home修道生活を考えている方へどうしてシスターに?>シスター マリア・ペルペトゥア 永峰万季代

どうしてシスターに?

バックナンバー

シスター マリア・ペルペトゥア 永峰万季代

祖母の死

シスター永峰


住職の娘として仏教に深く帰依していた祖母が、わたしの学生生活最後の夏休みに老衰で亡くなった。

その祖母が死の二か月前に、姉の一言でキリスト教に改宗するという劇的最期を遂げた。お二人の神父さまから死の準備を十分にしていただいたばかりか、女子パウロ会のシスターズに祈られつつ息を引き取るという神の恩恵に満たされた幸せな最期だった。生前祖母は、極楽往生した徳高き人の死を繰り返し聞かせてくれていた。やすらかに眠るその顔は「永遠の存在」を実証するかのようだった。

夏休みも明け、上京したわたしは、東京の乃木坂にある女子パウロ会本部を訪ねた。祖母の死に際して高松修道院のシスターズから受けた並々ならぬご親切をシスターFに報告するためである。

門を入ると、若い女性たちがあちらこちらお庭を散歩していた。それが召命黙想会中だとも知らないわたしは、通された部屋でシスターFを待っていた。待つこと30分。いっこうにシスターFは現われない。そのうちわかったことだが、わたしは黙想者の一人と間違われていたのだ。

シスターFの誘いで、最後の一日だけ黙想会に参加することになった。くすしくもその時の説教は「永遠の生命」についてだった。

わたしは「永遠」ということばに吸い込まれるように聞いた。夜は「結婚生活か修道生活か」というテーマで分かちあいをするという。人生の選択に直面する真剣な分かちあいなどしたことはなかったが、親しい信者から「あなたは修道女(シスター)みたいね」と言われたことばがふと思い浮かび、修道生活を分かちあうグループに入った。

卒業後は、放送関係で働こうと夢見ていたが、営利抜きの局というものも難しくあきらめて出版社に入社することになっていた。そんなわたしの前に「神のために、マスコミを通して働く」という会の目的や創立者ヤコボ・アルベリオーネ神父の精神が説明されると驚きでいっぱいになった。実はそれまで、自分の資質を通して社会に奉仕できる道はないものかとずっと心ひそかに求めつづけていたからだ。

迷うことなく、卒業後は入会を決めた。両親は、毎日アブラハムがイサクをささげる聖書の箇所を読んでわたしのわがままを受け入れようとしたそうである。予期せぬできごとに見えたことも多くの人との出会いもすべてが、祖母の死をきっかけとして、召命の道へ導かれるためだったことを味わい深く思い出している。


▲ページのトップへ