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新世紀ルーツへの巡礼

目次

 パウロ家族は創立100周

 8)固有の使命、固有の霊性3

DF日本語

「前世紀と今世紀の境を分ける夜は、パウロ家族がそのうちにこそ生まれ生活していくことになる固有の使命と霊性にとって、決定的な夜であった」という創立者の記述の中で、今まで使命について視点をあてながら見て参りました。
2013年 8月20日より創立100周年の準備は、3年目に入ります。

今回からはあの夜の体験には、霊性の根幹も示されているという視点で見ていきたいと思います。

創立者にとって霊性・祈りは宣教へ、宣教は霊性へという一つのもの、統合されていたもの、彼の言葉では「全体」ということで表現され、分けられないものですが、わたしたちが考え深めていくには「宣教」と「霊性」という視点から見ていかざるをえません。

今日、人びとから会員に「聖パウロ家族の霊性は何ですか」と問われるなら、だれでも即 「道・真理・いのちである師イエス・キリストを中心とした霊性です」と答えるに違いありません。しかし、この概念、表現がこの世紀を分かつ夜の中で、はっきりと明記されてはいません。創立者自身も深く直感的に理解したことを言語化するために時が必要であり、生きていく中で少しずつ深められ、表現されていったのだと思います。それは、イエスが人間としては通常の成長の道をたどったのと同じです。

1920年代から1930年代にかけて創立者は会員に行った人間的・霊的・使徒的養成の働きに関し、1932年『Donec Formetur……』(『キリストがあなたがたのうちに形づくられるまで』。以下DFと記す)という本を出しています。

この本は創立者が自ら生き、その後、当時の志願者たちに教え、生きさせたプロセスと結果について、書かれたもので、長年の働きの結実と言えます。

DFはパウロ家族の会員みなが理解し、生きるようにと創立者が望んだ、人間的・使徒的・霊的養成の指針であり、パウロ家族全体に一つの方向性を与えた最初の本です。

創立者は、修道会の発展の途上で会員の中からキーパーソンを選び、彼らにいろいろの視点で指導し、任務を与えていきましたが、教会刷新の波の中で彼の精神を受け取り深めていく歩みが真の意味で始められたのは、彼の死後と言えるのではないでしょうか。そして、創立者の生存中には創立者により頼んでいたので、その必要も切実には感じていなかったとも言えます。

それにしても、 「道・真理・いのちである師イエス・キリスト」については、今もって深めのプロセスの中にあると言えるでしょう。

1996年には聖パウロ修道会において、師イエス・キリストに関する国際セミナーが開かれ、このセミナーの後には、会員の中から師イエス・キリストについての研究や出版がされました。

2001年には、パウロ家族の代表者による研究のまとめが出版されました。その委員会のメンバーは、この書を紹介しながら、こう言っています。

わたしたちはカリスマ継承のより深いところに分け入るために、わたしたちの研究は歴史から神学に向けられました。
アルベリオーネ神父のテキストにアプローチしながら、わたしたちは「霊性と使命に関するただ一つのプロジェクト」を発見することができました。
1959年に創立者が素描した「師イエスの百科事典のプロジェクト」がそれです。…このプロジェクトの中心には道・真理・いのちであるキリストがおられます。

再度、アルベリオーネ神父の話に戻るなら、彼は、レオ13世回勅「タメトゥシ・フトゥーラ」の中で言われている道・真理・いのちであるイエス・キリストの教え、視点を学びとったと考えられています。しかし、実際に具体的な形として道・真理・いのちの視点が発展していくのは、「司牧神学」を学びながら、それをすべてにあてはめていく歩みの中で深めていったと言われています。

それはまた、神学校時代に指導司祭であったキエザ神父と話し合いながら司牧神学の構想をねっていた時でした。

アルベリオーネ神父は1913年に出版されたクリーグの著作『司牧神学』(イタリア語訳)に、個人的なメモをつけて読んでいます。この著作』第1巻の中に、道・真理・いのちであるキリストを中心とする組織的司牧プロジェクトを理解するための、基本的要素を発見できます。

全世界の人びとを見つめていきながらの司牧のあり方、そこに真理・道・いのちというとらえ方をあてはめていきます。

アルベリオーネ神父が意図したイエス・キリストとは、わたしたちが生き、世に伝えるべき道・真理・いのちである師という総合的ビジョンの要点を提供しています。

・まず、教える権能。教師としての権能。
 預言的な務めと言われていること、福音を宣教すること、教導職、これに真理であるイエスを結びつけていきます。

・次に、統治する権能、司牧する権能。
 人びとを愛するという務め。教えの中にこの権能を結びつけていったのが、道であるイエス。

・司祭職の権能。秘跡を執行し、人びとの真の礼拝を助けていく、支えていく権能。
 この務めといのちであるイエスを結びつけていきました。

このプロセスには、いつも創立者に大きな影響を及ぼしたキエザ神父が存在しています。 『司牧神学ノート』や、『キリストがあなたがたのうちに形づくられるまで 』の中で、創立者の中でだんだんと明確になっていったのです。

◆12-創立100周年に向かって


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