キリスト教マメ知識
聖櫃(tabernacle)
カトリック教会では、聖体の安置を唯一の目的とした箱状の容器を聖櫃(せいひつ)といいます。
|
|
ヘブライ人にとって聖櫃は、砂漠の日々にモーセの指揮に従って作られた聖なる幕屋のことを意味しました。聖なる幕屋の内部は二つに分かれていて、その中に聖なる金の祭壇が築かれた聖なる場所とされ、その奥には至聖所があり、契約の櫃が置かれていました。
カトリック教会において、聖櫃は「人間の間に住まわれる神の家」です。同時に、旧約のマンナの象徴であり、人々の糧である聖なるパンを保存する新約の箱舟です。
初期のころから、聖体は病人や囚人のために保存され、教会だけではなく、家庭でも布地に包んで保存されていました。しかし、迫害の後、聖体は教会にのみ保存されるようになりました。
中世では、祭壇上の天蓋に吊り下げられた鳩の形をした容器や、香部屋(聖具室)につながる内陣の壁などに設置されました。
中世期末には祭壇に組み込まれ、近代になると木や金属製の箱型の聖櫃となりました。