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太陽の下で –真実の北朝鮮–

2017年 1月

UNDER THE SUN

 太陽の下で

  • 監督・脚本:ヴィタリー・マンスキー
  • 音楽:カルリス・アウザンス
  • 出演:リ・ジンミ
  • 配給:ハーク

2015年 チェコ、ロシア、ドイツ、ラトビア、北朝鮮映画
 1時間50分

  • 第40回香港国際映画祭審査員賞受賞
  • 第59回サンフランシスコ国際映画祭最優秀ドキュメンタリー賞ノミネート
  • 第18回DocAviv映画賞国際コンペティション部最優秀監督賞受賞
  • 第19回イフラバ国際ドキュメンタリー映画祭中央被害ヨーロッパ最優秀ドキュメンタリー賞受

「北朝鮮って、いったいどういう暮らしをしているの?」「人々の食事は?」ミサイル発射のときなどのテレビの映像で見る北朝鮮の町の様子は、外国人ジャーナリストに許可されたごく一部を都合よく見せているものであり、人々の本当の生活の姿ではない、と、わたしたちは知っています。では、本当の北朝鮮の人々の生活は、どうしたら知ることができるのでしょうか。

だれもが抱くこの疑問に、ロシア出身のドキュメンタリー映画の監督ヴィタリー・マンスキーがいどみました。監督は、1年間、平壌に住む8歳の少女ジンミの家族とともに生活し、彼女の家族や友達を中心にして、平壌に住む人々の様子を映像に収めました。

ジンミと両親が食卓を囲んでいます。子どもを抱える若夫婦のごく普通の生活ですが、家具も少なく、台所用品も質素で、実際にここで寝起きしているようには思えません。食卓の料理の内容、食事の仕方も、すべて黒い服をきた人々が指図して、そのとおりに動く家族3人を撮影します。区切られた空間の中の、演出された生活が北朝鮮の人々の生活であるように撮影指示するのです。

太陽の下で


ジンミは朝鮮少年団に入団するために準備しています。クラスの中で成績が上の5名ほどしか入ることができません。入団するために、勉強をしなければなりません。入団準備のために集まった子どもたちの前で教えるのは、胸に勲章をたくさん付けた高齢の軍人です。軍人の面白くない話にジンミの目が閉じてきます。眠気と必死に戦うジンミ。兵士の話が終わったかと思ったら、指示が出てやり直しとなりました。これもやらせです。

選ばれた子どもだけに許される入団の日。家族にとって誇らしい喜びの日。子どもたちがささげた赤い花に囲まれた金日成、金正日の大きな肖像画の前で、入団した子どもたちの家族が、次々と記念写真を撮っていきます。ジンミ家族もやってきて、撮影していきました。うれしいはずの日ですが、どこか型にはまっていて動かされている感じがします。朝鮮少年団に入ったジンミは、金日成の誕生日である「太陽節」で祝う踊りを訓練しています。「笑顔!」厳しい声が飛びます。

太陽の下で


ジンミは少年団員として固く決意します。「大元帥様たちの教訓を守り、金正恩元帥様の教えのとおりに行動し、・・・・」。眠たかったり、訓練するのが辛くて涙を流しても、それは許されず、大人が求めることに必死に応えようとするジンミ。監督はジンミに尋ねます。「好きな詩は何?」ジンミが答えた詩は、金日成をたたえる詩でした。

 

「ああ、ジンミのような小さな子も、すっかりやられているのか!」小さいころからの訓練で、将軍様をたたえる姿勢と笑顔が作られていく様子を、カメラはわたしたちにしっかりと伝えています。


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