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山本神父入門講座

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3. イエスと荒れ野での誘惑

イエスの特徴は、遣わした神の望みに従って行動する従順である。洗礼の後イエスは、「荒れ野の中を“霊”によって引き回され、四十日間、悪魔から誘惑を受け」、この従順に対する挑戦を受けた(ルカ4章1~2節)。

誘惑の山
誘惑の山


40日の間何も食べなかったイエスは空腹だった。「そこで、悪魔はイエスに言った。『神の子なら、この石にパンになるようにと命じたらどうだ』」。救い主の力は、自分のためにではなく、人々の救いのために与えられている。

悪魔は、イエスがその力を腹を満たすために使うことで、神に背くように仕向けた。それを見破ったイエスは、「人はパンだけで生きるものではない」と、旧約聖書のことばを使って答え、救い主として与えられた力を乱用せず、神に従う態度を崩さなかった(ルカ4章3~4節) 。


二番目の誘惑は、イエスに幻を示したのだろうと思われるが、「悪魔はイエスを高く引き上げ、一瞬のうちに世界のすべての国々を見せた。そして、悪魔は言った。『この国々の一切の権力と繁栄とを与えよう。それはわたしに任されていて、これと思う人に与えることが出来るからだ。だから、もしわたしを拝むなら、みんなあなたのものになる。』」

人間の支配欲は強烈である。権力を手に入れ、富と力ですべてを支配できるのなら、どんな犠牲でも払う。悪魔は言った。「もしわたしを拝むなら、みんなあなたのものになる」(ルカ4章5~7節)。どんな苦労も労働もいらない、ただ「わたし」を拝めばよいのだ。

イエスにとっては、神がすべてである。たとえ全世界を手に入れても神に背くことはできない。イエスは力強く、「『あなたの神である主を拝み、ただ主に仕えよ』と書いてある」(ルカ4章8節)と、旧約聖書のことばを引用して答え、悪魔を斥(しりぞ)けた。


三度目は、悪魔が聖書を引用する。「悪魔はイエスをエルサレムに連れて行き、神殿の屋根の端に立たせて言った。『神の子なら、ここから飛び下りたらどうだ。というのは、こう書いてあるからだ。『神はあなたのために天使たちに命じて、あなたをしっかり守らせる』また、『あなたの足が石に打ち当たることのないように、天使たちは手であなたを支える』」。

危険かもしれないが、天使が守ってくれるから、人目をひく行動でメシアだということを宣伝すればよい。

神がイエスのために用意したメシアの道は、受難と十字架の道である。「イエスは、『あなたの神である主を試してはならない』と言われている」と答えた。イエスに挑戦して敗れた悪魔は、「時が来るまでイエスを離れた」(ルカ4章9~13節参照) 。


ここで取り上げた3つの誘惑は、イエスの生涯の間、さまざまに形を変えて現れるが、特に、イエスがゲッセマネで祈っておられたとき、悪魔は再び激しくイエスを誘惑した。しかし、イエスは、自分の望みではなく、神のお望みのままになるように、と祈り続けることで、その誘惑に打ち勝った。

使徒たちも、イエスに従おうとするすべての人も、誘惑を免れることはできない。誘惑に打ち勝ったイエスは、そのすべての人々にも、誘惑に勝つ力を与えることを約束された。


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