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ノマディック美術館“ashes and snow”

2007/03/18

ノマディック美術館

大きな象と本を読む少年が映し出されたセピア色の写真。この広告をご覧になった方もいらっしゃると思います。大きな動物と小さな人間を、シンプルな構図で撮影したのは、グレゴリー・コルベール。カナダ出身のアーティストです。3月11日(日)~6月24日(日)まで、東京・お台場の東京テレポート駅前特設会場で、コルベールの作品の展示会、ノマディック美術館“ashes and snow”が開催されています。展示場内は撮影禁止なのでご紹介できませんが、外側の画像でご紹介します。

“ashes and snow”でコルベールは、写真だけでなく、映像、美術装置、手紙形式の小説など、いろいろな形の表現で、深い精神性があり、魂への呼びかけを感じる不思議な世界を創り出しています。コルベールは、インド、エジプト、ミャンマー、トンガ、スリランカ、ナミビア、ケニア、南極大陸、ボルネオ諸島などを遠征し、そこで人間と動物と自然が一体となった独特の世界を撮影しました。流れる音楽も、心を落ち着かせてくれます。

人間はともかく、動物たちがどうしてこんなに静かに、かつ人間と親しくしているのか、とても不思議です。ありえないような人間と動物の関係ですが、合成や画像処理で作りだしているのではありません。展示物や映像にもいっさい説明はなく、見る人が自由にイメージをふくらませることができます。

ノマディック美術館 ノマディック美術館
コンテナで作られたノマディック美術館 ノマディック美術館入り口<

ノマディック美術館 ノマディック美術館
美術館全体 美術館外壁の大きな写真

ノマディック美術館は、“ashes and snow”のための美術館で、移動式であり、建築家の坂茂(ばん しげる)氏によって設計されました。美術館は、大きなコンテナ152個を市松模様に積み重ねてできています。今まで、ニューヨーク、カリフォルニア州サンタモニカで展示され、今回のお台場が3か所目です。美術館を開く土地でコンテナを借り、展示会が終われば解体されます。コンテナで作り出された空間の中に、直径74cmの紙製の管が回廊の柱のように配置され、それは写真を展示する支柱の役目も果たしています。

紙管と紙管の間に吊られた写真は、大きな手漉きの和紙に焼き付けられています。鉄製のコンテナと紙の空間が、とても落ち着いた場を作り出しています。

展示の中に3つのスクリーンがあり、そこに映し出されている映像にも、動物と人間、自然が共存しています。写真と映像に登場している人間は、みな目を閉じています。耳を澄ませて音を聞いているようでもあり、空気の動きを肌で感じているようでもあります。動物と肌で触れ合い、水、砂と一体化しています。海で鯨と泳いでいるのは、コルベール自身だそうです。

ノマディック美術館 ノマディック美術館
入口の案内 インフォメーション

ノマディック美術館 ノマディック美術館
売店 売店

現代的、素、自然、環、静寂、魂、祈り、共生、一体……。いろいろなことを感じます。ノマディック美術館は、今の世界に何を訴えているのでしょうか。現代世界に、とても大切なことを問いかけているように感じます。東京という近くに来ているこのときに、ノマディック美術館を、ぜひ体験してください。

ノマディック美術館
パンフレットとサウンドトラックのCD

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