第11回:参加すること(1)
<第1部、第4章、5 参画(189-191)>
これまで社会教説の四つの原理を見てきましたが、これらをまとめるにあたり、「参加すること」について触れたいと思います。「参加・参画」という言葉には積極的な響きがあります。しかし、わたしがここで言いたいのは、「仲間外れにするな!」ということです。
残念なことですが、わたしたちの社会には、さまざまな「仲間外れ」の実態があります。子どものころ体験した「仲間外れ」もあれば、無関心や無視や差別のよる「仲間外れ」もあります。そこに住んでいるのに、政治への参加や行政サービスから締め出されている人もいます。積極的な参加を呼び掛けても、「自分は相応しくない」と思いこまされて参加できない人もいます。また、その人に関係することなのに情報が与えられない、という「仲間外れ」もあります。こんなことでは、みんなでしあわせになることはできません。
人間のすばらしさは、自分の行動が他の人に影響を与えるところにあります。だから、人間は愛することができます。人間のこのすばらしさを、だれも奪ってはなりません。たしかに、他の人に与える影響には、悪いものもあります。悪意をもって、そうする人さえいます。しかし、考えてみてください。人に悪い影響があっても個人的な利益を優先しようとするのは、多くの場合、社会的に力のある人ではありませんか? そのために悪影響を被る人たちは、いわゆる「仲間外れ」にされている人たちではありませんか? わたしたちの「参加すること」の視点は、ここにあるのです。