アレオパゴスの祈り
アレオパゴスの祈り 2008年8月2日
わたしは神が宣言なさるのを聞きます。主は平和を宣言されます。
御自分の民に、主の慈しみに生きる人々に、
彼らが愚かなふるまいに戻らないように。
主を畏れる人に救いは近く、栄光はわたしたちの地にとどまるでしょう。
慈しみとまことは出会い、正義と平和は口づけし、まことは地から萌えいで
正義は天から注がれます。主は必ず良いものをお与えになり、
わたしたちの地は実りをもたらします。
正義は御前を行き、主の進まれる道を備えます。 (詩編85.9~14)
日本のカトリック教会では、8月は平和のために祈りをささげます。特に、8月6日の広島原爆投下の日から、9日の長崎原爆投下の日を経て、15日の終戦記念日にいたる10日間を『平和旬間』と定め、毎年、「平和のために祈り、働く使命」を新たにします。東京教区では、平和旬間の期間中、参加者によって途切れることなく祈りをつないでゆく「祈りのリレー」、聖イグナチオ教会からカテドラルを歩く「平和巡礼ウォーク」、また「平和祈願ミサ」、「講演会」など平和のための企画が計画されています。
今晩の「アレオパゴスの祈り」は、世界の平和のために祈りましょう。平和への熱望を持ちながらも、今なお、民族や国家間のあらそいは、終わることなく悲惨な状況の中にある人々が大勢います。平和の源であるキリストが、ここで祈るわたしたちの平和への願いを、聞き入れ、わたしたち自身も平和のために働く道具となれるように祈りましょう。
後ろでローソクを受け取り、祭壇にささげましょう。祭壇の上のハガキをお取りになって席にお戻りください。
今晩は、使徒パウロのエフェソの信徒への手紙とコリントの信徒への手紙を読んで、平和について考えてまいりましょう。
エフェソの信徒への手紙2.14~18
わたしは神が宣言なさるのを聞きます。主は平和を宣言されます。
御自分の民に、主の慈しみに生きる人々に、
彼らが愚かなふるまいに戻らないように。
主を畏れる人に救いは近く、栄光はわたしたちの地にとどまるでしょう。
慈しみとまことは出会い、正義と平和は口づけし、まことは地から萌えいで
正義は天から注がれます。主は必ず良いものをお与えになり、
わたしたちの地は実りをもたらします。
正義は御前を行き、主の進まれる道を備えます。
(沈黙)
パウロは、“キリストはわたしたちの平和である”と述べています。“キリストは人間の間にある敵意を完全に取り壊して、十字架を通して、平和を作り出した”と言っています。 >キリストによって、人々を差別する壁が壊されました。ユダヤ人と異邦人、自由人と奴隷、男と女など分け隔てたり対立させたりしたさまざまな壁は、もはや存在しません。すべての人と結ばれ、すべての人のために死んで復活したキリストによって、真の平和を生み出す種が人類の歴史の中にまかれました。どちらか一方、他方に吸収することによる平和ではなく、両方を、「一人の新しい人」の中へと造り上げる平和です。キリストという「一人の体」の中で和解させる平和なのです。
しばらく個人的に祈りましょう。
『平和を祈ろう』No.60「わたしたちの平和」② ③ ④
使徒パウロの「コリントの信徒への手紙」を聞きましょう。
コリントの信徒への手紙2 5.17~21
だから、キリストと結ばれる人はだれでも、新しく創造された者なのです。古いものは過ぎ去り、新しいものが生じた。これらはすべて神から出ることであって、神は、キリストを通してわたしたちを御自分と和解させ、また、和解のために奉仕する任務をわたしたちにお授けになりました。つまり、神はキリストによって世を御自分と和解させ、人々の罪の責任を問うことなく、和解の言葉をわたしたちにゆだねられたのです。ですから、神がわたしたちを通して勧めておられるので、わたしたちはキリストの使者の務めを果たしています。キリストに代わってお願いします。神と和解させていただきなさい。
東京教区の岡田大司教は、「4つの平和と和解」ということを言っておられます。4つの平和とは「神との平和」「隣人との平和」「自然との平和」「自分自身との平和」です。キリストがまいた真の平和の種は、この4つの平和が実現することによって、人々の心を満たし、社会に正義をもたらしていくことになるでしょう。
「4つの平和」の実現のために、共同祈願の形で祈りたいと思います。それぞれの祈りの後に、『祈りの歌を風にのせ』p.20「キリストの平和がわたしたちのこころのすみずみにまで、ゆきわたりますように」と歌いましょう。
①「神との平和」
いつくしみ深い神よ、あなたの霊をおくってわたしたちの心を開いてください。どんな状態にあっても、あなたの言葉に耳を傾け、希望のうちに忍耐を持って、キリストがまいてくださった平和の種を心に深く根ざさせていくことができますように。
『祈りの歌を風にのせ』p.20「キリストの平和」 ①
②「隣人との平和」
すべての人を救いへと導かれる神よ、多くの不正や不平等、暴力や対立の中で傷つき苦しんでいる兄弟姉妹を助けてください。わたしたちが彼らの存在に気づき、痛みを共感できますように。そして暴力以外の解決の道をともに探して、実行する勇気をお与えください。
『祈りの歌を風にのせ』p.20「キリストの平和」 ①
③ 「自然との平和」
先月、第34回主要国首脳会議が、北海道洞爺湖で開催され、「環境・気候変動問題」で“2050年までに世界全体の温暖化ガス排出量を少なくとも50%削減する”という長期目標が合意されました。地球温暖化の深刻な問題に直面しているわたしたちが、この具体的な取り組みに参加し、努力していくことができますように。
『祈りの歌を風にのせ』p.20「キリストの平和」 ①
④ 「自分自身との平和」
この地上に真の平和を望んでおられる神よ、わたしたちが、いつも現実に目を向け、自分自身に向き合う勇気を持つことができるよう力を与えてください。一人ひとりは、平和を熱望しているにもかかわらず、自分中心になりがちな弱さを持っています。自分のありのままを受け入れる勇気と自分から出て、他者のために奉仕する喜びに生きることができますように。
『祈りの歌を風にのせ』p.20「キリストの平和」 ①
神の望まれる平和にわたしたちが一歩でも前進して実現することができるよう祈りましょう。
「平和へのための祈り 2008」
神よ、あなたはこの世界をお造りになり、
全世界を人の手におゆだねになりました。
しかし、人はあなたに背いて、
神との平和、隣人との平和、自然との平和、
そして、自分自身との平和を失ってしまいました。
それでもあなたはこの世界を見捨てることなく、
主イエス・キリストを遣わして、すべてに和解を
もたらす道を教えてくださいました。
今、聖霊を遣わして
自然の美しさと環境保護の大切さ、
貧しく虐げられた人々の苦しみ、
平和の尊さに気づかせてください。
この世界をあなたの望まれる世界に
近づけるための希望と勇気を
わたしたちが持ち続けることができますように。
アーメン。
最後に、パウロのローマの信徒への手紙を聞きましょう。
ローマの信徒への手紙 14.16~19
ですから、あなたがたにとって善いことがそしりの種にならないようにしなさい。神の国は、飲み食いではなく、聖霊によって与えられる義と平和と喜びなのです。このようにしてキリストに仕える人は、神に喜ばれ、人々に信頼されます。だから、平和や互いの向上に役立つことを追い求めようではありませんか。
これで今晩の「アレオパゴスの祈り」を終わります。
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