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シスター三木の創作童話

星のコンクール

「星のコンクール」の絵

それは、もうかぞえることのできないくらいむかしむかしのことです。あるとき、お星さまの世界でコンクールがおこなわれました。

太陽の何十分の一かの小さい星や、何百倍もの大きな星、太陽のまわりをまわっているわく星、わく星のまわりをまわっているえい星、小わく星、すい星。それから、星がいっぱい集まっている天の川からも、たくさんの星たちが、このコンクールに参加しました。いったい何のコンクールだったのでしょう。

コンクールの審査をするのは、お日さまとお月さま。まず、お日さまからコンクールの知らせがお月さまに発信されます。お日さまは、熱線を出してお月さまが準備した冷い月面パネルの上に字を書くのです。お日さまの熱線がこのパネルにあたると、そこだけ氷がとけて穴があき、字が彫りこまれていくのです。そのパネルには、こんなことが書かれていました。

 親愛なる星世界のみなさん
このたび、大切なお役目を果たす星をみなさんの中からえらぶことになりましたのでここにお知らせいたします。コンクールの日取りは、いまから4000年あとの、ちょうどきょうです。コンクールがはじまるあいずを、太陽から出しますので、ふるってご参加ください。
        コンクール審査係 太陽と月より

この知らせを受けたお星さまたちは、集まって相談しました。ある星は、いいました。
「ねえ、みなさん。コンクールにグループで参加しましょうよ」
「グループで?」
「ええ、星が集まってひとつの芸術作品をつくるのよ」
「あら、すてきだわ。さんせい!」

こうして10個以上の星が集まったり、7個でまとまったり、あるいは星の群れになったりしてお星さまたちは、4000年の年月をかけそれぞれの作品をつくりあげました。

さて、コンクールの日です。お日さまは、いつもより高く、赤くドロドロに燃えるほのおを吹きあげました。それがコンクールのはじまりを知らせるあいずでした。この日のためにみがきをかけた星たちが、一せいに輝きはじめました。そのまばゆいことといったら、もう他の星が見えなくなってしまうくらいでした。ある星たちは、輝きすぎてばく発し、ガスを吹き出して星雲となった星たちもいました。グループになった星たちのある星は大きく輝き、ある星は小さく輝いて光に調子をつけ、ほこらかに美しさをきそいあいました。そのグループの星は、いま北斗七星とかサソリ座とか、白鳥座などといわれているたくさんの星座なのです。

こうなると、どの星も美しすぎてえらびようがなくなってしまいました。こまってしまったお日さまとお月さまは、熱線と月面パネルを通して話しあいました。そしてこのように発表したのです。

「みなさん、ほんとうにすばらしい出来ばえです。どのグループをえらんだらいいのかこんなに美しくてはえらびようがありません。みなさんは、こんご、このままの形でこの世界にとどまり光り輝いてください。それで、わたしたち太陽と月は、今回の大切なお役目を果たす星には、いま生まれたばかりの星をえらぶことにしました」

こうしてえらばれた星は、澄み切った青い光をしずかにはなっている小さな星でした。 「さあ、小さな青い星よ、あなたは、いまから、ふしぎな星と呼ばれます」 とお日さまがいいました。さて、このふしぎな星の大切なお役目って、いったい何でしょうね。

次回へつづく

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