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信仰の挑戦 … 女子パウロ会 各国創設記

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第10回 フィリピンにおける創設  - 神の摂理に導かれて -


フィリピンにおける聖パウロ女子修道会の初期宣教活動は、神の摂理による奇跡的出来事でした。

1937年1月8日、三人のシスターがアルバの本部を後にし、中国に向かって旅立って行きました。マリア・エドヴィーゼ・ソルダノ、マリア・ エレナ・ラモンデッティ、マリア・マリア・クレオファ・ザノニ。目的は南京に小さな家をもっていた聖パウロ修道会と一緒に、パウロ的宣教活動を開始するためでした。

1938年9月、中国と日本の戦争のため、神父様たちとシスターたちは出発しなければなりませんでした。危険に満ちた旅の後、国境の町で三人の姉妹たちは何をしていいか分からず、また、プリマ・マエストラと連絡も取れず、三人は聖パウロ修道会の神父様の歓迎と助けとを頼みにして、インドへ行くことを考えました。ここには1935年から聖パウロ会の神父様たちがデリーで宣教活動を続けていました。神父様たちは理解もって、三人の姉妹たちにできる限りの援助をしてくださり、デリーの大司教様に、シスターたちのため許可を求めてくださいました。

しかし、残念ながらデリーに受け入れられませんでした。シスターたちは、滞在許可を取得できるという希望をもって、直接、大司教様に会いに行きましたが、中国からの亡命ということもあって、出発するようにというきっぱりとした返事でした。その間、プリマ・マエストラから三人の姉妹宛に手紙がありました。それは、もしインドに留まれないなら、フィリピンの聖パウロ会の院長が喜んで歓迎してくださるでしょう、というものでした。三人の姉妹たちはデリーを後にし、ボンベイ(現在ムンバイ)経由で船に乗りフィリピンに向かいました。

1938年10月13日にマニラに着き、港で聖パウロ修道会院長に迎えられ、バタンガス州のリパという町に(マニラから86キロ)行きました。リパにはまだ師イエズス修道女会はなかったので、聖パウロ女子修道会のシスターは、聖パウロ修道会のため家事仕事を担い、同時に神父様たちの初期の出版物をもってプロパガンダを始めました。プロパガンダを始めた村々と「バリオス」における宣教活動は少女たちに近づく機会となり、彼女たちに修道会を知らせ、早い時期に最初の召し出しの少女たちが入会しました。

フィリピン

 

この宣教活動の始まりは、すばらしい希望の前触れとなりました。神父たちはマニラに移転し、聖パウロ女子修道会の修道女たちはリパに残りました。前途は明るく、将来の発展の見通しも確かでした。しかし不意に恐ろしい戦争が起こり、ひっくり返りました。日本人はフィリピンを侵略して国全体が破壊と恐怖の場となりました。

姉妹たちは移動、避難、恐怖、不安の五年間(1941~1945年)でした。戦争が終わり全員無事でしたが、リパ市はほとんど壊滅され、神父様たちがもっていた家も、日本人が侵略する前に彼女たちが住んでいた家も壊されてしまいました。すべてを失いました。

家を再建しそれを見る喜びを得ました。何よりも希望があったのはよい召命がたくさんあったことです。そのため、大きな、美しい、機能的な修道院を建てる必要がありました。

 

フィリピン

マエストラ・テクラは、創設初期の歩みに愛をこめて同伴していました。第二次世界大戦の終わりに、シスターエレナ・ラモンデッティに次のような手紙を書いています。

 
親愛なるエレナ
1946年8月26日 ローマ

あなたのことをいつも大切に思っております。今まで、いろいろなことについてわたしは知りませんでした。最近、姉妹たちの話からあなたたちの状況と問題についてうかがいました。戦争のとき、あなたたちは大変だったのですね。心から同情します。今度、わたしに手紙を送るときには何でも話してください。
もしわたしにできることがあれば是非おっしゃってください。喜んでしますから。たびたびある姉妹が落ち着きがなく気がかりな様子だけれど、なぜだか分からない、そんなとき書いてください。それによって魔法のようにすべてが過ぎ去ったようになります。従順の恵みです。主の代理者である長上に信頼すること、そうでしょう?ですからいつも何でも書いてください。わたしは時々、時間が足りなくて返事を出すのが遅くなりますが、そのときには、わたしの代理人として守護の天使をあなたたちのそばに送りましょう。
あなたたちのことを思い、あなたたちのために祈っています。皆さま、とくに一人ひとりによろしく。フィリピンの姉妹たちとポストランテに特別によろしく。彼女たちを愛をもって思い、皆が聖なる修道女になるよう祈っています。

主の祝福が皆の上にありますように。
聖パウロと使徒の女王の祝福がありますように。

愛をこめて  マエストラ・テクラより


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