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私の薦めるこの一冊
南蛮キリシタン女医 明石レジーナ
- 著者:森本 繁
- 定価:本体800円+税
- A6判 並製 387ページ
- ISBN978-4-88216-337-4 C0195
- 発行所:聖母の騎士社
キリシタン女医である明石レジーナについては、専門家はいざ知らず、ほとんどの読者はご存じないのではないでしょうか。
本書は、前編・中編・後編の3部に分かれています。
まず、前編は、知られざる明石レジーナの生い立ちから医学に惹かれていくまでを収めています。
明石レジーナのレジーナは、洗礼名で、女王である聖母マリアを意味しています。本名は明石亜矢で、備前のキリシタン武将のジョアン明石掃部守重(あかしかもんもりしげ)とモニカ麻耶の末娘として生まれました。亜矢は生まれて間もなく洗礼を受けました。しかし、すでに秀吉の伴天連追放令が出されていた時代です。キリシタンとして生きる道は、険しさを増していきました。
中編は、大阪夏の陣で負傷した人々を手当するレジーナが、南蛮医術、特に外科手術を身につけるために、フェレイラ神父の手当を側で見、学んだり、キリシタン弾圧の厳しいときに、身の危険を感じながらも、外科医として人々を救いたいという思いで努力する姿が描かれています。そして、マカオに渡るために、長崎に行くところまでです。
後編は、マカオへの旅路とマカオ到着後の、レジーナの生活が紹介されています。
マカオでオランダ軍の捕虜となったレジーナは、負傷者の手当をすることによって、オランダ軍医の信頼を得、ジャカルタに連れて行かれました。そこで、彼女は、東インド会社経営の医師養成所に入所でき、外科医学を修得し、卒業後、オランダ海軍の軍医に任命されたのでした。その後、さらに機会が与えられ、上級外科医師の資格を得、彼女が望んでやまなかった南蛮外科医となることができたのでした。
キリシタン迫害時代に、このような女性医師がいたということは、驚きです。
本書を読むことによって、小説を読むように、気軽に、波瀾万丈の生涯を送った明石レジーナを知ることができるでしょう。