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バチカン

バチカン

バチカンは、1929年にバチカンとイタリアとの間に交わされたラテラノ条約によって独立し、イタリアの首都ローマの中にすっぽり包まれている世界最小の国です。およそ3000人といわれる住民も、またバチカンの外から通勤している人も世界のいろいろの国から集まってきており、独立国でありながら、多国籍、国際籍の国といえるでしょう。


バチカンとはローマを流れるテベレ川の右岸にあった丘の名前に由来します。この丘でイエスの弟子であり、カトリック教会の初代教皇であった聖ペトロは、逆さ十字架にかけられて殉教しました。4世紀にコスタンチヌス帝がキリスト教を公認したとき、それを記念して、この地に聖堂を建設しました。5世紀の終わりころから聖ペトロ聖堂に宮殿を建て増しする教皇が出てくるようになり、その後、いろいろの変遷を経て、現在は教皇の住居となり、世界中のカトリック信徒の心のより所、精神的故国となりました。

バチカン

わずか44ヘクタールの土地の中に、聖ペトロ大聖堂と教皇の住居である教皇宮殿(バチカン博物館や図書館を含む)、主な行政上の建物が立ち並んでいます。バチカン独自の貨幣を持ち、切手やパスポートも発行しています。

貨物駅、ヘリポートなどを備え、国旗、軍隊、憲法、銀行、医療所、消防署などもあります。国歌はありませんが、グノー作曲の教皇歌があり、公的な行事のときは、これが奏でられます。2001年の3月25日で日本語セクションは閉鎖されましたが、バチカン放送をお聞きの方にはお馴染みのインターバルシグナルは、この教皇歌です。バチカンの車のプレートはSCV(バチカン市国)にナンバーがついていて、教皇様の車はSCV1です。

バチカンを訪れる人の目を見はらせるような立派な建築物や芸術作品の他に、人々の注目を集めているのが、ミケランジェロがデザインしたといわれる鮮やかな赤、黄、青の三色のユニフォームを着たスイス衛兵たちです。もちろんみなスイス人で、厳しい検査の結果採用され、教皇とバチカンの護衛に当たっています。

少ないスペースでバチカンを語ることは、とても難しいことです。小さくても奥行きが深く、雲母のようにはがしても、はがしても宝が尽きない不思議な魅力を持つ国、それがバチカンです。


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