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第8回世界宗教者平和会議世界大会(1)

2006/10/05

1日目:8月26日(土)

 この日は、10:30から開会式が行われ、その後、2つの全体会議と最初の研究部会が開かれました。

「開会式」の前に、正式代表者会議1回目が開かれたのですが、取材ができるのは開会式からでした。通常、記者とカメラマンは別の人なのですが、極小規模経営の“Laudate”は、写真を撮りながらメモをして……という姿なので、撮影のために移動しやすい席を確保する必要がありました。その他いろいろのことがあるだろうと、1時間前には会場に着くように京都駅を出ました。

 

地下鉄「烏丸線」の終点「国際会館駅」に降りると、会議場までの通路には、おそろいの水色のプロシャツを着た若いボランティアのスタッフが立ち、参加者をにこやかに迎えてくれました。エスカレーターで昇るとすぐそこが会議場です。広大な敷地でした。左手には、プリンスホテルが併設されていました。会議場の入り口には、折り鶴で作られたWCRPのマークが参加者を迎えていました。

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各種参加者の受付が続き、プレスの受付は一番奥でした。資料がびっちりつまった書類ケースとプレスカードをもらい、腕には「“Laudate”取材」の腕章をつけて、プレスルームに行ってみました。それにしてもすごい人です。なんでも、急に小泉首相(当時)が開会式に参加することになったそうで、持ち物と身体検査のある厳しいチェックが行われ、受付の奥のロビーに用意された検査所付近はとても混雑していました。小泉首相の来場で、「官邸記者」という人々の席が設けられ、前もってもらっていた取材席の位置が変更されていました。さらに、予定されていたプレスルームは官邸記者のための部屋となり、それ以外のプレスは、別の部屋になっていました。首相が来るというのは、大変なことですね。

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大会のマークを描いた刺繍 身体検査

取材席を確保しようと開会式の会場になっているメインホールに入ろうとしたらカトリック新聞の記者のA氏に声をかけられました。彼は、女性会議から取材に来ており、この世界大会には明日までの参加だそうです。いろいろと会場のお話を聞いて、助けていただきました。

やがて、正式代表者会議を終えた人々が、開会式会場へと移動してきました。民族衣装、各宗教の姿をした世界中の人々がぞろぞろと歩いてきました。ローマンカラーの人もたくさん来ていました。Aさんの情報では、150人ほどのカトリックの関係者が参加しているそうです。白柳枢機卿がいらっしゃいました。カトリックでは、WCRP日本委員会理事である名古屋教区の野村司教、そして、地元京都教区の大塚司教の顔が見えました。めずらしい服装の人々に、目がキョトキョトしてしまいました。

ハンス・キュング師(左)と白柳枢機卿 wcrp
ハンス・キュング師(左)と白柳枢機卿

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ウガンダ共和国オダマ大司教

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大塚司教(右)

 

開会式

「WCRPが産声をあげた地へ、ようこそ!」元気な若い女性の声で、開会式は始まりました。正面の大きなスクリーンに、デザイン化された鳩が飛んできてWCRPのマークができました。1970年に「第1回世界宗教者平和会議」が京都で始まってからの歴史が映像で流れました。最初は39か国、300名の参加者だったWCRPの世界大会ですが、毎回、参加国、参加団体、参加メンバーは増え、8回目を迎えた今年は、正式代表者99か国、オブザーバーを含め100か国以上から、約2000人が集まる規模となりました。いろいろな宗教団体の協力は、それぞれの国や地域でありますが、WCRPは“平和”のために集まった宗教者の集いです。

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  宗教をつうじて、みなが一つになる。
  共通の問題に対して力を合わせる。
  協力することによって、大きな仕事をすることができる。
  宗教こそが、草の根のものである。
  宗教者たちが一堂に会し、世界中の団体に働きかけた。
 

  と映像は語りました。

その後、“道”“平和への道”ということで、ヒンズー教、仏教、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、神道、民族宗教の子どもたちが登場し、自分たちの教えの中から、平和へのメッセージを読み、すべての宗教が「平和への道」であることを示しました。

 

