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オマールの壁

2016年 4月

OMAR

 オマールの壁

  • 監督・脚本・製作: ハニ・アブ・アサド
  • 出演:アダム・バクリ、ワリード・ズエイター、リーム・リューバニ、サメール・ビシャラット、エヤド・ホーラーニ、ワリード・ズエイター
  • 配給:アップリンク

2013年 パレスチナ映画 1時間37分

  • 第86回アカデミー賞外国語映画賞ノミネート
  • 第66回カンヌ国際映画祭ある視点部門審査員賞受賞
  • 第27回AFIフェスト監督賞ノミネート
  • 7回アジア太平洋スクリーン・アワード作品賞受賞、主演男優賞ノミネート
  • 他、多数受賞

パレスチナから、厳しい現実を示す作品が届きました。


物語

ヨルダン川西岸地区に設けられたコンクリートの高い壁。ここに付けた太いひもをたどって8mの壁をよじ上る一人の青年がいる。壁を上って向こう側に身体を向けたとたん、足元に銃弾が飛んできた。あわてて飛び降りる。パレスチナの町に住むオマールは、壁を上っては、恋人のナディア(リーム・リューバニ)に会いに行っていた。まだ学校に通っているナディアも、オマールとの結婚を夢見ていた。オマールは昼間はパン屋で働き、結婚資金を貯めていた。優しいナディアと出会った後、オマールは、幼なじみのアムジャド(サメール・ビシャラット)とナディアの兄のタレク(エヤド・ホーラーニ)と落ち合った。彼らは、武装組織から銃を手に入れ、パレスチナ解放のために、イスラエル軍への襲撃作戦を練っていた。

ある日、イスラエル兵から侮辱されたオマールは、作戦の決行にふみきる。夜、3人は、壁の検問所を目指した。アムジャドの撃った弾が、一人の兵士に命中した。あわてて逃げる3人。しかし、数日後、オマールはイスラエルの秘密警察に捕らえられた。裸にされた身体を吊され、拷問を受けた。撃った仲間の名を言えと問い詰められるが、オマールは口を割らなかった。

囚人たちが庭に出る時間のとき、ある男性がオマールに近づいてきた。「囚人に混じって警察が来ているから、気をつけろ。だれにも絶対に自白するな」と耳打ちした。「絶対に自白しない」と答えたオマールだったが、男はオマールのその声を録音し、これをオマールの自白の証拠としようとしていた。男は、イスラエル秘密警察のラミ捜査官(ワリード・ズエイター)だった。

 

拷問に加え、スパイにして仲間を裏切らせ、だれも信じることができないようになる若者たち。イスラエルと西岸地区を隔てるためにできた壁は、仲間の間にも高い壁となって信頼を壊していきます。つらい現実の中で生きる若者たちに課せられた重圧に、胸が苦しくなります

ナディアを演じるリーム・リューバニの愛くるしい美しさが、厳しい内容の中で、見る者の心をホッとさせます。


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