キリスト教マメ知識
断食 【大斎】【小斎】
断食とは、宗教上の目的で、祈願、抗議、修業、苦行として、一定の期間、一定の飲食をしないことです。どの宗教にも見られる行為で、ユダヤ教では、施し、祈り、断食は3つの大きな宗教行為でした。
彼女は神殿を離れず、断食したり祈ったりして、夜も昼も神に仕えていた。
(ルカ2.37)
イエスも言っていました。
イエスは、……四十日間、昼も夜も断食した後、空腹を覚えられた。
(マタイ4.2)
イエスは、断食をするにあたり、内的な行為を大切にするようにと教えておられます。
断食するときには、あなたがたは偽善者のように沈んだ顔つきをし
てはならない。それは、あなたの断食が人に気づかれず、隠れたと
ころにおられるあなたの父に見ていただくためである。そうすれば、
隠れたことを見ておられるあなたの父が報いてくださる。
(マタイ6.16、18)
しかし、イエスと弟子たちが断食をしないことで批判もあったことが、聖書に述べられています。
ヨハネの弟子たちがイエスのところに来て、
「わたしたちとファリサイ派の人々はよく断食しているのに、
なぜ、あなたの弟子たちは断食しないのですか」
と言った。
(マタイ9.14)
初代教会でも種々の機会に断食を行っており、「断食して祈り……」という描写がみられます。
教会の長い歴史の中で、断食はイエス・キリストの受難にあずかる行為として大切にされていましたが、同時に行為だけが優先し、断食することが目的化してしまった時代もありました。
現在、教会はイエスの精神に戻って、祈り、愛の業との関連で断食を意義づけています。
具体的には、教会は、大斎(だいさい)と小斎(しょうさい)を定め、償いと克己を行わせ、キリストの受難に倣うようにしています。
大斎
大斎とは、食事を節制すること、つまり、1日の食事中、1食だけ充分に食事をすることができます。朝食はごく少量、他の1食は普通の半分にします。満60歳に達するまでのすべての成人が守ります。ただ、病人、妊娠中の人は免除されています。
小斎
小斎とは、鳥獣の肉を食べないことです。大斎は食物の量を節制するのに対し、小斎は、食物の質や美食に対する節制です。
一人ひとりは各自の判断にまかされています。とくに愛徳のわざ、信心業、節制のわざを実行することをもって替えることができ、14歳以上の人が守ります。
大斎の日は、灰の水曜日と聖金曜日。小斎の日は、毎金曜日ですが、その日が祭日に当たるときには、小斎とはなりません。