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アレオパゴスの祈り

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アレオパゴスの祈り 2016年 4月 2日


 桜


先週の日曜日に復活祭を祝い、明日は「神のいつくしみの主日」を迎えます。教皇ヨハネ・パウロ2世は2000年から、ご復活の主日の次の日曜日である復活節第二主日を「神のいつくしみの主日」と定め、この主日に神のいつくしみを特別に祝うよう望まれました。それは信者たちが聖霊の賜物を豊かに受け、神への愛と隣人への愛を強め、成長させるためです。また、それぞれ自分を反省して、罪をゆるしてくださる神に感謝し、兄弟姉妹をもゆるすよう招かれています。

この主日が制定されたきっかけは、ポーランドの聖人、聖ファウスティナ・コヴァルスカ修道女の体験でした。彼女は1905年に生まれ、1938年に33歳の若さでこの世を去りました。貧しい農家に生まれ、つつましい生活をしていた彼女に、イエスは特別な形でご自分のいつくしみの神秘を表されました。今日はこの聖人の体験をたどりながら、ごいっしょに神のいつくしみを味わい、感謝のうちに祈ってまいりましょう。

わたしたち一人ひとりが心に抱いている意向、祈りを必要としている人々を父である神の御手に委ねて、しばらく思い起こしましょう。

(沈黙)

お祈りしたい意向を心の中にたずさえて、ローソクをささげましょう。ここに集まったわたしたちが、主との出会いのときである、この祈りの時間をよく過ごすことができますように願って歌いましょう。

「来なさい 重荷を負うもの」 ① ~ ③

詩編136のことばに耳を傾けましょう。(詩編136.1~4、11~14、16、23~26)

  神に感謝せよ。神はいつくしみ深く、そのあわれみは永遠。
  神々をはるかに超える神に感謝せよ。神のいつくしみは永遠。
  すべてを治める神に感謝せよ。神のいつくしみは永遠。
  神はただひとり、偉大なしるしを行われる。神のいつくしみは永遠。

  神はエジプトの地からイスラエルを導かれた。神のいつくしみは永遠。
  神は力強い手を差し伸べてあしの海を二つに分けられた。神のいつくしみは永遠。
  神はイスラエルにその中を渡らせた。神のいつくしみは永遠。
  神は民を率いて荒れ野を導かれた。神のいつくしみは永遠。

  神はさげすまれているわたしたちを心に留められた。神のいつくしみは永遠。
  神ははむかう者からわたしたちを救われた。神のいつくしみは永遠。

  神はいのちあるすべてのものに食物を恵まれる。神のいつくしみは永遠。
  すべてを越える神に感謝せよ。神のいつくしみは永遠。

(沈黙)

詩編136は、愛と忍耐をもってイスラエルの民を導かれた神のいつくしみを賛美しています。「いつくしみ」は、わたしたちの神を最も豊かに特徴づけるものです。その神の「いつくしみ」を特別な形で告げ知らせるよう召された女性が、20世紀に現れました。

ヘレナ・コヴァルスカ、後のシスターファウスティナ・コヴァルスカは、1905年にポーランドのグウォゴヴィエツという村に生まれました。彼女は10人兄弟の3番目として、貧しい農家に生まれ、家では農作業や家事仕事をしていました。当時、ポーランドはロシアの統治下にあり、学校は閉鎖されていたため、ヘレナは12歳でやっと学校に行くことができましたが、3年間しか勉強を続けることができませんでした。その後、15歳のときに家計を支えるために家政婦として働き始めました。熱心な信仰者であった彼女は18歳のとき、イエスのご出現を目の当たりにし、「修道院に入るように」とイエスに言われます。両親の反対にあいますが、2年後の20歳のときに、「あわれみの聖母修道会」に入会します。その後、誓願を立て、マリア・ファウスティナという修道名をいただきました。修道院での彼女の仕事は、台所、庭仕事や受付など、つつましいものでした。

 いつくしみのイエス
いつくしみのイエス


1931年、ファウスティナが26歳のとき、修道院の個室にいた彼女の目の前に、イエスが現れました。イエスは白い衣を身にまとい、胸からは赤と青白い二本の大きな光が流れていました。イエスはおっしゃいました。「この二つの光は、血と水を意味する。この二つの光線は、わたしの苦しみ悶えていた心が十字架上で槍によって開かれたとき、流れ出た。あなたが見ているとおりに絵を描きなさい。その下に『イエス、わたしはあなたに信頼します』ということばを書き入れなさい。わたしは愛であり、いつくしみそのものであると語りなさい。人々の魂が信頼してわたしに近づくとき、あふれるほどの恵みで満たされるので、その魂は、恵みを自らのうちにしまっておけず、他の人々にまき散らすほどになる」。

神のいつくしみを人々に知らせる使命を受けたファウスティナは、イエスのご出現をたびたび受け、その体験を日記としてまとめました。その中で、彼女は神のいつくしみを、神の愛、善良さ、神のあわれみと理解し、次のように言っています。