開会宣言の後、書道家の吉川壽一氏によって、大きな筆で「道」の文字が書かれ、ステージの正面に掲げられました。

大会テーマソング「平和への道」を皆で歌い、一燈園高校学校の女子生徒によって、地球に感謝するため、地球の平和を祈るためにサヌカイトの鐘が鳴らされました。

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サヌカイトの鐘

その後、国内外のあいさつが行われました。あいさつを前にして、イラン・イスラム共和国前大統領ムハンマド・ハタミ氏、ナイジェリアのオナイエケン大司教、神社本庁総長の矢田部正巳氏、ガンジー財団のエラ・ガンジーWCRP日本委員会議長の庭野日鑛師(立正佼成会)、WCRP日本委員会名誉理事長白柳誠一枢機卿、大本教主出口紅師、WCRP国際委員実務議長のヨルダン王国エル・ハッサン王子、WCRP国際委員事務総長のウィリアム・ベンドレイ氏らが登壇しました。

ステージ 浜尾枢機卿
浜尾枢機卿

小泉前首相
小泉前首相

その後、天台宗第255世座主の渡辺恵進師が歓迎のあいさつをされ、バチカンから教皇ベネディクト16世のメッセージ「平和は真理の内に」が、特使である浜尾枢機卿によって読まれ、「平和は神のたまものである。宗教が戦争の原因となるのは残念である」と述べられました。小泉首相の後にあいさつされたヨルダンのハッサン王子は、「バーミヤンの石仏を破壊したことを心からお詫びします」ということばから始められました。核を保有することへの疑問を述べられた後「わたしたちは岐路に立っている。厳しい気持ちがしている。互いに尊敬し合い、認め合うことを、今ほど必要としているときはない」と語られました。最後に、国際事務総長ベンドレイ博士のあいさつがあり、開会式は終わりました。

 

記者会見

開会式の後、記者会見が行われました。庭野日鑛師、ウィリアム・ベンドレイ氏、杉谷義純師(天台宗東叡山寛永寺圓珠院)、ユニセフからアン・M・ヴェネマン事務局長があいさつされました。庭野会長は、「一国の首相として宗教の会議に来てくださり小泉首相に感謝する」と述べられました。ウィリアム・ベンドレイ氏は「宗教コミュニティーもハイジャックされる危険性がある。信仰というものを救わなければならない。この世界大会で具体的な仕事をはじめようとしている。子どもたちが痛めつけられやすくなっている。宗教コミュニティーは彼らとともにある。現実のパートナーシップを作ろう」と言われました。

左から杉谷師、庭野師、ベンドレイ氏、アン氏 wcrp
左から杉谷師、庭野師、
ベンドレイ氏、アン氏
記者会見に集まった記者たち

杉谷師は、「国だけでは解決できない問題がある。日本における宗教コミュニティーネットワークは、あまり目立っていない。しかし、一歩外に出れば、宗教コミュニティーの社会的影響は大きい。各宗教が手を取り合い、連帯の輪を広げていきたい」と述べられました。ユニセフのアン氏は、「子どもたちの保護のために、精神家、宗教家が働いてくれるのはうれしい。宗教はジェンダー間の差をささえるために役立つ。女性会議では、女性に関する暴力の問題が取り上げられた。平和と人の育成のために、この会議や貢献できるだろう」と語られました。

その後の質疑応答では、この会議で日本がどのような役割を果たせるのか、本会議に招聘されており、参加を表明したにもかかわらず、日本政府から入国を拒否された北朝鮮の参加についてどう思うか、WCRPの英語タイトルが「on Peace」なのか「for Peace」なのかについて、前回より非公開の会議が多いことについて、などなどの質問がなされました。

 

記者会見が終わると、もう全体会議が始まる時間になっていました。「女性会議」に参加したシスターが、「時間がなくなるから、食事を持って行ったほうがいいよ」と助言してくれましたが、やはり……という感じです。「朝、京都駅で買っておいたよかった!」と思ってパンをほおばりながら、メインホールへと急ぎました。ロビーでは、すでに活発な宗教者の語らいが行われていました。

文頭の飾り26日に行われた2つの全体会議については、次回にお知らせいたします。

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