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第105回 叙階の秘跡
第3章 交わりをはぐくむための秘跡
これまで、キリスト教「入信の秘跡」として、「洗礼」、「堅信」「聖体(エウカリスチア)」の3秘跡について、次に「いやしの秘跡」としての「ゆるし」と「病者の塗油」の秘跡についてお話してきました。今回からのお話は、「交わりをはぐくむための秘跡」と呼ばれている「叙階」と「結婚」の秘跡についての部が始まります。
「叙階」と「結婚」の秘跡は、個人的な救いにも深いかかわりがあるのですが、それよりも、他の人々への奉仕を通して、他の人々の救いに向けられた秘跡です。この2つの秘跡は、神の民の育成を目指しているものです。
私たちは洗礼と堅信の秘跡を受けることによって、すべての信者共通の祭司職に「聖別された者」です。しかし、「叙階」と「結婚」の2つの秘跡は、特別な「聖別」を授ける秘跡です。
第6項 叙階の秘跡
キリストは、ご自分の使命を世の終わりまで継続する人として、12使徒を選ばれましたが、叙階は、この使徒の奉仕職の秘跡です。叙階の秘跡には、司教、司祭、助祭という3つの位階があります。
1 叙階(Ordo)という秘跡の名称の由来
オルド(Ordo)という言葉は、「位階」とか「団体」を意味する言葉です。古代ローマ時代、市民社会の法的団体、特に統治者たちの団体を意味していました。オルディナツィオOrdinatio(叙階)という言葉は、1つのオルドOrdo(位階)への加入を意味していました。
教会には、古い時代から、ラテン語でオルディネス(ordines)と呼ばれる団体がありました。この伝統に基づいて、典礼では「司教団」(オルド・エピスコポールム ordo episcoporum)、「司祭団」(オルド・プレスビテロールム ordo presbyterorum)、「助祭団」(オルド・ディアコノールム ordo diaconorum)という用語を使っています。このほか、洗礼志願者、おとめ、夫婦、寡婦などの団体(オルド ordo)もありました。
教会のこのような団体に加入するには、オルディナツィオ(団体加入式)が行われていました。宗教的典礼行為であるこの式は、「聖別」「祝福」「秘跡」などと呼ばれていましたが、次第に、単なる共同体による選挙、指名、委任、任命以上の意味合いが込められた言葉として、使われるようになりました。
今日では、オルディナツィオ ordinatio(叙階)という言葉は、司教、司祭、助祭の団体に加えられる秘跡的行為のためだけに使われています。この秘跡は、聖なる権能を行使させるものであり、教会を通してキリストだけが与えることができる聖霊のたまものを授けるものです。
叙階は、聖別(コンセクラツィオ consecratio)とも呼ばれています。それは、キリストご自身によって、教会のために選別され、叙任されるものだからです。聖別の祈りを伴う司教の按手が、この聖別の目に見えるしるしです。