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こんなとこ行った!
第8回世界宗教者平和会議世界大会(4)
2006/11/21
4日目:8月28日(月)
この日は、8:45から「全体会議Ⅳ」がメインホールで行われ、17:00過ぎからは、プレスカンファレンスが開かれました。
全体会議Ⅳ
「全体会議Ⅳ」のテーマは、「共にすべてのいのちを守るための持続可能な開発」でした。ヴイヌゥ・アラム博士(インド)を議長とし、世界銀行総裁付カウンセラーのキャサリン・マーシャル氏(米国)、フリオ・テラザス・サンドヴァル枢機卿(ボリビア共和国)、シーク・シャバン・ムバジェ師(ウガンダ共和国)、ベアトリーズ・シュルテス氏(コスタリカ共和国)、また到着が遅れていたノルウェー王国前首相のクェル・マニェ・ボンデヴィック氏が、この会議ぎりぎりで到着し、演題に立たれました。
左から、マーシャル氏、サンドヴァル枢機卿、
アラム博士、ムバジェ師、シュルテス氏
■米国から、キャサリン・マーシャル氏(世界銀行総裁付カウンセラー)
世界的貧困は、悲劇的であり暴虐的である。その根源は複雑だ。しかし、貧困を克服することは可能である。なぜなら、以前は貧しかったが、今は繁栄している社会があるから。貧困を収斂することはできると思う。そのためには、諸宗教間の対話が必要で、その中で、WCRPは宗教間の橋をかける役目をしている。知力と心と魂を使い、手をたずさえて貧困の問題に取り組んでいくことが必要である。
■ボリビア共和国から、フリオ・テラザス・サンドヴァル枢機卿
(サンタクルス・デラ・シエラ教区大司教・レデンプトール会士)
ボリビアは貧困と暴力の国で、人々は抑圧から解放された自由な未来を夢見ている。平和をふやしていく、平和を大きくしていくという思いの中で、神は毎日信仰の明確さを与えてくれる。個人の行動なくして解決の道はないと思っている。
■ウガンダ共和国から、シーク・シャバン・ムバジェ師氏
(ウガンダ共和国ムスリム最高議会法律顧問)
HIVが大きな問題となっているが、これは、宗教家たちの行動によって変わっていく可能性がある。コーランには、神を喜ばせること以外に人間のすることはないと書かれている。“ミレニアム開発目標”が達成されるためには、宗教コミュニティーの働きが必要だ。
※ミレニアム開発目標:
Millennium Development Goals 略してMDGs。「極度の貧困と飢餓の撲滅」「初等教育の完全普及」「ジェンダーの平等の推進と女性の地位向上」「乳幼児死亡率の削減」「妊産婦の健康の改善」「HIV/AIDS、マラリアなどの疾病の蔓延防止」「持続可能な環境づくり」「開発のためのグローバル・パートナーシップの推進」の8つの目標を掲げている。
質疑応答から
各氏の発表が終わった後、アラム博士からパネリストに問いが発せられました。
質問:最も緊急なグローバルな課題は何か?
マーシャル氏
子どもへの教育だ。貧困と戦うのは道義的な問題である。
フリオ枢機卿
貧困のグローバル化である。人間が尊厳を失っている。他国からの条件で、さらに悪化している。グローバリゼーションが進行する中で、明日までいのちをつなげることが奇跡的だという状況が続いている。
シュルテス氏
多様化を拡大していくことが大切だ。諸宗教のミィーティングの中で、女性が集まって互いを教育しあう必要がある。となりの人の宗教を知らないのに、どうやって子どもたちに他宗教について教える事ができるのか? 間違ったことを教えてしまう。
質問:パートナーシップを意義あるものとするために、何をしたらいいか?
マーシャル氏
世界銀行の入口は、大理石を使っている。それで世界の貧困をなくそうとしている。女児の教育は、いまなされる必要がある。紛争を解決するのが一番だというが、効果的であるためには、パートナーシップが必要である。
最後にアラム博士は、女性の声、青年の声に耳を傾ける必要がある。世代間の会話を続け、分断しないようにしなくては。意味あることばと、それに一致した行動が必要であると結ばれました。
シーア派代表のメッセージ
緊急飛び込みとして、全シーア派教徒の代表から、メッセージがありました。
シーア派代表
聖地の墓も破壊された。女性、子ども、学校、教会、ホテルも攻撃の対象となっている。子どもたちが、プラスティック爆弾をおもちゃとしていることによって、いのちを落としている。多くのイラク人が家を追われ難民となっている。モハマドのイメージも悪く伝えられている。パレスチナでも、女性や子どもが犠牲になっている。
人間性に訴えて、テロをなくしていかなくてはいけない。全能の神に祈るのみである。神は人に恵みを与えてくれた。人間を他の生物より神に近いものとして、恵みを与えてくれた。日本のみなさんが、平和、対話をしておられることに感謝する。
記者会見
この日、WCRPは「子どもの暴力に対する宣言」を発表しました。そのことについて、記者会見が行われました。
記者会見
「いかなる子どもに対する暴力も、WCRPはこれに反対する」で始まるこの宣言は、2006年5月にトレドで草案が作られていて、11月11日に、国連総会でレポートが提出されるということでした。(11日は過ぎているので、国連事務総長に提出されたことでしょう。)メディアとして、子どもの暴力に対する働きをしてほしいと求められました。「いかなる子どもに対する暴力も、WCRPはこれに反対する」この問題が第8回WCRPで取り上げられることは、大きなことだと評価されました。
この会議の参加者は、イベントホールで食事をしていますが、この日の夕食は、プレスの方々にも食事の様子を見ていただいたいとうことで、食事会場が開放されました。連絡通路のようなところを渡っていくと、そこはまるで大きな体育館のような空間がありました。メインの大きなテーブルの上にさまざまな、そして美しいお料理が並んでおり、宗教上の理由などで食事制限のある人やベジタリアンのためにも、特別メニューが用意されていました。また、片隅では、女性たちが集まり、食事ミーティングを行っていました。短い会期の中で、貴重な時間を大切にして出会いの時を持っているのですね。デザートまで用意されていて、とてもおいしかったです。
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食堂となっているイベントホール | 食事ミーティング |