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アレオパゴスの祈り

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アレオパゴスの祈り 2007年9月3日


紫の花

1997年9月5日世界中のお母さんと慕われたマザー・テレサは、インドのコルカタ(当時のカルカッタ)で87歳の生涯を閉じられました。来る9月5日は帰天10周年を記念し、東京カテドラル聖マリア大聖堂では午前10:30から追悼ミサが行われます。マザーは、日本にも1981年に初めて、ついで82年、84年と3回来日されました。わたしどものこの乃木坂修道院にもしばらく滞在され、親しくお目にかかったことが懐かしく思い出されます。マザーがなさったこと、呼びかけてくださったことは、今も世界中の人々の心に生き続けています。そして天国からわたしたちのために祈ってくださっていることでしょう。今晩の「アレオパゴスの祈り」において、マザーがご自分の生き方とことばで語りかけてくださったことを思い起こし、世界中の人々の必要のために取り次いでくださるように願いましょう。

1946年9月10日それまでロレットという教育修道会のシスターとして、インドの高校で教えていたテレサは、ダージリングに行く汽車のなかで、キリストに従う新しい道へ召し出す内なる声を聞きました。それはすべてをささげてスラム街に入り、貧しい人のなかでももっとも貧しい人に仕えるということです。こうして1950年ミッショナリーズ・オブ・チャリティー「神の愛の宣教者会」を設立しました。路上に見捨てられ、死に瀕している人を収容し、その最期をみとるまで世話をするために始められた「死を待つ人の家」がつくられた後、「子どもの家」「ハンセン病かん者の平和の村」など、マザーの仕事は急速に広がっていきました。この働きは平和をつくりだすこととして1979年ノーベル平和賞を受賞、マザーテレサは世界中に知られるようになりました。

イエス・キリストが「わたしが飢え、裸で、病気で、家なしだったときに、あなたはわたしにしてくれた。わたしの兄弟である小さな者の一人にしてくれたことは、わたしにしてくれたのである」と言われたことばをマザーは、イエスがわたしたち人間をご自分と同一化されるまでに愛しておられることと信じ、尊い一人ひとりのいのちを、心をこめて愛しました。今日もあの時と同じ飢え、同じ孤独、だれからも受け入れられず、だれからも愛されず、必要とされないという同じ状況にある人の痛みをキリストは痛み続けておられます。マザーが愛することを通して歩まれたこのキリストの呼びかけに、わたしたちも応えることができますように、ローソクの灯火に託してこの願いをささげましょう。

後ろでローソクを受け取って祭壇へささげ、祭壇上のかごからマザーテレサのことばをお取りになって席へおもどりください。

『祈りの歌を風にのせ』 p.35「主に賛歌を」⑤ ⑥ ⑦ ⑧

マザーテレサからわたしたちへの遺産となったたいくつかのことばを思い起こして味わってみましょう。ことばの朗読の後、少し沈黙して祈りましょう。

わたしは、自分たちの今していることは、大海のひとしずくにすぎないと思っています。けれど、もしそのひとしずくがなかったら、大海もそのひとしずくぶんだけ少なくなるでしょう。ものごとを大規模にやるという方法に、わたしは不賛成です。わたしたちにとって大切なのは、一人ひとりです。……今という時に接しているそのひとりが、わたしにとって世界でただひとりしかいない人なのです。

(沈黙)

人間にとって、もっとも怖いものは病気でも貧困でもありません。自分はだれからも必要とされていないと感じる心の飢えです。

(沈黙)

肝心なのは、愛すること、傷つくまで与え尽くすこと。どれだけのことをしたかではなく、あなたの行いにどれだけ愛をこめたかなのです。

(沈黙)

愛に満ちた仕事は、いつでも喜びに満ちた仕事となります。幸せを追い求める必要はないのです。他人のために愛の心をもてば、それを与えられることにもなるでしょう。それは神からの贈りものなのです。

(沈黙)

愛は家庭から始まるのです。愛は家庭に住まうものです。家庭を慈しみの場、限りなくゆるし合う場としなければなりません。

(沈黙)

親切で、慈しみ深くありなさい。あなたに出会った人がだれでも、前よりももっと気持ちよくなって、明るくなって帰るようになさい。神さまのご親切の生きたしるしとなりなさい。親切があなたの表情に、まなざしに、ほほえみに、あたたかく声をかけることばに表れるように。
                       『マザー・テレサのことば」(女子パウロ会)

(沈黙)

『祈りの歌を風にのせ』p.10 「あなたの平和の」

わたしたち一人ひとりの一回限りの人生は限りなく尊いものです。愛し合うようにつくられたいのちが愛を経験するためには、たとえそれがその人の最期の瞬間にすぎなくても、労苦を惜しまずに尽くすこと。その人が人間の品性を生きることができるように。これこそマザーテレサが全存在をあげて遺言としてわたしたちに教えてくださったことではないでしょうか。わたしたちの周りの人にほほえみかける、助けの手をさしのべる、といった小さなことが、実はその人にいのちを与える偉大なことなのです。

『祈りの歌を風にのせ』p.60 「わたしをお使いください」

これで、アレオパゴスの祈りを終わります。

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