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アレオパゴスの祈り

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アレオパゴスの祈り 2014年 6月 7日


カタバアジサイ



6月8日、カトリック教会は聖霊降臨の祝日を迎えます。イエスは十字架にかけられる前、悲しむ弟子たちに、こうおっしゃいました。

「わたしは父にお願いしよう。父は別の弁護者を遣わして、永遠にあなたがたと一緒にいるようにしてくださる。 この方は、真理の霊である。弁護者、すなわち、父がわたしの名によってお遣わしになる聖霊が、あなたがたにすべてのことを教え、わたしが話したことをことごとく思い起こさせてくださる」。
(ヨハネ 14.16-17、26)

パウロ家族修道会では、主の昇天の祭日後の土曜日である今日、「使徒の女王マリア」の祝日を祝います。イエスが天に昇られたのち、マリアは聖霊を求めて、弟子たちとともに祈っていました。わたしたちの修道会の創立者アルベリオーネ神父は、会員たちがこのマリアの姿を「使徒の女王」と呼んで、敬い、愛し、恵みを求めるように、と願いました。聖堂内の右手にあるマリア像が、使徒の女王のご像です。このマリア像はわたしたちにイエスを差し出しています。マリアは神の母となることを受け入れることによって、イエスを人類にお与えになりました。創立者は修道会のメンバーが、マリアのように社会に、そして人々にイエスを与える者となることを望みました。聖霊降臨の主日を明日に控え、イエスを与え、弟子たちと祈られたマリアとともに、わたしたちも聖霊の賜物を願って今日の祈りをささげましょう。

わたしたち一人ひとりが心に抱いている意向、祈りを必要としている人々、出来事を聖母の御手にゆだねて、しばらく思い起こしましょう。

(沈黙)

お祈りしたい意向を心の中にたずさえて、ローソクをささげましょう。

「聖霊」とは、神からの霊です。霊はヘブライ語で「ルアハー」と言い、「風」、「息」という意味を持っています。聖霊は「神の息吹」とも言われ、いのちを与える方です。旧約聖書には、この神の霊によって、天地万物が造られたことが書かれています。また最初の人、アダムは神から息を吹きかけられて生きる者となりました(創世記1.1-31、2.7参照)。この同じ聖霊によって、イエスはマリアの胎内に宿りました。

イエスは十字架上で亡くなられたのち、復活して、弟子たちにその姿を現されました。しかし弟子たちは喜びながらも、ユダヤ人たちを恐れていました。そんな彼らにイエスはおっしゃいます。「エルサレムを離れず、前にわたしから聞いた、父の約束されたものを待ちなさい。ヨハネは水で洗礼を授けたが、あなたがたは間もなく聖霊による洗礼を授けられる」 (使徒言行録1.4b-5)。そして、父なる神はその約束を実現なさいます。使徒言行録から、「聖霊降臨」のお話を聞きましょう。

使徒言行録(使行1.12-13a、14、2.1-11)

使徒たちは、「オリーブ畑」と呼ばれる山からエルサレムに戻って来た。この山はエルサレムに近く、安息日にも歩くことが許される距離の所にある。 彼らは都に入ると、泊まっていた家の上の部屋に上がった。彼らは皆、婦人たちやイエスの母マリア、またイエスの兄弟たちと心を合わせて熱心に祈っていた。

五旬祭の日が来て、一同が一つになって集まっていると、 突然、激しい風が吹いて来るような音が天から聞こえ、彼らが座っていた家中に響いた。 そして、炎のような舌が分かれ分かれに現れ、一人一人の上にとどまった。 すると、一同は聖霊に満たされ、“霊”が語らせるままに、ほかの国々の言葉で話しだした。 さて、エルサレムには天下のあらゆる国から帰って来た、信心深いユダヤ人が住んでいたが、 この物音に大勢の人が集まって来た。そして、だれもかれも、自分の故郷の言葉が話されているのを聞いて、あっけにとられてしまった。 人々は驚き怪しんで言った。「話をしているこの人たちは、皆ガリラヤの人ではないか。 どうしてわたしたちは、めいめいが生まれた故郷の言葉を聞くのだろうか。 わたしたちの中には、パルティア、メディア、エラムからの者がおり、また、メソポタミア、ユダヤ、カパドキア、ポントス、アジア、 フリギア、パンフィリア、エジプト、キレネに接するリビア地方などに住む者もいる。また、ローマから来て滞在中の者、 ユダヤ人もいれば、ユダヤ教への改宗者もおり、クレタ、アラビアから来た者もいるのに、彼らがわたしたちの言葉で神の偉大な業を語っているのを聞こうとは」。

サンピエトロ


ユダヤ人たちを恐れていた弟子たちは、聖霊を受け、勇気を持って神のことばを語ることができるようになりました。このときから、弟子たちは世界のあらゆるところに宣教に出かけます。

この最初の弟子たちはみことばを宣べ伝え、イエスを信じる人たちが増えて教会が誕生しました。教会は、それからさまざまな歩みを経ることになります。約2000年という時がたって、この最初の弟子たちが伝えた信仰の恵みは、わたしたちにも伝えられました。何かのきっかけをとおして、人との出会いをとおして、伝えられたのです。わたしはどのように、キリスト教と出会ったのでしょうか。このことを思いめぐらしながら、しばらく沈黙のうちに祈りましょう。

(沈黙)

