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私の薦めるこの一冊
傷つけられた世界を癒すために~3・11後に日本で環境・原発問題について考える~
- 編集者:イエズス会社会司牧センター
- 発行者:イエズス会社会司牧センター
- 定価:本体1,300円+税
- A5判 並製 257ページ
- ISBN978-4-902211-78-8 C3016
- 発行所:教友社
本書は、外形はワープロ打ちの原稿をそのまま印刷、製本したような質素な、地味な装丁の本です。しかし、その内容は、3・11以後に生きている今の日本人に、環境問題、原発問題について、深く考えさせ、目覚めさせるユニークなものです。
イエズス会が、現代、なぜこの原発問題を取り扱うのか、また、イエズス会社会司牧センターが、なぜこの問題や他の社会問題に取り組んできたのか、が「はじめに」に置かれ、大きく、第1部と第2部に分かれています。
第1部は、ドキュメントの翻訳で、その中の1つは、2011年に発表された「傷つけられた世界を癒す」と、第2に訳されているものは、1990年に発表された「傷つけられた世界に生きるわたしたち」です。
どちらの文書も、原発問題を今、生きなければならないわたしたちにとって、考え、判断し、行動する示唆を与えてくれるものです。
第2部は、「3・11」後の日本で、『傷つけられた世界を癒す』を読むために、という長いタイトルが付けられています。
最初に「考察のためのヒント」として、データから、原発と環境の問題を考えさせます。次に、原発を超える再生可能なエネルギーについて考察し、日本の3・11に一番反応を示したドイツの事情とドイツの教会の立場について紹介しています。そして最後に、原発事故から、今、わたしたちが問いかけられていることについて考えさせています。
次に、「読解のための資料」として、イエズス会のエコロジーについての2つの文書と総会文書の抜粋、教皇文書の抜粋が挙げられています。
最後に「環境と原発の問題」と題して、福島の方々の生の声、イエズス会社会使徒職委員会のメンバーの方々の投稿、「いますぐ原発廃止を」とメッセージを出した日本司教団メッセージ、日本キリスト教協議会声明「わたしたちは悔い改めます」、韓国キリスト者の核のない世界のための「信仰宣言」、そして、曹洞宗の原発に対する見解が収録されています。
本書は、これからのわたしたちが、忘れてはならないこと、考え続け、目を見張り、訴え続けなければならないために、基本資料となるものです。