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こんなとこ行った!
第37回 あけぼの講演会 「際限のない暴力にうちかつ非暴力」
2008/10/08
9月23日、恒例の「あけぼの」講演会が行われました。今回は「際限のない暴力にうちかつ非暴力」と題して、イラク支援ボランティアの高遠菜穂子さんをお招きしました。「イラクについて、正しく知って欲しい」という高遠さんの思いをいただき、イラク情勢について伺い、日本の役割や自分の生き方について深めました。

高遠菜穂子さん
1970年生まれの高遠さんは、将来は国際協力の現場に行きたいと学生時代から志を抱いていました。30歳で仕事をやめ、インドのマザー・テレサのところへ行き、そこからご自分が描いていた国際協力の道へと入りました。
2003年にイラクへ行こうと思いました。戦争と向き合い緊急支援活動を……と思いましたが、恐怖が先立ち、このときは行くことはできませんでした。その後、1年半以上かかって決心することができたとき、目の前にあったのはイラク戦争でした。米国が始めた戦争に、日本政府として小泉首相は「支持する」と表明しました。このとき、高遠さんは「自分たちが加害者側になった」と意識したそうです。
高遠さんは、「ファルージャ再建プロジェクト」にかかわっておられます。
2003年5月、イラクへ初めて入国し、そのとき以来、ファルージャの町との縁が強くなりました。4回目にイラクへ入ったとき、スパイ容疑をかけられ、他の2人とともに拉致されるというつらい事件に遭いました。
現在、「ファルージャ再建プロジェクト」のイラク側の主なスタッフとして活動している青年カーシム・トゥルキさんは、イラク軍の元軍人です。彼は少年のころから、「武力でしか自分たちを守れない」と確信していました。アダム・フセインが倒れ、軍を退いても彼の心は軍人のままでした。最初からニコリともしないカーシムさんと高遠さんは意見が合いませんでした。カーシムさんは高遠さんの通訳として働きましたが、彼は敵としての米国しか見ていず、米軍の空爆でも「何人死んだ!」としか言わなかったそうです。そこで高遠さんは「何人負傷して、病院の状況はどうか、薬は足りているか……という情報を持ってきて欲しい」と伝えたそうです。こうして、敵しか見ていなかったカーシムさんは、次第に自分の周囲の人々、イラクの人々に目を向けるようになりました。
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| 高遠菜穂子さんの著書 | 本やDVDを求める人々 |
高遠さんはイラクで出会う人々に、「あなたたちの心情はわかるが、やっていることは間違っている」と、自分の思っていることをしっかりと伝えてきたそうです。相手に心からぶつかっていく高遠さんの思いは伝わり、レジスタンスとして武器を持っている人々が武器を置くようになりました。
危険に遭いながらも、高遠さんの心にあるのは戦火にある人々への思いです。「武力に武力で抗してはいけない。憎しみの連鎖を断ち切る必要がある。非暴力こそが、際限のない残虐な行為を断ち切ることができる」と、高遠さんは確信しています。
今年の5月、幕張メッセで「9条世界会議」が開催されましたが、そこで奇跡のようなことが実現しました。元イラク兵と米兵が同じテーブルに着いたのです。1日目の午後、壇上で司会をする高遠さんの横に、カーシムさんとイラクへ派兵され、その後良心的兵役拒否をしたエイダン・デルガドさんが座っていました。「日本という地で、米兵とイラク兵が対話し、その間に日本人が入って実現したい」高遠さんの夢が実現したのです。
日本の役割について高遠さんは、次のように訴えます。「対話を進めていくことです。支援としては、必要なものが何かを聞き、現地の人が何を欲しているかを聞くことです。あげたいものをあげるのではない」。また、「憎しみの連鎖も解いていきたい」と語っています。憎しみには、イラクの人々の米国への憎しみ、米国人のイラクへの憎しみがあります。怒りが大きくなって憎しみになり、それが爆発して戦争になっていきます。
高遠さんは、11月6日からヨルダンに行くそうです。そこで米国の女性グループが、ヨルダンにいるイラク避難民の女性たちと出会い、その場に高遠さんも参加するのです。米国人、イラク人、日本人の3方から考える機会となるということです。
* * * * * * * *武力で身を守り主張を通すのではなく、対話を理解によって人々がつながるようにと大きな運動をしているのは、小さな日本の女性です。高遠さんの志の高さを目の当たりにする機会を与えていただき、一人の人間として、女性として活躍する高遠さんから、大きな刺激をいただきました。だれもが高遠さんのようにできるわけではありませんが、彼女の視点は、毎日の生活の中で生きることができます。彼女の活動がこれからも神の恵みのうちに行われますようにと願いながら、自分たちの視点を変えていける力を求めました。
※「9条世界会議」でのカーシムさんとエルダンさんが出席したシンポジウムについては、「こんなとこ行った」でご覧ください。
→ 9条世界会議(3) 「戦争のない世界を創る」トークセッション『イラク、アメリカ、日本』


