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シスターテクラ・メルロ

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第8回 あなたたちの境界線は世界の果て

  「全世界に行って、すべての被造物に福音を宣べ伝えなさい」(マルコ16・15)。
  「あなたたちの耳にささやかれたことを、屋根の上から宣べ伝えなさい」(マタイ10・27)

アルベリオーネ神父は、このキリストの派遣が切迫しているのを感じていました。彼は、自分の息子や娘たちが「今日の人々に今日の手段をもって」神のみことばを運ぶため、イタリーの主な都市や世界大陸の諸都市に行かれる日を待ちこがれていました。

シスターテレサメルロ

シスター・テクラ・メルロの使徒的飛躍への熱意も、創立者の熱意に劣るものではありませんでした。彼女は、出版物や他のコミュニケーション・メディアをもって大きな善を行うことができると確信していたので、アルベリオーネ神父の招きに全く忠実に応えました。彼らは共に、あらゆる国に福音のよいたよりを届けたいという焼けつくような渇きを覚え、娘たちの養成と宣教のためにはどんな困難も犠牲も恐れなかったのです。こうしてイタリーにも外国にも、彼女たちの書院や普及センターが増えていったのです。

ローマにある書院 ローマにある書院
           ローマにある書院(リブレリア)

1926年、パオリーニ(聖パウロ会員)とパオリーネ(聖パウロ女子修道会会員)のグループは、聖パウロ大聖堂の傍らで司祭マエストロ・ジャッカルドとマエストラ・アマリア・ペイローロの指揮のもとにアルバと同じ使徒職を始めるためすでにローマに飛んでいました。ローマの修道共同体は目覚ましく発展し、わずか10年の後、元聖パウロ葡萄園の跡地に、男子修道会も女子修道会も総統治を受け入れるまでになりました。

ローマにある総本院
ローマにある総本院

プリモ・マエストロにとってもプリマ・マエストラにとっても、ローマから新しい支部修道院の開設や成長ぶりを見守り、そこで勉学や修練、会員の養成、使徒職諸分野の組織化をはかることはもっとやさしくなりました。

30年後。若い修道会は爆発的な成長ぶりを見ました。召命は増え、使徒職は堅実に展開され、普及分野はますます広がり、毎年多くの修練女たちが修道誓願をもって自己を神に捧げ、救いのみことばをいたるところに、心を込めて運ぶようになったのです。

「前進しなさい、聖パウロの娘たちよ。あなたたちの境界線は世界の果てです! すべての人を愛して真理を伝えなさい」。これは、アルベリオーネ神父が折あるごとに、カリスマティックな異常な力をこめて繰り返していた言葉です。プリマ・マエストラの力強い腕に支えられた聖パウロの娘たちは嬉々として、従順が定めるところへ、神の海を越えて高く飛び立つ準備をしました。

当時、普及センターをもって大きな発展を示したイタリーの共同体は、トリノ、バリ、カリアリ、サレルノ、ヴェローナ、ジェノワ、パレルモ、ナポリ、ヴェネツィアなどです。同様に、ヨーロッパ以外の土地で奇跡的な発展を見せたところは、アルゼンチン、ブラジル、アメリカ合衆国、インド、フィリピン、日本、カナダ、ラテンアメリカ、アフリカ、オーストラリアなどです。

国際会議に集まったアジアのシスターたち
国際会議に集まったアジアのシスターたち

同じころ、イタリー国内では新しい使徒職部門の花が開き始めました。週刊誌『ファミリア・クリスティアーナ』、パウロ出版センター、映画使徒職のためのサンパウロフィルム、パウロ教理センター、スライド・レコード・センター、視聴覚センターなどです。

言うまでもなくプリマ・マエストラの任務は、ますます重く複雑になっていきました。それでも彼女は相変わらず穏やかで、むしろ元気になっていました。明らかに一つ一つのものごとを神のみ手のうちに置き、神から必要な光と力を汲み取っていたことが分かります。


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