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新世紀ルーツへの巡礼

目次

 パウロ家族創立100周

 7)固有の使命、固有の霊性2

ステンドグラス

パウロ家族創立100周年を迎える歩みの中で、パウロ家族メンバーは、創立者をとおして示された固有の使命の根幹をとらえておく必要があると実感し、社会から、教会からの呼びかけの回答を探し求めています。

「世紀を分かつ夜」の創立者の記述をこの視点から読み直す時、創立者が強調し、繰り返して用いていることがあることに気づきます。

それは、「新しい手段」を使って福音宣教を行っていくということがその一つです。

新しい手段であり、最も迅速で効果的な手段とは、「世紀を分かつ夜」の体験の時代には大衆全体に語りかけることのできるメディアであると考えられていました。

創立者の原点であり、神が創立者をとおしてわたしたちに与えられた固有の使命とは、今、原点にかえる時期にきているのではないかとパウロ家族は感じています。

もう一つの視点は、「組織」、「団体」、「人びととともに」ということです。
19世紀までの福音宣教は、たとえ主体が教会にあったにせよ、実際は一人ひとりの司祭の力によって行われていました。
しかし、創立者は組織として福音を宣教しなければならないと感じ、別の言葉で表現しながら、何回も繰り返しています。

はっきりとこう述べています。

組織に加入することにより、トニオロ氏が繰り返しその必要を力説していたことを実現できるのではないかと思った。
氏はよく次のように言っていた。
「団結しなさい。もし、わたしたちが各自孤立しているのを敵が見つければ、きっと順々にひとりずつわたしたちを打ち負かしてしまう。」

これは、わたしたちの固有の使命の原点は組織として行う福音宣教であるということです。
これは、教会の歴史の中で手段よりももっと新しい視点です。
創立者の使命の対象は、大衆であり、社会でした。
「大衆の中に福音を浸透させる必要」と言い表しています。
創立者は、社会性、社会問題ということをいつも考えていました。これは、現代に生きるパウロ家族にとって今も呼びかけてくる一つの挑戦です。

創立者が生きていた時代にヨーロッパに接近していた近代主義、共産主義などの中で、信徒たちがどのように政治に参加するべきかどうかで相争い、分裂が起こったのです。

個人が一生懸命信仰上の答えを模索して結論を出し、生きようとしていた状況の中で、創立者は社会問題に対して明確な形で生き、パウロ家族の固有の使命に関わるように認識されていったのでした。

つまり、わたしたち固有の使命の根幹にあること、それは社会性であり、組織性です。福音を述べ伝えるわたしたち自体もそうであり、対象である社会もそうであるということなのです。

一人ひとりに働きかけていくと同時に、社会を福音化するために、より効果的に働くために、創立者は使徒的オピニオン・リーダーを見分け、準備することを、最も重要な課題としていました。
しかし、今そのコンセプトが通用するかどうかは見ていかねばならないことです。

わたしたちにとって、この社会が福音化されていくために必要不可欠な手段、場がみつかれば、それを優先していく必要があります。そのために、より迅速で効果的な手段が用いられていくのです。

社会性、組織性などへの敏感さ、具体的な今の社会、教会の敏感さがわたしたちの中にそなわっているかが問われているのです。

この社会全体、世界全体ということを視野にいれながら、わたしたちパウロ家族の固有の使命の実現は、個人ではなく、組織、そして、修道者でなくてはならないという結論にいたっていくのです。

組織的なものとして、社会性をもったものとして初代教会をとらえていったのは、使徒パウロであり、この視点からも創立者はパウロを生きていったと言えるでしょう。

パウロが、信仰の最終的な成熟した段階としているのは組織、キリストの体、共同体としての成長です。キリストと一致できる道は、わたしたちが教会という有機的な組織体を作り上げ、お互いが補い合い支え合ってすべてが結び合ってはじめて意味をなし、力を得、はじめてキリストと一致できるという考え方です。

創立者は、自分一人で使命を果たそうとは思っていません。

「空想で未来を徘徊しているうちに、新世紀の寛大な人たちは、きっと自分が今感じているようなことを感じるのではないかと思われるのだった」と、彼らとともに新しい使徒となることを願っていました。

「彼はすでに、神学生仲間と思いを分かち合っていました。彼は彼らと、彼らは彼というふうに」という言い方で、常に組織として感じていく感性が、創立者の中にあったのです。

修道会、パウロ家族が今日生きたパウロとなるように。「社会的体をもったパウロ」の姿、創立者のこの感覚を身につけていく必要があると、今も呼びかけられているのです。

◆12-創立100周年に向かって


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