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 愛、アムール

2013年 3月

AMOUR

愛、アムール

  • 監督・脚本:ミヒャエル・ハネケ
  • 出演:ジャン=ルイ・トランティニャン、エマニュエル・リヴァ、
         イザベル・ユペール
  • 配給:ロングライド

2012年 フランス、ドイツ、オーストリア映画 2時間7分

  • 第85回アカデミー賞外国語映画賞受賞(作品賞、監督賞、主演女優賞、脚本賞ノミネート)
  • カンヌ国際映画祭パルムドール受賞
  • ヨーロッパ映画賞 作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞受賞
  • LA批評家協会賞 作品賞、主演女優賞受賞
  • ボストン映画評論家協会賞 最優秀外国語映画賞、主演女優賞受賞
  • 全米批評家協会賞 作品賞、監督賞、主演女優賞受賞

2時間という長さですが、最初から最後まで、二人の世界に引き込まれていて、エンディングロールになって、やっと我に返り、「ああ、終わったのだ」と感じたほど、圧倒された作品です。

主人公の老夫婦を演じるのは、1927年生まれ、85歳になるエマニュエル・リヴァと、1930年生まれ、80歳になるジャン=ルイ・トランティニャです。この年齢にならないと醸し出すことのできない二人の演技は、第65回カンヌ国際映画祭パルムドール、本年度アカデミー賞外国語部門最優秀賞など、数々の映画祭で受賞しました。

物語


ベッドの上で、礼服を着た老いた女性が、花に囲まれて亡くなっていた。閉じられたドアを開けて、部警官たちが部屋に入ってきた。

パリに住むジョルジュ(ジャン=ルイ・トランティニャン)は、妻アンヌ(エマニュエル・リヴァ)の愛弟子のピアノコンサートに向かった。世界的に有名になった愛弟子の師として、アンヌは誇らしげだった。事実、アンヌは凛として美しかった。

愛、アムール
(C) 2012 Les Films du Losange - X Filme Creative Pool -
Wega Film - France 3 Cinema - Ard Degeto - Bayerisher Rundfunk -
Westdeutscher Rundfunk


しかし、80代の二人には思いもよらぬ危機が迫っていた。翌朝、二人が朝食をしているとき、急にアンヌの様子が変わったのだ。ほんの数分のことだが、アンヌから表情が消え、別に世界に行っているようだった。すぐもとのアンヌに戻ったが、そのことをアンヌは覚えていなかった。病院へ行き、手術が行われた。しかし手術はうまくゆかず、下半身マヒが残り、アンヌの身体は次第に不自由になっていき、自分のことも分からなくなるときが来ると説明された。

家に帰りたいというアンヌの強い願いで、アンヌは車椅子に乗って家に帰ってきた。アンヌは「2度と病院に戻さないで」とジョルジュに懇願した。プライドの高いアンヌにとって、病院での生活は屈辱的だったのだ。アンヌのことを考え、ジョルジュは家で彼女の世話をし、二人で生きていく決心を固めた。

最初は戸惑ったが、次第にアンヌの世話も要領を得ていき、二人は穏やかな日々を送っていた。一人娘のエヴァ(イザベル・ユペール)も、アンヌの状況を聞き混乱していたが、両親の願いを受け入れ見守ることにした。

愛、アムール
(C) 2012 Les Films du Losange - X Filme Creative Pool -
Wega Film - France 3 Cinema - Ard Degeto - Bayerisher Rundfunk -
Westdeutscher Rundfunk


愛、アムール
(C) 2012 Les Films du Losange - X Filme Creative Pool -
Wega Film - France 3 Cinema - Ard Degeto - Bayerisher Rundfunk -
Westdeutscher Rundfunk


しかし、アンヌの症状は、時とともに確実に悪くなっていった。看護師やヘルパーをお願いしたがうまくいかず、次第に社会からも離れ、二人だけの世界に入っていった。自分のことも分からなくなっていくアンヌに、ジョルジュは懐かしい昔の日々を話し始めた。

 

映画を見た高齢の男性たちが、「身につまされるね」と話している声が聞こえました。夫が、妻が、両親が……と、自分だったらどのようにするだろうかと、いろいろな面から考えさせられる作品です。


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