「神は愛です。いつくしみは神のわざです。愛から生じるものは、いつくしみによって表されています」(『日記』651より〔ユリアン・ルジッキ、相原富士子共訳『聖ファウスティナの日記、わたしの霊魂における神のいつくしみ』聖母の騎士社〕)。

この世のすべてのものは、神の「いつくしみ」によって存在しています。神によって造られたすべてのわざは、その限りないいつくしみを表しています。神のいつくしみは世界を満たし、この世界の存在を保っています。それは、創造主と被造物との間にある底なしのふちを埋め、人間に神のいのち、そして神からのまことの幸福にあずかる可能性を与えるものです。

わたしたち一人ひとりは、神のいつくしみによって、その似姿に創られた尊い存在であることを思い起こしながら、しばらく沈黙のうちに祈りましょう。

(沈黙)

父である神が、愛といつくしみをもって、わたしたちを造り、この世に存在するものとしてくださったことに感謝しましょう。また御子の復活によって、信じるものに永遠のいのちを与えてくださったことをたたえて祈りましょう。

  限りない、いつくしみの神、あなたは賛美されますように。
  あなたは人に自然のいのちのほかに、超自然のいのちを注がれました。
  あなたは人をご自分の子とし、ご自分の幸いに招き、
  いつくしみの愛で満たしてくださいました。
  あなたの偉大な恵みの尊を知ることができるよう、わたしを照らしてください。

ファウスティナに現れたイエスは、罪びとたちがご自分のいつくしみに信頼して近づくよう切に望んでおられると強調し、次のように述べています。

大きな罪びとであればあるほど、わたしのいつくしみを受ける権利は大きくなる。最も罪深い者たちにも、わたしのいつくしみへの信頼を抱かせなさい。わたしは、正しい人々に対してよりも罪びとに対して、より寛大であると書き記しなさい。わたしが天から下って来たのは、彼らのためだった。わたしの血が流されたのは彼らのためだった。わたしに近づくのを恐れてはならない。彼らはわたしのいつくしみを最も必要としている。

悩んでいる人々の魂の益のために、これを書き記しなさい。自分の罪の重さを見て自覚するとき、その中に浸っている惨めさが自分の目の前に示されるとき、絶望することなく信頼をもって、子どもが愛する母の腕に自分を委ねるように、わたしのいつくしみの腕に自らを投げ入れなさい。いつくしみを呼び求める人の魂はだれも、失望することも恥を受けることもないと告げなさい。わたしの優しさに信頼を置く人の魂をわたしは特に喜ぶ。
  (コシッキ神父編・著 いつくしみセンター訳『神のいつくしみへの招き』 いつくしみセンター発行2016年)

 桜


自分の弱さ、罪深さを知っている人に、イエスはご自分のいつくしみを注いでくださいます。あわれみ深いまなざしのもと、信頼して、わたしたちの姿をふり返ってみましょう。

(沈黙)

主が、わたしたちの歩み、生活の中で示してくださった愛、いつくしみに感謝しましょう。また、自分の至らなさ、弱さを思い、日々よく生きる恵みを願って祈りましょう、お手元の「聖ファウスティナの祈り」をごいっしょに唱えましょう。
  主よ、わたしの目がいつくしみ深くあるように助けてください。
    隣人を決して外観によって疑ったり、判断したりせず、
    彼らの霊魂の中に美しいものを探し求め、彼らを助けることができますように。
  主よ、わたしの耳がいつくしみ深くあるように助けてください。
    隣人の必要に注意を払い、隣人の痛みや嘆きに無関心でないようにしてください。
  主よ、わたしの舌がいつくしみ深くあるように助けてください。
    隣人について決して否定的に話さず、
    すべての人になぐさめとゆるしのことばをかけることができますように。
  主よ、わたしの手がいつくしみ深く、善い行いで満ちているように助けてください。
  主よ、わたしの足がいつくしみ深くあるように助けてください。
    わたし自身の疲れや退屈に打ち勝って、隣人を助けに急ぐことができますように。
  主よ、わたしの心がいつくしみ深くあるように助けてください。
    隣人のあらゆる苦しみを感じることができますように。
(『日記』163より〔ユリアン・ルジッキ、相原富士子共訳『聖ファウスティナの日記、わたしの霊魂における神のいつくしみ』聖母の騎士社〕)

この祈りの時間にいただいた恵みを沈黙のうちに感謝しましょう。

(沈黙)

復活して、わたしたちに永遠のいのちを与えてくださった主に信頼して歩んでいくことができますように、感謝のうちに歌いましょう。

「神に信頼する人は」 ① ④

祈りましょう。
いつくしみ深い神よ、あなたは、キリストの尊い血によってわたしたちをあがない、水と聖霊によって新しいいのちを与えてくださいます。年ごとに主の復活を祝うわたしたちが洗礼の恵みを深く悟り、あなたの力に信頼して生きることができますように。 わたしたちの主イエス・キリストによって。アーメン。

父と子と聖霊のみ名によって。アーメン。

これで今晩の「アレオパゴスの祈り」を終わります。



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