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アレオパゴスの祈り

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アレオパゴスの祈り 2017年 4月 1日


 垂れ桜


四旬節も後2週間で終わり、復活祭が近づいてきました。人となられた神の子イエスは、その使命を決定的に果たすため、エルサレムに上って行かれます。そのイエスにわたしたちもついていくように、招かれています。ご受難と死、復活をとおして、イエスはわたしたちに永遠のいのちを与えるために、ご自身を十字架上で御父におささげになります。そのイエスの名を呼ぶ人について、聖パウロは、「『主の名を呼び求める者はだれでも救われる』のです」(ローマ10.13)と言っています。 今年は「主の祈り」をテーマに祈っていますが、今日は最初の祈りである、「み名が聖とされますように」の部分をごいっしょに祈ってまいりましょう。

聖体のうちにおられる主のみ前で過ごすこの時間、わたしは特にどんな恵みを願いたいでしょうか。また、祈りを必要としている人々を父である神の御手にゆだねて、しばらく思い起こしましょう。

(沈黙)

お祈りしたい意向を主のみ前に差し出して、ローソクをささげましょう。後ろでローソクを受け取り、祭壇にささげ、席にお戻りください。

聖パウロは、祈りについて次のように言っています。「わたしたちはどう祈るべきかを知りませんが、“ 霊”自らが、ことばに表せないうめきをもって執り成してくださる」(ローマ8.26)。 わたしたちは神様の恵みなしには、祈ることができません。この祈りの時間をよく過ごすことができますようにと願って、歌いましょう。

『平和を祈ろう』 No.5 「あなたを離れては」① ②

詩編8のことばに耳を傾けましょう。

神よ、わたしたちの主よ、あなたの名は あまねく世界に輝き、
その栄光は天にそびえる。
幼な子と乳飲み子は賛美を歌う。
あなたは はむかう者、逆らう者をしずめるため、敵に備えて とりでを築かれた。
あなたの手で造られた大空を仰ぎ、月と星を ながめて思う。
人とは何者か、なぜ 人に心を留められるのか。なぜ、人の子を顧みられるのか。
あなたは人を神に近いものとし、栄えと誉(ほま)れの冠を授け、
造られたものを治めさせ、すべてを その足もとに置かれた。
羊も牛も ことごとく、野のけもの、空の鳥、潮路(しおじ)を泳ぐさかなの群れも。
神よ、わたしたちの主よ、あなたの名は あまねく世界に輝く。

(沈黙)

旧約聖書の中にある詩編には、「神の名をたたえる」という祈りが、数多く出てきます。聖書の世界において、名前はとても重要なものです。名前はその人の本質や与えられた能力、また神から与えられた特別な使命を表していました。預言者エリシャの名は「神は救い」、イザヤは「神は解放する」という意味をもっています。出エジプト記の中で、イスラエルの民をエジプトから導き出すよう使命を受けたモーセは、「彼らは、『その名は一体何か』と問うにちがいありません。彼らに何と答えるべきでしょうか」とたずねます。そして神は、「わたしはある。わたしはあるという者だ」とお答えになります(出エジプト3. 13~14参照)

聖書の中で、神の名前が明かされる場面として、イエスの誕生がマリアに告げられるシーンを思い出されることでしょう。大天使ガブリエルは、マリアに「その子をイエスと名付けなさい」と命じています(ルカ1. 31)。イエスの名は、「神は救う」という意味です。そして、イエスの死と復活をとおして、御父はわたしたちを救おうとされました。わたしたちも一人ひとりに名前があります。神がモーセに、「わたしはある。わたしはあるという者だ」とお答えになったように、名前はその人の存在、アイデンティティと深く結び付いています。戦時中のように、名前を強制的に変えられたり、番号で呼ばれることは、その人の人格を深く傷つけることになります。名前はそれだけ大切なものなのです。

みなさんは、子どものとき、学校の宿題で、「自分の名前の由来を親に聞いてくるように」と、先生から言われたことがあるかもしれません。親は生まれてくる子どものために、いろいろなことを調べて名前をつけるものです。

  1.小さな用紙をご用意ください。そこにご自分の下のお名前をお書きください。

 白い用紙
名前を書く用紙


  2.あなたは、自分の名前が好きですか。もし、好きでなかったら、なぜですか?

