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father カンボジアへ幸せを届けたゴッちゃん神父の物語

2018年4月

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  • 監督(製作ボランティア代表):渡辺考
  • 朗読:古舘寛治
  • 音楽・演奏:半野喜弘
  • 出演:後藤文雄、メアス・ブン・ラー、チア・ノル、チア・サンピアラ、ソムナム・ダッチ、コン・ペン、後藤憲雄
  • 配給:新日本映画社

2018年 日本映画 1時間35分




カトリックの神父は独身性を守っているので、自分の子どもがいないはずですが、ここに「おとうさん」と呼ばれている神父がいます。東京のカトリック吉祥寺教会で働いている神言会の後藤文雄神父です。彼は、カンボジアの難民の子どもたちを引き取って一緒に生活し、里親となって14人の子どもたちを育ててきました。

2015年8月、86歳の後藤神父は、これが最後の旅になるかもしれないと思い、大人となってカンボジアで活躍する里子たちを訪ねる旅に出ました。

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(C) 一般社団法人ファザーアンドチルドレン


この映画は、子どもたちと出会うこの旅をとおして、後藤神父のカンボジアの子どもたちをなぜ里子にしたのか、厳しい祖国での状況から逃れてきた子どもたちの心の傷とどのようにつきあってきたのか、里子たちとのかかわりからカンボジアに20近い小学校を設立したいきさつを描いていきます。

このような働きをする後藤神父を生んだのは、故郷・長岡での空襲の体験でした。後藤神父は、1941年に、新潟県長岡市にある常道真宗のお寺に、7人兄弟の次男として生まれました。先生たちの教えを信じた皇国少年だった後藤少年は、1945年8月1日の長岡空襲で、最愛の母、妹と二人の弟を失いました。このときの体験が、後の後藤神父の行動の土台となりました。戦争という時代の中で学校で先生たちが言っていたことは間違っていたということから、教育の大切さをひしひしと感じました。

1970年代、カンボジアから難民が日本に逃れてきたとき、何もしゃべることができない子どもたちの心の傷をいやすためにどうしたらよいのか、後藤神父は、目の前の子どもたちとのかかわりから多くのことを学び、必要から行動に移していきます。

自然体でありながら、心の中に確かな芯を持っている後藤神父の魅力に引きつけられた人々が、後藤神父のドキュメンタリーを作りたいと動き出し、この作品が生まれました。時代の動きから生じる出来事に対処していくことで、さまざまなことを実現してきた後藤神父の生き様は、見る者に多くのことを語りかけてきます。

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カトリック吉祥寺教会で行われた映画試写会で、
後藤神父(右)と製作スタッフ


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