は、留学生として来日して以来、日本と中国の関係を描いてきた翰 光氏です。

監督プロフィール
1958年、中国東北部生まれ、ドキュメンタリー映画監督、作家。
1987年、留学生として来日。
1992年、『曽おばさんの海』(朝日新聞社刊)で、第7回ノンフィクション朝日ジャーナル大賞を受賞。
2000年、中国から従軍慰安婦として連行された女性が故国・中国へ帰るまでを描いた「チョンおばさんのクニ」(シグロ製作)、
2007年、日本軍が犯した性暴力被害の女性たちを追った「ガイサンシーとその姉妹たち」を監督。

  → お薦めシネマ“ガイサンシー《蓋山西》とその姉妹たち”

翰監督が学生時代に影響を受けた知識人たちが、1989年の天安門事件以後、中国大陸から姿が見えなくなりました。やがて監督は、彼らは海外に亡命していることを知りました。彼らは今も、亡命先で暮らしています。民主化を求めるこれらの人々へのインタビューをとおして、どのような人で、なぜ国を出なければいけなかったのか、なぜ今も祖国に戻らないのか、祖国をどう見ているのか……などを映し出していきます。この映画をとおして、今の中国をより理解できるのではないかと思います。


出演者
鄭 義 : 作家 1947年生まれ。
       1979年小説「楓」で文壇デビュー。
       天安門事件で指名手配を受け、逃亡生活の末、1993年に夫婦でアメリカへ亡命。

高 行健 : 劇作家、画家 1940年生まれ。
        フランス演劇を研究するが、1980年代、国内で何度も新作上演を禁止される。
        1989年、ヨーロッパ訪問中に天安門事件を知り、亡命を決意する。フランス在住。
        2000年、小説「霊山」でノーベル文学賞受賞。

王 丹 : 歴史学者 1969年生まれ。
       天安門民主化運動の学生リーダーとして指名手配となり、逮捕される。
       6年間の獄中生活の後、98年に亡命。ハーバード大学で歴史学を研究する。

楊 建利 : 政治活動家 1963年生まれ。
        2002年に労働者運動実態調査のため中国に密入国し、逮捕され5年の刑を受ける。
        2007年、アメリカに出国。

張 伯笠 : 牧師 1959年生まれ。
        天安門事件当時、広場で新聞を発行。KGBに拘束され強制送還。
        2年間国内潜伏し、1991年、アメリカに亡命。
        現在ワシントン郊外の豊作協会で牧師を勤める。

胡 平 : 政治評論家 1947年生まれ。
      1987年アメリカ留学中、天安門事件に出会い、亡命を決意。
      現在アメリカの中国語雑誌「北京の春」編集長。

黄 翔 : 詩人 1941年生まれ。
      1979年、アメリカ大統領に送った公開書簡が鄧小平の怒りに触れ拘束される。
      6回の投獄を経て、1997年アメリカへ亡命。

徐文立 : 政治家 1943年生まれ。
       鄧小平時代に政治組織を結成。2002年、アメリカへ亡命。

馬徳昇 : 画家 1959年生まれ。
        1985年スイス経由でフランスへ。

王 克平 : 彫刻家 1949年生まれ。
        1984年にフランス移住。

陳 邁平 : 小説家、劇作家。1952年生まれ。
        「民主の壁」二酸化。天安門事件後、スウェーデンへ亡命。


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