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アレオパゴスの祈り

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アレオパゴスの祈り 2015年 5月 2日


マーガレットmini


カトリック教会では、5月を聖母月として、特別に聖母マリアにささげています。5月は、春の訪れとともに自然の花々が美しいときでもあり、教会の典礼においても主の復活の喜びと希望に満ちた月でもあります。マリアは、ルルドやファティマなどでご自身を表され、世界の平和のために祈るよう、呼びかけられました。明日、5月3日は憲法記念日でもあります。平和を願って、日本各地でさまざまな集いがおこなわれることでしょう。善意ある人びととともに、わたしたちも世界の平和のためにごいっしょに祈ってまいりましょう。

わたしたち一人ひとりが心に抱いている意向、祈りを必要としている人びとを神様の御手にゆだねて、しばらく思い起こしましょう。

(沈黙)

お祈りしたい意向を心の中にたずさえて、ローソクをささげましょう。

ヨハネによる福音を聞きましょう。(ヨハネ14.26~31)

(そのとき、イエスは弟子たちに仰せになった。)
弁護者、すなわち、父がわたしの名によってお遣わしになる聖霊が、あなたがたにすべてのことを教え、わたしが話したことをことごとく思い起こさせてくださる。 わたしは、平和をあなたがたに残し、わたしの平和を与える。わたしはこれを、世が与えるように与えるのではない。心を騒がせるな。おびえるな。「わたしは去って行くが、また、あなたがたのところへ戻って来る」と言ったのをあなたがたは聞いた。わたしを愛しているなら、わたしが父のもとに行くのを喜んでくれるはずだ。父はわたしよりも偉大な方だからである。事が起こったときに、あなたがたが信じるようにと、今、その事の起こる前に話しておく。もはや、あなたがたと多くを語るまい。世の支配者が来るからである。だが、彼はわたしをどうすることもできない。 わたしが父を愛し、父がお命じになったとおりに行っていることを、世は知るべきである。さあ、立て。ここから出かけよう。


フジ


1915年にフランスで生まれ、神秘家、著作家として活躍し、1968年に亡くなったトマス・マートン神父(トラピスト会)の著作を聞きましょう。

今日の戦争の危機は、完全に人間が作り出したものである。現実的に考えて戦争をする論理的な理由は全くない。それなのに、全世界は、向こう見ずに恐ろしい破壊へと向かっている。「戦争を回避し、平和を保つため」という理由で。こうした状況の中でキリスト者の立場はどのようなものか。ただ手をこまねいて、最悪のものに身を任せ、避けることのできないみ旨と受け取り、安堵して天にのぼる準備をしているのだろうか。

わたしたちは何をすべきだろうか。この危機の時代に生きるキリスト者の義務は、持てるすべての力と知識をもって、キリストへの信仰と希望をもって、神と人への愛をもって、神が今日の世界に与えた一つの課題をおこなおうと努力することである。その課題とは戦争の全面的な禁止のために働くことである。

わたしは平和を祈るとき、とりわけ自分の国の人びとと自分自身が平和な心になるように祈る。わたしは祈るとき、自分の国の愚かさと盲目からも守られるようにと祈る。わたしは平和を祈るとき、わたしの国の敵国が戦争をすることをやめるだけではなく、とりわけ自分の国が戦争を避けられないものとしてしまうことをやめるようにと祈る。

本当に平和を望むなら、心から神に平和を求めるであろう。そうすれば、神は平和をくださるであろう。しかし、本当に望んでいない世界に、神は平和を与えるだろうか。世界が望んでいるふりをしている平和は、真の平和ではない。
 ある人びとにとって、平和は、復讐や衝突の恐れなしに他の人びとを気ままに搾取することを意味している。
 他の人びとにとって、平和は、妨害を受けることなく兄弟姉妹から勝手に奪い取ることを意味している。
 何もしない人にとって、平和は、貪欲でがつがつしている人びとを養うことを妨げられることなく、地上の善をむさぼる快楽を意味している。

このような多くの人びとは、神に自分たちが考えている「平和」を願っている。そして、どうして自分たちの祈りが聞き入れられないのか不思議に思っている。「冷戦」は、倫理、経済、政治において、「自分のため」の政策にもとづいた平和が堕落した結果である。自分の考えていることが平和であると思わないで、他者を愛そう。とりわけ神を愛そう。自分の考えている人が戦争挑発者であると考えないで、まず戦争の原因となっている自分自身の心の中の欲求と混乱を憎むことから始めよう。

平和を愛するなら不正を憎もう、暴君を憎もう、貪欲を憎もう。しかし他者の中ではなく、まず自分自身の中にあるこうしたものを憎もう。
(トマス・マートン著、木鎌安雄訳、『平和への情熱』p.5~7、20~22 より 女子パウロ会刊行)

