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シスター三木の創作童話
ひかりのくにの小人さん
コツ、コツ、コツ、だれかが窓をたたいています。ともこちゃんとちかちゃんは、窓の外をのぞいてみました。
「ああ、まぶしい、へんね、だれもいないわ、さあ、さっきのつづきをしましょうよ」
ふたりはゲームをしていたのです。
コツ、コツ、コツ、やっぱりだれかいるようです。ふたりはなんだかこわくなってきました。その時です。
「あけて、あけて」
こんどは、かわいい声がしてきました。ふたりは、そっと窓に近づきました。
「あら、小人さん、小人さんよ、小人さんってほんとにいたのね」
「まあ、すてき、小人さんだわ」
ふたりは、いそいで窓をあけました。さわやかな夏の風が、さあーっと、へやに入ってきます。
「ねえ、お外であそびましょう」
黄色い、しまのとんがりぼうしをかぶって、きらきらひかる白い洋服の小人さんたちは、声をそろえていいました。
ともこちゃんもちかちゃんも、外であそぶのはあまりすきではありません。
けれども、こんなにかわいい小人さんたちのおさそいですもの、すぐ、庭にとび出そうとしました。
「あっ、ちょっとまって、ゲームをしまってくるから」
ふたりは、大いそぎでゲームを箱に入れると、庭にかけ出していきました。
ともこちゃんとちかちゃんは、小人さんたちと、どんな遊びをしたと思いますか。
小人さんたちはね、空き地の二本の木の間で空中ブランコをして、まるで一本のつなのようにつながったんですよ。そして、
「さあ、ともこちゃんたち、なわとびをしてごらん。ぼくたち、なわのかわりだよ」って。
それから、かくれんぼもしました。じぶんの影をもたない小人さんたちは、ひまわりの葉っぱをかざして、それで、じぶんのかげのかわりにしました。たくさんのひまわりの葉っぱと、ふたりのこどもが、空き地いっぱいに、かけまわっています。ともこちゃんとちかちゃんは、お外で遊ぶことがこんなにおもしろいなんて、いままで知らなかったのです。こうしてたのしく遊んでいるうちに、だんだんみんなの影が長くなっていきました。
「ぼくたち、もう帰らなくちゃ、お日さまが落ちるから」
「またね、またきてね」
小人さんたちと、ともこちゃんたちは、何回も何回もゆびきりげんまんをしました。
「きょうのこと、おとなにはひみつだよ」
小人さんたちはそういって、おたがいに手をつなぎながら、夕やけの空へとんでいきました。ともこちゃんとちかちゃんも、肩を組んでスキップをしながら家へかえりました。
こどもは風の子、ひかりの子。
それからのともこちゃんとちかちゃんは、外で遊ぶ日が多くなりました。あれから、一度も小人さんたちは来ませんでしたけど、ふたりとも小人さんのようにからだが軽くなったような気がしました。
いったい小人さんたちは、どうしたのでしょう。きっと、外で遊びたがらないこどもをさそい出すのに、いそがしいのかもしれませんね。
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