アレオパゴスの祈り
アレオパゴスの祈り 2009年10月3日
カトリック教会では、毎年10月を「ロザリオの月」として、教会の母である聖母マリアに取り次ぎを祈ります。10月7日は、ロザリオの聖母の記念日にあたります。
ロザリオの聖母の記念を祝うようになったのは、1571年のギリシア・レパントの海戦で、数の上では、圧倒的に弱い立場であったキリスト教徒がオスマン・トルコ軍に対して勝利を収めたことを記念して、聖ピオ五世教皇(1566~1572)によって定められました。教皇ピオ5世は、すべての信者にこの危機を打開するためにロザリオを祈るように要請しました。人々は犠牲を捧げたり、行列をして祈願をしました。トルコ艦隊は、キリスト教艦隊をはるかにしのぐ数でしたが、10月7日、奇跡的に勝利を収めました。この勝利は、武力によるものではなく、ロザリオの祈りによってもたらされた聖母の助けによるものであると言い伝えられています。
また、「ロザリオの祈り」は15世紀に聖ドミニコとドミニコ会の修道士たちによって広められました。この聖ドミニコに聖母マリアが直接現れロザリオの祈りを教えられたという伝説もあります。今晩のアレオパゴス祈りでは、ご一緒にロザリオの祈りを唱えて、祈りを必要としているすべての人々のために聖母マリアの取り次ぎを願いましょう。
ローソクを受け取り、祭壇にささげましょう。
ロザリオの祈りは、救い主の母マリアへのあつい尊敬から起こり、カトリック教会のなかで培われ愛されてきた祈りです。ロザリオとは、「バラの花園」を意味するラテン語から来ています。ロザリオの祈りと呼ばれるのは、珠を繰りながら唱える祈りが、ちょうどバラの花束を編むようなかたちになるからです。
ロザリオの祈りは、喜び、苦しみ、栄え、光の4つの神秘があります。キリストの生涯を黙想しながら聖母マリアに恵みを取り次いでいただくためのとてもよい祈りです。世界中には、聖母マリアの取り次ぎによって、奇跡や恵みをいただいた出来事がたくさんあります。一つのエピソードをご紹介しましょう。
木のロザリオの珠
救急車がわたしの家の前にとまりました。二人の男性が家の中へ入ってきて、病気の母をストレッチャーの上にのせて、急いで立ち去りました。わたしたち6人の子どもたちは、すっかり見捨てられたような寂しさに襲われ、ただ空になった母のベッドを見つめていました。それは戦争が終わったばかりの1949年のことで、わたしはまだ13歳でした。
わたしたち家族が一緒に寝ていた部屋の唯一の飾りは、壁にかかった濃い茶色の木の大きな珠で出来たロザリオでした。わたしたちは寝る前に、いつもみんなで主の祈りを1回、聖母マリアへの祈りを10回のロザリオの祈りを一緒に唱えることにしていました。母は、壁にかかっているロザリオを取り外して、わたしたち一人ひとりが交替で祈りの先導を努め、それぞれの指で木の珠をまさぐりながら祈っていました。
母がいなくなってしまった今、わたしたちは母の病気回復の恵みを願って、ロザリオの祈りを続けることにしました。毎晩、みんなで大きな木のロザリオをもって祈りました。近所の人たちは、もうお母さんは病院から帰ってこないだろうと、考えていました。ところが、数週間後、母は、家に戻ってきたのです!マリアさまが、わたしたちの願いを聞き入れてくださったのです。母は、ベッドから微笑んで言いました。
「あなたたちは、わたしの健康の回復をマリアさまに祈ってくれたのね。マリアさまはあなたたちの心からの祈りを聞き届けてくださったのよ。これからも、ずっとマリアさまに感謝してロザリオの祈りをしましょうね。」
わたしは、何度もこの時の母の言葉を思い起こしました。あれから35年たった今、その木のロザリオは、ますます濃い色に輝いています。
『マリアのたとえ話』ホアン・カトレット著(新世社刊行)
プリント 御手の中で ① ②
