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私の薦めるこの一冊
回勅 希望による救い
- 著者:教皇ベネディクト16世
- 翻訳者:カトリック中央協議会 司教協議会秘書室研究企画
- 定価:本体900円+税
- 四六判 上製 112ページ
- ISBN978-4-87750-139-6 C0016
- 発行:カトリック中央協議会
本書は、2007年11月30日に、教皇ベネディクト16世の出された2番目の回勅です。
第一の回勅『神は愛』が出されたのは、約2年前の2005年12月25日でした。
カトリックの教会ではよく、「信仰・希望・愛」と言ったり、「信・望・愛」と言ったりしますが、これは対神徳と言われる3つの基本的な神への徳を指しています。
最初の回勅で、この中の「愛」を、そして本書では「希望」について、教皇様は全世界のすべてのカトリック信者に、キリスト教的希望がどういうものであるかについて語ったものです。
聖書は希望について、何と言っているでしょうか。そして、初代教会、教父たちは、希望について何と言っているのでしょうか。
教皇は、奴隷として過酷な運命の中から、どのようにして希望の主を見つけ、それに生きた聖女バキータを例に挙げ、読者に分かりやすく語ります。
本書の中で、希望は、単に「情報伝達的」ではなく、「行為遂行的」なものでなければならないことが強調されています。希望は、私たち信者の信仰のあり方の中心です。現代の私たちにとって、「キリスト教的信仰は、希望であり、生活を造り変え、支える」ものでなければならないのです(10参照)。
キリスト教的希望は、「永遠のいのち」と深くかかわっていますが、この救いは個人的なものではなく、共同体的なものです。
本書は、希望の神学について述べるだけではなく、私たち読者が希望を学び、実践するための「場」も教えてくれます。
教皇は、まず第一に、「祈り」を挙げ、次いで「行動する」こと、「苦しみ」について述べ、次に「審判」について語ります。
最後に教皇は、「希望の星」であるマリアを私たちに紹介し、その聖母への祈りで本書を締めくくっています。
本書は、私たちの信仰のあり方の中心である希望について、学び、生きるためにぜひ、ご一読をお勧めいたします。