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信仰の挑戦 … 女子パウロ会 各国創設記

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第7回 ブラジルにおける創設 -2)  -「何をしに来たのですか?」-


ブラジル
ブラジル・サンパウロの最初の家

 

10月20日の夜10時ごろ、ディーゼル船はリオデジャネイロ近くの入り江に錨を下ろしました。わたしたちは初めて見るブラジルの美しい星空を観想するために、自分たちのオーブンと呼んでいた船室を離れることにしました。わたしたちは目の前に広がる大都市に眼差しを向けながら、「ここにプロパガンダに来るときには、20日間くらい留まらなければならないでしょう」と、お互いに言い合ったものでした。あふれる涙がとめどなく流れていました。

船は、夜中にサントスに向けて出航し、10月21日に到着しました。港にはサベリオ・ボアノ神父が、わたしたちと同じ船で一緒に旅行した兄弟たちに、愛情あふれるあいさつをしておられました。しかし、わたしたちは気づかれないように通り過ぎました。だれもわたしたちの到着に気づきませんでした。そこでわたしたちは、わたしたちの存在に気づいてくれるように、手をたたき始めました。幸いに一人の夫人がわたしたちの窮状を見て、聖パウロ修道会の上長を呼んでくれました。

ボアノ神父は船の階段に目を上げ、困ったというふうに手を頭においてこう言いました。「何をしに来たのですか? あなたがたを送らないようにとプリモ・マエストロに書いたのに……」。これがわたしたちへのあいさつでした。彼はわたしたちのことで、次々に心配事やわずらわしいことを嘆き始めました。何も知らなかったわたしたちは黙っていました。

彼は、「後について来なさい」と言って教会に連れて行き、自分が戻って来るまで待つように言われました。わたしたちは時計を手に持って教会で待っていました。時間は過ぎていくのですが、だれもわたしたちを迎えに来てはくれません。そこでわたしたちは、わたしたちのことを覚えているのだろうかと疑い始めました。そして、「ここでどうしましょうか。どの教会にわたしたちを待たせているのか覚えているでしょうか。出て行くほうがいいのか、まだ待ったほうがいいのか?」と考えていました。

5時間も過ぎたころ、ボアノ神父さまが戻って来られ、ご自分についてくるように遠くから合図されました。彼はわたしたちを旅館に連れて行き、そこで初めてブラジルの朝食を摂りました。

そこからサンパウロ行きの列車に乗るために、サントスの駅に行きました。わたしたちだけになり、ここでも新たな心配が尽きませんでした。ポルトガル語はまったく分からず、どこで下車するのかさえも知りませんでしたから。

サンパウロに到着すると、わたしたちの前に一人の黒人が現れ、タクシーに乗るようにと合図しました。わたしたちの乗ったタクシーはしばらくすると大きく開かれた門の前に止まりました。そこには、わたしたちの到着を待っていてくださったシスターたちがいました。マードレ・カブリーニのシスターたちでした。この出会いで、わたしたちはイタリアにいる姉妹たちのことが思い出され、大泣きに泣いてしまいました。



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