これからロザリオの祈りを始めますのでロザリオをご用意ください。初めての方もおられると思いますので、簡単にご説明いたします。最初に、先唱者が各神秘とごに、祈りの意向を言います。その後、主の祈りを1回、次に聖母マリアへの祈りを10回、そして栄唱を1回唱えます。この祈り方を1セットとして5回繰り返して祈ります。お手元のハガキとミニパンフレットも参考にご覧ください。主の祈り、聖母マリアへの祈り、栄唱が書かれています。それでは、喜びの神秘を、唱えてまいりましょう。
* * * * * * * * *
第1の神秘
大天使ガブリエルはおとめマリアに、救い主の母に選ばれたことを告げます。マリアは、突然の天使のことばに戸惑いながらも、神に信頼し「わたしは、主のはしためです。お言葉どおり、この身に成りますように。」とへりくだってお受けになります。
★日常生活の中で自分では理解できない出来事に直面することがあります。そのとき、マリアのように神さまに信頼し、すべてをゆだねきることができますように。
主の祈り(1回) 聖母マリアの祈り(10回) 栄唱(1回)
第2の神秘
おとめマリアは、急いでユダの町にあるいとこのエリザベトのもとへ行かれます。エリザベトは年をとっていたにもかかわらず、身ごもって6ヶ月になっていました。マリアは3ヶ月の間、エリザベトを助けるために滞在します。
★自分のことよりも、いつも喜んで、まわりの人に奉仕する愛の心、人の喜びや悲しみに共感できる心を持つことができますように。
主の祈り(1回) 聖母マリアの祈り(10回) 栄唱(1回)
第3の神秘
マリアとヨゼフは、ガリラヤの町ナザレからベツレヘムというダビデの町へ上っていました。まだベツレヘムにいるうちに、マリアは月が満ちて初めての子を貧しい馬屋で産みます。貧しい彼らは、宿屋に泊まることができませんでした。
★イエスの誕生は、その当時の社会の底辺にいた貧しい羊飼いたちに、いちばん先に知らされました。弱い立場にいる人々が大切にされる社会を築きあげることができますように。
主の祈り(1回) 聖母マリアの祈り(10回) 栄唱(1回)
第4の神秘
律法に定められた彼らの清めの期間が過ぎたとき、ヨセフとマリアは、イエスを神さまに献げるために、エルサレムの神殿に連れて行きます。それは、律法に、「初めて生まれる男子は皆、神さまのために聖別される」からです。
★ヨセフとマリアは、律法に従うことによって、神さまの働きを見いだしていきます。見えるものをとおして、見えないをものを見る心の目を養うことができますように。
主の祈り(1回) 聖母マリアの祈り(10回) 栄唱(1回)
第5の神秘
イエスが12歳になったとき、ヨゼフとマリアは、祭りの慣習に従って、エルサレムに上ります。祭りが終わって帰路についたとき、少年イエスはエルサレムに残っておられました。両親はイエスが親類や知人と一緒にいると思い、帰りの旅に出ますが途中で、イエズがいないことに気づき、捜しながら引き返します。3日の後、神殿の境内で学者たちの真ん中に座り、彼らに耳を傾けたり、質問したりしておられるイエスを見つけられます。
★“どうしてこんなことが起こるのだろう”と、出来事の意味が分からないことがあります。さまざまな思いがけないことを通して導かれる神さまを信じることができますように。
主の祈り(1回) 聖母マリアの祈り(10回) 栄唱(1回)
『カトリック聖歌集』No.621「あめのきさき」① ⑥
最後に、トラピスト修道会のバーゼル・ペニントン修道士がロザリオについて語っている言葉をご紹介しましょう。
言葉を口に出すことにも、考えることさえも耐えられないときがある。
病気のとき、疲れ果てたとき、あるいは強烈な怒りや悲しみに、心が揺り動かされるときなどである。そんなときには、ただロザリオを手のなかに持ち、そして、そのロザリオに祈ってもらうのだ。沈黙のままでロザリオを手のなかで繰る。それが聖母に助けを求める叫びとなるのだ。もはや、すべてが行き詰まったとき、それが、天と地の架け橋となる。
『目からウロコロザリオの祈り』(女子パウロ会刊行)より
これで今晩の「アレオパゴスの祈り」を終わります。
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