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第8回世界宗教者平和会議世界大会(2)

2006/10/31

1日目:8月26日(土) 続き

26日は、午前中行われた開会式の後、午後から夜にかけて、「全体会議Ⅰ」「全体会議Ⅱ」がメインホールで、「研究部会Ⅰ」として3つの研究部会が会場を別にして行われました。

 
全体会議Ⅰ

全体会議Ⅰ」は、「あらゆる暴力をのり超え、共にすべてのいのちを守るために」をテーマに行われました。WCRP国際事務総長のウィリアム・ベンドレイ博士を議長に迎え、ムハンマド・ハタミ前イラン・イスラム共和国大統領、アンドリュー・マック氏、ハンス・キュング師(地球倫理財団総裁・ドイツ連邦共和国)、ユニセフ事務局長のアン・ヴェネマン氏のお話がありました。

ハンス・キュング師は、次のように訴えられました。

ハンス・キュング師
ハンス・キュング師(中央)

人間にもう一つの世界があるあと信じるなら、世俗的な保障ではなく、心の安全が必要である。現実主義者であると同時に、理想主義者でなくてはいけない。すべての人のいのちが守られるような環境を作っていく必要である。すべての人を守るために、地域倫理が守られる必要がある。

  基本原理が大切である。いっしょになって地球倫理を広めていく必要がある。倫理の問題では、すべての人のことを考えなくてはいけない。宗教者であれ、無神論者であれ。
 
全体会議Ⅱ

この会議のテーマは、「共にすべてのいのちを守るための紛争解決」でした。ケニアから、世界教会協議会(WCC)中央委員会のアグネス・アボーム博士、WCRP実務議長のエル・ハッサン王子、ウガンダのジョン・バプテスト・オダマ大司教、ボスニア・ヘルツェゴビナ・イスラム共同体最高責任者のムスタファ・セリッチ師、南アフリカ共和国からガンジー財団のエラ・ガンジー氏、ニカラグア共和国からルーテル世界連盟ラテンアメリカ・カリブ地域副総裁のビクトリア・コルテス司教、リベリア共和国からソロモン・ムゥイン師のお話がありました。紛争を体験した国々・地域から、その紛争解決のために、どのようなことを行ったのかという内容が集められました。

■ウガンダから、ジョン・バプテスト・オダマ大司教

20世紀最後の大虐殺と言われたウガンダ。オダマ大司教は、次のように語られました。

オダマ大司教

 

過去20年間、紛争の日々だった。紛争は人類の犯罪である。しかし、もっとひどいのは、その事実を知らないことだ。ウガンダでは180万人が影響を受け、多くの子どもたちが安全の保証を得られていない。ウガンダでは、60%が貧困ライン以下で生活している。エイズもあり、18%の人々がこの影響を受けている。

ここで、諸宗教間の対話を促す人々が活動を始めた。同じように神を信じ、いのちを尊んでいる。しかし、紛争が起きている。一人よりも二人、多くの智恵を出し合って考える。暴力を受けても、非暴力で解決するよう努力してきた。地域共同体の力をのばすようにした。今も平和交渉は続いている。スーダンで20年にもわたる大きな紛争を調停できれば、ウガンダでもできると思う。ここに集まっているみなさまは、その地域にいる人々と共に一つなのだ。

■サラエボから ムスタファ・セリッチ師

まだ多くの人の記憶の中に残っているサラエボ。ムスリムのムスタファ師です。

ムスタファ師

 

WCRPこそがボスニア・ヘルツェゴビナの紛争を解決し、諸宗教の人々が助けてくれた。日本が、広島・長崎の傷をどのように癒してきたか……、サラエボでも同じことが言える。小さい火事を見逃したら大きな火事となる。小さい病気を見逃したら……、小さい敵を……、小さい智恵を……。中東で起こっていることは小さい火事である。小さい敵はテロリズムだ。根源を絶ちきらないといけない。小さい智恵も役に立つ。小さい智恵が大きな問題を解決するのだ。

世界はモスリムを信頼していない。モスリムが全員テロリストではない。しかし、テロリストは全員がモスリムだった。貧困の70%はモスリムという現実がある。

■南アフリカ共和国から エラ・ガンジー氏

エラ・ガンジー氏

 

アパルトヘイトに対して、長い間働いてきた。南アフリカで、この問題に対して宗教はどのように関わってきたのだろうか。20世紀初頭から、ハマトマ・ガンジーが20年間ここに滞在し、非暴力運動をした。その活動は、9/11に100周年を迎える。「9.11」偶然である。

 

100年前の9.11、不正な法律を受け入れるわけにはいかないと運動を起こした。1940年代、50年代、多くの宗教指導者がこの運動に参加した。反アパルトヘイト運動である。80年代、若い宗教指導者が現れたが、宗教界は何も言わなかった。10年間、何も手をつけなかった。南アフリカでは、85%がキリスト教である。若い宗教者が「解放の神学」を書いた。キリスト教は不正な態度にどう対処してきた。ツツ大司教をはじめ、多くの人々が行進の先頭に立った。宗教という背景があったので、いのちを救うことができたのだと思う。

 

国内で暴力があったころ、夜警をしていた。教会の門を開け、一晩中指導者たちが祈り続けた。敵対している人たちを一緒に集めて説いた。とにかく話し合いをする。いろいろな宗教グループの間で話し合いをする。こうしてみんなが合意する文章を作ることができた。

 

テレビのニュースでしか知らなかった紛争地域の人々が目の前にいる。それだけで、遠い出来事が、私の周囲でも起こるのかもしれないという現実味を帯びて迫ってきました。紛争が起きている地域の人々は、ほとんどの人が宗教を持っていますが、その宗教の違いが悪に働いて悲惨な紛争になっています。しかし、戦いの一方で、宗教者ゆえの協力が実現しているのも事実です。

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