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信仰の挑戦 … 女子パウロ会 各国創設記
第8回 アメリカ合衆国における創設 - 経済的危機 -
ボストンの最初の家
1932年6月28日、14日間の航海の後、マエストラ・パオラ・コルデーロ(1908-1991)とシスターアニータ・メローニ、そして師イエズス修道女会のシスターイグナチア・ビエッロ(1908-1988)がニューヨークに到着しました。マエストラ・テクラは、新たに出発する姉妹たちに深い感動をもってあいさつされました。個人的には彼女たちに同伴することができないため、母性的な繊細さをもって彼女たちの粗末なカバンの中に、彼女たちの長い旅路と初期の困難に慰めとなるようにとの心遣いから、一通の手紙が差し込んでありました。
「あなた方が一時的に国を離れる前に、心からのあいさつと祝福をおくります。イエスへの愛の同じきずなによって結ばれた善良な姉妹として、主においてあいさつをおくります。あなた方が行って住む新しい大地が、あなた方にとって何よりも聖性の働きの場でありますように心から祈ります。偉大な聖人になってください。そこであなた方を待ち受けている大きな犠牲が、天国への思いと多くの人々を主に導く希望によって甘美なものになることを願っています。
あなた方が行っている善がたとえ見えなくても、落胆しないでください。騒々しい使徒職の熱心さよりも、隠れたひそかな犠牲のうちに行われる善のほうが、魂のためには何倍も有益です。勇気を出してください! ここには、あなた方の一歩一歩を見守り、あなた方を思い、あなた方のために祈っている、あなた方に固く結ばれた人々がいます。
聖なる名において永遠のために出発するように、三位一体の名において出発してください。あなた方を造られた天の御父、あなた方のために死んでくださった御子、あなた方を聖化する聖霊である三位一体の神が祝福してくださいますように。あなた方はまじめさと宗教的精神によって多くのよい模範を示しながら、船の上から使徒職を始めてください。あなた方は3人ですから聖家族になって、聖家族の徳に倣ってください」。
パウロの娘たちは経済的危機にあるニューヨークに到着しました。いつも仮住まいで、何年も貧しさの中で過ごし、使徒職では大きな困難に出会いました。言葉を知らず、教会当局の権威者側に受け入れてもらえずに苦労しました。けれども勇気を出してイタリア人の間にプロパガンダを始め、イタリアから持ってきた信心書、聖書を普及し始めました。またアメリカ人にも英語の聖書を紹介し、通じるように説明しました。この初期の困難な段階では、多くの協力者の寛大な支えによって助けられました。祈り、苦しみ、またイタリアに返されるのではという恐れを持ちながらの3年後の1935年、ようやくパトリツィオ・ジュゼッペ・ハイエス枢機卿によって、教区に留まって使徒職を行う認可を得ることができました。