home>シスターのお薦め>お薦めシネマ>思秋期

お薦めシネマ

バックナンバー

 思秋期

2012年10月

TYRANNOSAUR

思秋期

  • 脚本・監督:パディ・コンシダイン
  • 音楽:クリス・ボールドウィン、ダン・ベイカー
  • 出演:ピーター・ミュラン、オリヴィア・コールマン、エディ・マーサン
  • 配給:エスパース・サロウ

2011年 イギリス映画 1時間34分

  • 英国アカデミー賞新人作品賞受賞
  • サンダンス映画祭監督賞/審査員特別賞受賞
  • 東京国際映画祭ワールドシネマ部門正式出品、他多数受賞

大きな傷を抱えている中年の男女が出会い、互いに癒やし、励まし、支える存在となっていく姿を描いた心に残る作品です。信仰の深い彼女ですが、それでも時には迷い、疑い自暴自棄になることもある。人間の弱さと優しさを、しみじみと感じる作品です。


物語

妻を亡くし、仕事もなく、酒におぼれて自暴自棄な生活を送っていたジョセフ(ピーター・ミュラン)は、何に対しても怒りを爆発させ、周囲に暴力を振るっていた。空しいと思っていても、自分でどうすることもできなかった。

思秋期
(C) CHANNEL FOUR TELEVISION / UK FILM COUNCIL / EM MEDIA /
OPTIMUM RELEASING / WARP X / INFLAMMABLE FILMS 2010


ある日の朝、また暴力を振るって店のショーウィンドウを割ったジョセフは、逃げるようにしてチャリティー・ショップに逃げ込んだ。洋服の影に隠れたジョセフに、店を任されているハンナ(オリヴィア・コールマン)が声をかけた。彼女は何も聞かず、ジョセフのために祈った。

思秋期
(C) CHANNEL FOUR TELEVISION / UK FILM COUNCIL / EM MEDIA /
OPTIMUM RELEASING / WARP X / INFLAMMABLE FILMS 2010


「迷える彼に、道を探す力を与えてください」。自分のために祈ってくれるハンナの存在は、少しずつジョセフの心を溶かしていった。自分を慕ってくれる近所の子ども・サムとハンナの笑顔が、無くしていたジョセフの優しさを引き出していった。

ジョセフにとって女神のようなハンナだが、彼女も夫・ジェームズ(エディ・マーサン)との間に深い闇を抱えていた。

思秋期
(C) CHANNEL FOUR TELEVISION / UK FILM COUNCIL / EM MEDIA /
OPTIMUM RELEASING / WARP X / INFLAMMABLE FILMS 2010


 

信仰者の理想のようで、人を包み込む癒やしのハンナと、神を罵倒するハンナ。人間が持っている矛盾と見えるようないろいろな面を、ハンナに見ることができます。それはジョセフにもあてはまります。

人間の中にある善と悪、信頼と破滅。監督はいろいろなテーマを見せてくれます。見た後で話し合い、映画から学ぶことができる作品だと思います。


▲ページのトップへ