  3.ご自分の名前の由来を親から、聞いたことがありますか? どんな理由で、その名前
   をつけてくださったのでしょうか。またお名前がひらがな、カタカナの方は申し訳ない
   のですが、日本語の漢字は、ひとつひとつの文字に意味があります。その漢字の意味を
   思いめぐらしてみましょう。

  4.親がどんな理由で、自分の名前をつけてくれたのか。自分の名前に使われている漢字
   の意味などを、思いめぐらしながら、気が付いたことを、ハガキに短く書いてみましょ。
   その気づかれたことをとおして、神様はあなたに何かを伝えたいかもしれません。
   何か気づいたことがあれば、それもメモしてみましょう。

5分ぐらい時間を取りますので、この作業をしてみてください。その際、イザヤ書43.1~2、4~5、7も参考にしてください。

ヤコブよ、あなたを創造された主は
イスラエルよ、あなたを造られた主は
今、こう言われる。恐れるな、わたしはあなたをあがなう。
あなたはわたしのもの。わたしはあなたの名を呼ぶ。
水の中を通るときも、わたしはあなたと共にいる。大河の中を通っても、
  あなたは押し流されない。火の中を歩いても、焼かれず、
  炎はあなたに燃えつかない。
わたしの目にあなたは価高く、貴く、
わたしはあなたを愛し、あなたの身代わりとして人を与え、
国々をあなたの魂の代わりとする。
恐れるな、わたしはあなたと共にいる。わたしは東からあなたの子孫を連れ帰り、
西からあなたを集める。
彼らは皆、わたしの名によって呼ばれる者。わたしの栄光のために創造し、
形づくり、完成した者。

(沈黙)

この作業をしながら、何か気づいたこと、いただいた光を感謝しましょう。父である神が、愛といつくしみをもってわたしたちを造り、わたしたち一人ひとりの名を呼んでくださっていることに感謝して祈りましょう。『パウロ家族の祈り』p.248の祈りをごいっしょに唱えましょう。
   父と子と聖霊の三位の神よ、
   教会のうちに、またわたしたちのうちに働いておられるあなたを礼拝し、
   愛と感謝をささげます。

   聖母マリアのみ手をとおして、わたしのすべてを、今もいつも永遠に、
   あなたに供え、ゆだね、ささげます。
   天の父よ、子としてわたしをあなたに供え、ゆだね、ささげます。
   師イエスよ、兄弟姉妹、弟子としてわたしをあなたに供え、ゆだね、ささげます。

   聖霊よ、聖別奉献されるための生きた神殿として、
   わたしをあなたに供え、ゆだね、ささげます。
   教会の母でありわたしの母であるマリア、あなたは三位一体の神のうちにおられます。

   どうかわたしの全生涯が「父と子と聖霊の栄光」となるよう、
   典礼と秘跡をとおして、三位一体の神との親しい交わりを
   深めていくことができるようにしてください。アーメン。

 聖堂での祈り
アレオパゴスの祈り


わたしたちは洗礼を受けるときに、「父と子と聖霊のみ名によって」、洗礼を受けます。こうしてわたしたちは神の子となり、イエスへの信仰をとおして、永遠のいのちをいただき、新しく創造された者となります。3世紀の聖人、カルタゴの聖チプリアノは、「み名が聖とされますように」という祈りについて、次のように言っています。「だれが神を聖なる者とすることができようか。神こそ、わたしたちを聖なる者としてくださるのではないか。レビ記に、『わたしはあなたたちの神、主である。あなたたちは自分自身を聖別して、聖なる者となれ。わたしが聖なる者だからである』(11. 44)とある。だから、わたしたちはいただいた洗礼の恵みを保つよう、招かれているのだ」。わたしたちは洗礼の恵みによって、神様からの愛を受けました。その愛を他の人々にも分かち合うよう、招かれています。それによって、神様のみ名は、聖なる名とされます。イエスはマタイ福音書の中で、こうおっしゃっています。「あなたがたの光を人々の前に輝かしなさい。人々が、あなたがたの立派な行いを見て、あなたがたの天の父をあがめるようになるためである。」(マタイ5.16)

(沈黙)

わたしたちの必要を知っておられる父であり神様に信頼し、特に復活祭に洗礼を受けられる大橋さんのために恵みを願って、「主の祈り」を唱えましょう。(主の祈り)

 いただいた恵みに感謝し、いつもわたしたちと共にいてくださる主に信頼して歩んでいくことができますようにと願って歌いましょう。

『平和を祈ろう』No.16 「主をあおぎみ」① ~ ③

祈りましょう。
いつくしみ深い神よ、あなたはわたしたち一人ひとりを名前で呼び、愛によってあなたの似姿として、創造してくださいました。また御子イエスの過越しの神秘によって、永遠のいのちを与えてくださいました。四旬節をとおして洗礼の準備を進める人々とともに、 わたしたちも新しいいのちの喜びで満たされますように。
+父と子と聖霊のみ名によって。アーメン。

これで今晩の「アレオパゴスの祈り」を終わります。



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