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民主党政権は生まれるか

「あけぼの」2007年10月号より)酒井新二


自民党の歴史的大敗という参院選の結果は“安部政治”に対する国民の厳しい批判を明確にした。片山虎之助参院自民党の落選がそれを象徴している。1989年の宇野総理、1995年の橋本総理の退陣がいずれも参院選敗北によるものであったことをみれば、衆院総選挙でないことを理由に安部退陣を回避することは国民の政治的意思を愚弄するものべきであるという


安倍総理の居残り


麻生外相は安倍総理に「罷(や)める必要はない」といったそうだが、それは次の衆院選挙は安倍総理では戦えないことを見越した上での、見えすいたおためごかしだといわなければならない。自民党の中川秀直幹事長、青木幹雄参院議員会長がいずれも辞意を表明したことは、ことの重大性を示したものであり、安倍総理・総裁のみが居残ることはむしろ異様である。自民党の現実は、安倍氏に代わる総理・総裁候補が直ちに見つからないということであり、国民にとってはこのことのほうがむしろ憂うべき現実というべきであろう。戦後60年余、日本の政界はあまり苦労を知らぬ二代目、三代目という世襲的政治家がまかり通る時代である。これでは現在の難しい国内・国際政治に対応できる政治は生まれてこない。日本が一流国家として存続する条件が失われつつあることに、国民は眼を開かなければならない。


“反自民”の反映


今度の参院選の自民党の敗北は一人区の6対23という数字に象徴されている。「私を選ぶか小沢一郎氏を選ぶかの選挙でもある」と明言した安倍氏が大敗北後に続投するというのでは国民にとってはまことに不可解である。今度の自民大敗の理由のひとつは、本来の自民党票のかなりの部分が民主党に流れたことによるといわれている。民主党の勝利は安倍自民党に対する国民の大きな失望の現れであり、必ずしも民主党自体に対する共感・支持ということはできない。民主党の勝利はいわば“反自民党”の反映である。


自・公連携の破綻


「朝日新聞」の出口調査では自民党支持層うち比例区で25%が民主党に投票したという。最近の公明党立候補者の当選はほぼ100%だったが、今度は改選者12名のうち当選者は9名にとどまった。創価学会員が必ずしも公明党を支持しなかったということであり、これも前代未聞のことというべきである。ある意味で自・公の連携は破綻しかけているのであり、公明党はいま今後の自民党との関係をひそかに模索しているに違いない。

池田大作創価学会名誉会長の健康が問題視されている現在、創価学会=公明党の今後の 動向は日本の政界に多くの波紋を投げかける要因となっている。


創価学会解剖


 (以下「朝日新聞アエラ編集部」の『創価学会解剖』による)

1993年の夏、自民党の38年間の単独政権が倒れ、細川内閣が誕生すると、公明党は直ちにこれに参加した。ところが翌1994年、自民党が再び政権に復帰するや、公明党の国会議員の大半は新しくできた野党「新進党」に合流し、参院議員の一部と地方議員は従来の党組織に残った。1997年暮れに新進党が解党すると、1998年11月に創価学会の支持の下で公明党は単独政党として復活したのである。当時の神崎武法代表は「利権政治に終始する自民党政権に厳しく対峙し、野党に軸足を置く」ことを強調した。

それからわずか8か月後の1999年7月党大会では、同じ神崎氏が自民党との連立政権に踏み切ることを明らかにしたのである。この変わり身の早さと、矛盾した言動も戦後一貫した「保守化の奇跡」の流れの中でとらえると、実は当然の帰結だということがわかる。


権力との関係


創価学会の勢力が頭打ちとなった1970年代以降、公明党単独もしくは公明党を中心とする政権樹立の展望は困難になった。学会は攻めから守りに転じ、公明党は与党(自民党)とことを構えず、キャスティング・ボート(決定権)を握る戦略をとることになった。つまり最も強い政治勢力と手を組むという行動パターンである。(引用終わり)

創価学会=公明党は常に権力中枢との関係を保持することを至上命題としている。そのためには手段を選ばない。権力から遠ざからないために常に「保険をかける」のである。創価学会は対立する共産党との間でもかつて「創共協定」を結んだことがあるし、1980年には公明党は当時の社会党とも「社公合意」を結んでいるのである。このような“保険戦略”は“池田大作の創価学会”ひそむ陰の部分である。

今度の安倍自民党の挫折が次の衆院選挙にどのような影響を及ぼすか、小沢民主党の政権奪取は実現するのか。創価学会=公明党にとっても、いま正念場をむかえているといえる

参院戦後初の与野党対決の場は11月1日に期限が切れる「テロ対策特措法」の延長問題として登場した。自衛隊をイラクに派遣するために作られた違憲的立法のひとつである。民主党は7月31日同法の延長に反対する意向を明らかにした。これによって自民・民主両党の選挙後初の対決が用意されたことになる。


改造と党人事


9月に予定される安倍内閣の改造と自民党役員人事が安倍政権の今後を占う鍵となることは間違いない。果たして安倍総理はこの2つのハードルをうまく飛び越えることができるだろうか。小沢代表は自らの健康の保持と安倍政権をできるだけ早く解散・総選挙に追い込み自民党に勝って史上発の民主党中心の政権を樹立することができるか、“戦後政治”の大きな総括がいまなされようとしている。


著者紹介:
酒井 新二(さかい しんじ)
共同通信社社長を経て同社顧問。1986年、フランス国家功労勲章オフィシエ章受章。著書『カトリシズムと現代』『カトリックが拓く日本の道』『日本の進路・キリスト者の選択』ほか

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