このことばを思いめぐらしながら、しばらく沈黙のうちに祈りましょう。

(沈黙)


ツヅジ


わたしたち一人ひとりが置かれた場で、イエスの平和を伝える道具となることができますように、願って歌いましょう。

『祈りの歌を風にのせ』p.10 「あなたのへいわの」①~③

1950年9月、聖パウロ女子修道会の初代総長、シスターテクラ・メルロは、会員たちに次のように言っています。

ピオ12世教皇様は、いろいろな機会にいろいろな方法で平和のために祈るように勧めておられます。韓国ではすでに内乱が始まっています。他のところでは戦争の動きがあり、あちらこちらで戦いのうわさがあり、階級の分裂があります。師イエスが人びと、とりわけ政治家たちを照らしてくださいますように願いましょう。教皇が言っておられたように「平和によって失われるものは何もなく、戦争によってすべてが失われる」からです。

わたしたち自身が平和の道具になるようにしましょう。まず、祈るとき特別な意向を入れましょう。しかし、何にもまして生き生きとした生活の祈り、つまり神の愛のためにする仕事と聖なる生活によって祈りましょう。平和は愛と理解と和解の実りです。わたしたちの共同体、家庭に大きな平和が支配するようにしましょう。

最近、戦争や迫害の起こっているところで宗教者たちがどんなに苦しんでいるかという恐ろしい報告が読まれます。彼らの前例のない非人間的な苦しみに、わたしたちが沈黙のうちに、罪の償いの精神で耐え忍ぶ小さな苦しみ、体の不調、精神的な苦しみを合わせましょう。善意の人びとに約束された平和が世界に行きわたりますように。

シスターテクラのことばは、1950年のものですが、そこにつづられている状況は、残念ながら、今の時代にも通じるものです。道を見失い、さまよっている多くの人びとの必要のため、特に世界の平和を願って、ロザリオを一連ささげましょう。先唱者が前半を祈りますので、皆さまは後半を唱えてください。

栄えの第一の神秘、主のご復活を黙想しましょう。死に打ち勝たれた主が、悪を滅ぼし、世界に真の平和をもたらしてくださいますように、祈りましょう。

主の祈り(1回)、アヴェ・マリアの祈り(10回)、栄唱(1回)

 

『パウロ家族の祈り』p.214、「使徒の女王聖マリアに向かう祈り」を唱えましょう。
   清いおとめ、殉教者の女王、明けの星、罪人のよりどころであるマリア、
   高間で過ごされた日々を思い起こしてください。
   聖なる慰め主、恵みの与え主、御父と御子の愛、使徒たちを新しい人に
   変える聖霊を祈り求めるために、
   あなたは使徒たちを導き励ます母でした。
   神のみ心を動かすあなたの謙遜で力強い祈りをもって、
   イエス・キリストが尊い血により、永遠の滅びから救われた人びとのいのちの尊さを、
   深く悟る恵みをわたしたちのために求めてください。

   一人ひとりの心が、使徒職の魅力にとらえられ、
   キリストの愛に駆り立てられて、
   人類の霊的悲惨に深く心を動かすことができますように。
   青少年、壮年、老年層の必要を心に感じさせてください。
   広大なアフリカ、果てしないアジア、将来性に富むオセアニア、苦悩するヨーロッパ、
   南北アメリカの状態が、わたしたちの心に強く訴えますように。
   証しとことば、祈りと出版、映画、ラジオ、テレビなどによる使徒職、
   死後 清めの状態にある人びとのための使徒職に、
   惜しみなく犠牲をはらう多くの寛大な人びとを引き寄せてください。

   教会の母、使徒の女王、わたしたちの弁護者マリア、
   この涙の谷から、あなたに嘆願します。
     使徒の女王聖マリア、わたしたちのために祈ってください。

いのちが守られ、愛によってお互いを大切にする社会が実現しますように。イエスの福音が多くの人に受け入られますように、特にマリア様の取り次ぎを願って祈りましょう。

わたしたち一人ひとりに与えられている道を、歩むことができますように、願って歌いましょう。

『祈りの歌を風にのせ』p.43 「地球家族」①~③

この祈りの時間にいただいた恵みを沈黙のうちに思いめぐらしましょう。

(沈黙)

祈りましょう。
正義と平和の源である神よ、あなたは争いを憎み、思い上がる者を打ち砕かれます。世界を悪の力から守り、苦しみと涙をわたしたちから取り除いてください。すべての人があなたの子どもとして平和のうちに生きることができますように。わたしたちの主イエス・キリストによって。アーメン。
父と子と聖霊のみ名によって。アーメン。

これで今晩の「アレオパゴスの祈り」を終わります。



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