いただいた信仰の恵みを感謝し、わたしたち一人ひとりに与えられた道を歩んでいくことができますように、祈りましょう。

『パウロ家族の祈り』p.48 「自己の召命のためにする祈り」

   天の父よ、あなたの英知と愛を信じます。
   天の国のためにわたしを造り、その道を備え、
   忠実なものに約束された報いを与えてくださることを信じます。
   わたしを照らし、道を示し、寛大にこれに従って歩む力をお与えください。
   御子イエス・キリストと、女王であるマリアによって次の恵みを願います。
   臨終のときには聖パウロのように、
   「わたしは戦いを立派に戦い抜き、決められた道を走りとおし、
   信仰を守り抜きました。今や、義の栄冠を受けるばかりです」
   言うことができますように。

聖霊ついて理解するのは、簡単なことではありませんが、パウロは彼の手紙の中で、聖霊について説明しています。ローマの信徒への手紙を聞きましょう。

ローマの信徒への手紙(ローマ8.18~19、21、26-27)

現在の苦しみは、将来わたしたちに現されるはずの栄光に比べると、取るに足りないとわたしは思います。 被造物は、神の子たちの現れるのを切に待ち望んでいます。 つまり、被造物も、いつか滅びへの隷属から解放されて、神の子供たちの栄光に輝く自由にあずかれるからです。
同様に、“霊”も弱いわたしたちを助けてくださいます。わたしたちはどう祈るべきかを知りませんが、“霊”自らが、言葉に表せないうめきをもって執り成してくださるからです。 人の心を見抜く方は、“霊”の思いが何であるかを知っておられます。“霊”は、神の御心に従って、聖なる者たちのために執り成してくださるからです。 神を愛する者たち、つまり、御計画に従って召された者たちには、万事が益となるように共に働くということを、わたしたちは知っています。

一言で「祈る」と言っても、それは簡単なことではありません。うれしいとき、心に喜びを感じているとき、祈ることはやさしいことかもしれません。しかし、苦しいとき、困難を抱えているときは、どのように祈ったらいいのか分からず、神の存在を感じられないことさえあります。手紙の中で、パウロは言います。「“霊”も弱いわたしたちを助けてくださいます。わたしたちはどう祈るべきかを知りませんが、“霊”自らが、言葉に表せないうめきをもって執り成してくださるからです。 人の心を見抜く方は、“霊”の思いが何であるかを知っておられます」(ローマ8.26-27) 。「祈ることが難しい」、そんなときもわたしたちが心を神に向ければ、聖霊はわたしたちの心にある思いを父である神に届け、執り成してくださるのです。わたしはどんな心の思い、祈りを聖霊に託して、父なる神にささげたいでしょうか。沈黙のうちに、しばらく祈り、ふり返ってみましょう。

(沈黙)

「スピリット・ソング」① ②

パウロはガラテヤの信徒への手紙の中で、聖霊がわたしたちに与えてくれる実りについて、語っています。その箇所を聞きましょう。 

ガラテヤの信徒への手紙(ガラテヤ5.16-17、19-21a、22-25)

わたしが言いたいのは、こういうことです。霊の導きに従って歩みなさい。そうすれば、決して肉の欲望を満足させるようなことはありません。 肉の望むところは、霊に反し、霊の望むところは、肉に反するからです。肉と霊とが対立し合っているので、あなたがたは、自分のしたいと思うことができないのです。 肉の業は明らかです。それは、姦淫、わいせつ、好色、 偶像礼拝、魔術、敵意、争い、そねみ、怒り、利己心、不和、仲間争い、 ねたみ、泥酔、酒宴、その他このたぐいのものです。

これに対して、霊の結ぶ実は愛であり、喜び、平和、寛容、親切、善意、誠実、 柔和、節制です。これらを禁じる掟はありません。 キリスト・イエスのものとなった人たちは、肉を欲情や欲望もろとも十字架につけてしまったのです。 わたしたちは、霊の導きに従って生きているなら、霊の導きに従ってまた前進しましょう。

ローソク


パウロはこの箇所で、聖霊が与えてくださる実は、愛、喜び、平和、寛容、親切、善意、誠実、 柔和、節制であると教えています。わたしたちは皆、弱さを持っていますが、恵みに支えられて聖霊が与えてくれる実を豊かに受けることができますように、祈りましょう。

『パウロ家族の祈り』p.247「聖霊への祈り」を唱えましょう。

   父と子の永遠の愛である聖霊、あなたを礼拝し、
   愛と感謝をささげます。
   わたしのうちにおられるあなたを幾度も悲しませたことをおゆるしください。
   司教・司祭の叙階、修道者の立誓願、
   信徒の堅信に際して豊かな恵みを与え、
   かれらの光、聖性、熱誠の源となってください。
   真理の霊よ、あなたに、知性と想像と記憶の力をささげます。
   師イエス・キリストを知り、
   福音と教会の教えを理解することができるよう、
   わたしを照らしてください。
   すべてを聖とする霊よ、あなたにわたしの意志をささげます。
   み心のままにわたしを導き、おきての遵守と義務の遂行に際して
   わたしを支え、剛毅と敬畏の賜物を与えてください。
   いのちを与える霊よ、あなたにわたしの心をささげます。
   わたしのうちに神のいのちを保ち、豊かにし、
   孝愛の賜物を与えてください。

この祈りの時間にいただいた恵みを沈黙のうちに思いめぐらしましょう。

(沈黙)

「聖霊の息吹を受けて」①、③

感謝のうちに、この一ヵ月必要としている恵みを聖母マリアが取り次いでくださいますように願って、「アヴェマリアの祈り」を唱えましょう。

結びの祈り
父である神よ、あなたは聖霊を送って、わたしたちを御子イエスに似た者としてくださいます。わたしたちが聖霊の導きに従うことによって、あなたの愛の豊かさを知り、人々と分かち合うことができますように。わたしたちの主イエス・キリストによって。

父と子と聖霊のみ名によって。アーメン。

これで今晩の「アレオパゴスの祈り」を終わります。



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